日本酒で新年を迎える!おせちと「久保田」の上級ペアリング

2022.12.26 11:50
おせちには昔からそれぞれの料理に願いが込められており、一年のはじまりに縁起の良いおせちを食べながら皆の幸福を祈るという風習は引き継いでいきたいものです。そして、お正月にはお屠蘇をはじめ日本酒は欠かせません。日本酒が好きな方なら当然ですが、普段あまり口にしない方も正月だけは嗜むのではないでしょうか。おせちは日持ちさせるために味が濃かったりしっかり火入れされたりと、毎日の食事とは違う調理方法です。そこで、日本酒とマリアージュさせるために一工夫。今までにないペアリングを体感しましょう。
「久保田 千寿」 × 数の子とかまぼこ
「久保田 千寿」は控えめな香りですっきり軽快。酸とアミノ酸が低めのため雑味も少なく澄んだ味わいです。透明感がある分、アルコールのピリッとした刺激がありますが、それが実際の日本酒度より辛く感じさせる要因になっています。まさにこれは、アル添淡麗辛口の代表作と断言出来るほど完成度の高い1本。淡麗で軽快なお酒にはあまり味が濃くないもの、食感が良いものを合わせます。
数の子に一滴のオリーブオイル
にしんの卵である数の子。子供がたくさん生まれ代々栄えるようにという子孫繁栄を願う意味が込められています。プチプチとした食感の数の子はお酒の肴として最適。出汁をしっかり効かせると良いですが、後から鰹節を乗せるのも効果的。千寿に合わせるなら、ここに極少量のオリーブオイルを。芳醇な香りとオイルのコクが千寿のアルコールの刺激を和らげ、お互いに良い部分を引き出す役目になるのです。
かまぼこに柚子
初日の出の形に似ていることからおせちに取り入れるようになったかまぼこ。赤は魔除け、白は清浄を表しているので紅白で揃えましょう。むちっとした食感と滑らかな舌触りは千寿にぴったり。柚子の皮を添えると、柑橘の爽やかな香りと苦みが千寿に加わり、かまぼこと千寿のうま味が同時に上がったように感じられます。かまぼこは厚めにカットするのがおすすめ。
「久保田 萬寿」 × 栗きんとんと黒豆
フルーティーさと乳酸の柔らかい酸味、優しく甘い香りが広がる「久保田 萬寿」。口当たりは滑らかで角がなく、穀物のようなうま味が徐々に広がり、後半から軽快な酸と苦みが出てきてフィニッシュします。穀物、乳酸をキーワードにし、甘めの味付けの料理を合わせましょう。
栗きんとんにひと振りの山椒
栗の殻と渋皮を取り除いたものを「搗(か)ち栗」と呼びます。そのうち栗そのものを「かちぐり」と呼ぶようになり、“勝ち”にかけて武家の縁起物として欠かせないものになりました。また、黄金色の財宝に例えられ、商売繁盛・金運をもたらすと考えられています。栗とさつまいもの穀物感が萬寿と同調し一体感が生まれます。栗きんとんは甘い味付けのため、国産山椒を加えるのがポイント。日本の山椒の木はミカン科なので辛味より風味。日本酒との繋ぎ役には欠かせないアイテムです。甘くねっとりとした栗きんとんと萬寿がぴったりと寄り添います。
黒豆とマスカルポーネ
“まめ”には、元気・丈夫・健康といった意味があり、「まめに働く」「まめに暮らす」など語呂合わせによりおせちで使うようになりました。萬寿に合わせるならチーズをプラスしましょう。特にマスカルポーネは柔らかいため黒豆と和えやすくテクスチャーもよく合います。萬寿の酸が、黒豆のふっくら感、チーズの甘さとコクを優しく包み込みます。お酒を飲む大人だけでなく、子供もきっと大好きな味。家族全員で楽しめます。
「久保田 純米大吟醸」 × ローストビーフといくら
「久保田」の中では一番華やかな香りを持つ「久保田 純米大吟醸」。フルーティーな香りには、バナナに例えられる酢酸イソアミルとリンゴのようなカプロン酸エチルがあります。その両方を併せ持つのが「久保田 純米大吟醸」。とろみがあり滑らかで、中盤は甘やかさとコクによりふくよかさが増し、ミルキーな酸と苦みが出てきて余韻が続きます。上品で華やかで美しいこのお酒はおめでたい日に最適。特にリンゴのようなフルーティーな香りは脂肪酸の一種なので、脂との相性が良いのです。魚卵やお肉料理と合わせましょう。
ローストビーフにマスタード
ローストビーフは縁起を担ぐ一品ではありませんが、洋食化が進む現代では子供達が喜ぶメニューや普段よりちょっと豪華なものをおせちに入れることが多くなりました。脂とうま味を閉じ込めたローストビーフは純米大吟醸の香りと良く合います。マスタードの風味と酸味を足すことにより、全体のバランスが抜群に。
いくらとゆり根
いくらは赤い色がおめでたく豪華に見えることからおせちには欠かせない一品。鮭の卵ですから、数の子と同じように子孫繁栄という意味を持っています。いくらの濃厚な味わいは純米大吟醸と相性良いですが、ここに茹でたゆり根を加えることでワンランクアップ。ゆり根がいくらの脂を緩和させホクッとした食感が純米大吟醸のふくよかさと同調します。ゆり根は鱗茎が花びらのように重なり合っていることから「歳を重ねる」あるいは「和合」に通じるとされ、薬効にも優れ「無病息災」の意味もあります。縁起の良い食材同士の組み合わせです。
いつものおせちに一工夫して新年を
おせちを食べる習慣が減ってきたと言われていますが、ちょっと変化を持たせたり今の食文化に合ったメニューを取り入れることで、おせちはお正月に欠かせないものとして残っていくのではないでしょうか。おめでたい日に酒を酌み交わすのも楽しみのひとつ。お酒と料理の繋ぎ役をほんの少し加えることで最強ペアリングになります。残りものアレンジとしても重宝するので是非お試しください。おせちと久保田で家族や友人と良い新年を迎えましょう。
まゆみ
酒匠、料理研究家。
1日も欠かすことなく酒を呑み続ける、驚胃の持ち主。郷土料理を大事にし、添加物の無い食卓を心がけている。ブログ「スバラ式生活」は人気。著書に、うち飲みレシピ、スバラ式弁当がある。viawww.instagram.com

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