エコ性能ばかりが注目されがちなハイブリッドカーにおいて、『ハイブリッドカーならではの“ワクワク”を伝えたい』という思いで2010年に誕生したCR-Z。そして今年10月、フィットに追加された「フィットe:HEV RS」。12年の時を経て、スポーティハイブリッドはどう変わったのか!? 元CR-Zオーナー”まるも亜希子が、その進化を検証する。
ハイブリッドでスポーティな走りを楽しめる専用チューン
フィットの真骨頂である心地よい走りに、e:HEVならではの走る愉しさをプラスしたRS。じつは世界初の量産スポーティハイブリッドとして2010年に誕生したCR-Zをこよなく愛していた身として、久しぶりに心躍る大傑作の予感でいっぱいになった。
RSの外観は、ブラックをメインとして精悍な表情を作る専用フロントグリル、バンパー、サイドシルガーニッシュや、足もとを引き締めるアルミホイールでグッと存在感をアップ。インテリアではイエローのステッチがドアやシートを彩り、3本スポークで減速セレクターのパドル付きとなるステアリングや、ドライブモードスイッチの存在にワクワクする。
e:HEVのスペックはマイナーチェンジで駆動用モーターが109㎰から+14㎰の123㎰/253N・mと出力がアップし、さらにe:HEV RSのみに「ノーマル」「エコ(ECON)」「スポーツ」の3つのドライブモードと、アクセルオフ時の回生量を4段階から選択できる減速セレクターが搭載されている。そして、このスポーツモードに標準を合わせたというサスペンション特性のセッティングが、見どころのひとつ。他グレード比較でスプリングレートは4%ダウン、リヤは26%アップ。フロントのスタビライザー径も4%アップし、ショックアブソーバーは前後ともに減衰力を高めることで、直線はもちろんコーナリングでのロール姿勢も安定させているのが大きなポイントだ。
低いフロントノーズ、ショートホイールベース&ワイドトレッドのディメンションなど、スポーティなクーペフォルムのCR-Z。フィットe:HEV RSは使い勝手の良い5ドアながら、CFD(流体)解析や実走テストなどを活用し、ミリ単位で最適化を図った専用エアロで空力性能を向上。
フラットライド&最新ACC・LKASでロングツーリングにも快適爽快
12年の間に大きく進化したのがHonda SENSING 運転支援機能。渋滞追従機能付ACC、停止からハンドル支援が作動するトラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)、車線維持支援システム(LKAS)を使えば、フラットライド感を高めたサスセッティングや優れた視界性能と相まって、長距離移動での疲労を大幅に軽減。
ペダルの踏み間違いによる急加速を抑える「急アクセル抑制機能」を新設定
※ディーラーオプション
車速が約30㎞/h以下で、ブレーキを踏んでいない状態から障害物が無く、素早くアクセルが踏み込まれたときに、ペダル踏み間違いであると判断。急加速を抑える「急アクセル抑制機能」。同機能が作動するように販売店で登録したHondaスマートキーでドアロック解除、エンジン始動すると車両は、同機能が作動可能になる。
●工場出荷時は機能オフの設定です。オンにするには別途販売会社の専用機器によるセッティング作業が必要です。別途セットアップ費用(ディーラーオプション)が必要となります。
● Honda SENSINGは、ドライバーの運転支援機能のため、各機能の能力(認識能力・制御能力)には限界があります。各機能の能力を過信せず、つねに周囲の状況に気をつけ、安全運転を お願いします。車両をご使用になる前に必ず取扱説明書をお読みください。各システムは、いずれも道路状況、天候状況、車両状態等によっては作動しない場合や十分に性能を発揮できない 場合があります。詳しくはWeb又はHonda販売会社にてご確認ください。
FITの詳細はこちら! https://www.honda.co.jp/Fit/
RSの名に相応しいスポーツドライビングを楽しめる
今回、山道で走らせてみるとその特性がしっかりと効いていることにビックリ。発進直後からダイレクトな応答性が爽快。モリモリと加速しつつ、そのフィーリングはなめらかのひと言だ。ブレーキングでスッと吸い込まれるように向きを変え、車体がひとつのカタマリとなってジワリと弧を描いて、一筆書きのようにつながりのある気持ちのいい走りが楽しめた。下り坂では減速セレクターで回生量を高めると、よりメリハリが出てスポーティに走れる。
RSグレードの開発にあたり、開発チームは3年にわたって耐久レースに参戦して試行錯誤を繰り返し、ノウハウをフィードバック。ヘアピンカーブが連続するようなシーンでは、アクセルの加減ひとつでさらにクルマとの一体感ある走りが味わえたところに、12年分の進化を体感できたのだった。
元CR-Zオーナーまるも亜希子×現CR-ZオーナーCARトップ鈴村
まるも 今日、数年ぶりにCR-Zで山道を走ったけど、これはこれでやっぱり楽しい!
鈴村 そうなんですよ。CR-Zに搭載されているIMAは主動力がエンジンだから、エンジンのフィーリングをしっかり楽しめます。トルク不足時にはモーターが駆動するから、余分にアクセルを踏み込む必要もなくて、本当に気持ちよくドライブできますよね。
まるも 車重がフィットe:HEV RSより約50㎏軽いし、回生量がそれほど多くないこともあって、アクセルオフの状態でも前のクルマにどんどん追い付いちゃう(笑)。燃費がいまだに20㎞/ℓ近く出るのも立派だよね。ま、発進直後の応答性の良さや、なめらかな加速フィールは、さすがにフィットe:HEV RSに敵わないけど。
鈴村 そうですね。フィットe:HEV RSはボディ剛性の高さにも感心しました。着座 位置が高くて視界がいいのに、もっと低いクルマを運転しているような感覚です。
まるも そうそう。あとエンジンに有段トランスミッションのようなフィールを与えるリニアシフトコントロールがもう最高!
鈴村 僕のCR-Zにも欲しいです(笑)
ハイブリッドだからできる! スポーティドライブの新世界
①走行シーンに応じてモーターとエンジンを最適に切り替え
発進時や市街地走行時は「EVモード」
フィットe:HEV RSに搭載されている2モーターハイブリッドのe:HEVは、エンジンで発電してモーターだけで走る「シリーズ方式」と、エンジンとモーターの両方で走る「シリーズ・パラレル方式」の“いいとこ取り”。日常のほとんどの領域をモーター走行とし、加速時にはバッテリーからも電力を供給してパワフルに加速。高速巡航時はエンジンの力をタイヤに直結して走行することで効率を高める。
②減速セレクターで瞬時にモーター回生力を緻密にコントロール
フィットe:HEV RSのパドルは、アクセルオフ時の減速の強さを調整できる「減速セレクター」。回生ブレーキの強さのみを変化させるため、減速後の加速時はシフトアップをすることがなく、モーターならではのスムースかつハイレスポンスな走りを損なうことがない。
CR-Z、FIT e:HEV RS共に、 3つのドライブモードNORMAL/SPORT/ECONを搭載。FIT e:HEV RSは、CR-Zより、パワフルでトルクがあるモーター駆動のみの強みで、3つのモードの走りの差が明確。とくにスポーツモードは、CR-Zより、発電エンジンにも関わらず、ステップシフトのエンジン回転上昇、疑似ステップシフトがより高回転でシフト。これにより奏でられるL4ホンダサウンドが、スポーティドライブの抑揚をより高めてくれ、ハイブリッドスポーツドライブの新世界を味わうことができる。
FITの詳細はこちら! https://www.honda.co.jp/Fit/