高級コンパクトは日本で成功せずの常識を打ち破った! 日産ノートオーラがいまだに売れ続ける秘密は「絶妙な立ち位置」にアリ

2022.12.11 07:00
この記事をまとめると
■日産ノートオーラの販売状況について解説
■ノートシリーズを購入する人の約4割弱がノートオーラを選択
■他銘のクルマからの乗り換えも多い
多くの人がノートオーラを選んでいる
  3ナンバーボディを採用するオーラも含む、日産ノートの2022年1月から10月までの累計販売台数は9万569台。その内オーラの販売台数は全体の約4割弱となっている。
  ノートシリーズは日産車のなかでもっとも売れているだけでなく、たとえば2022事業年度締め上半期(2022年4月から同年9月)の累計販売台数での登録車のみの車名(通称名)別販売ランキングでも第3位となり、新車販売全体で見てもよく売れている。そのノートのなかで全体の4割弱をオーラが占めているのだから、オーラも“売れている”と表現するのが適切といえるだろう。
  しかし、このような状況をそのまま歓迎することができない現実もある。日産はここのところ新型車を多くリリースしている・順不同にはなるがエクストレイル、サクラ、アリア、フェアレディZなど、いずれも話題性が高くよく売れている。しかし、売れ行きのよいなか、半導体不足などによる生産遅延もあり、大量のバックオーダーを抱えたりしており、筆者が聞いた時にはいずれも新規受注停止に追い込まれているとのことであった。
  さらに売れ筋モデルだったミニバンのセレナは11月28日にフルモデルチェンジしたばかり。しかも、セレナのなかでも販売の中心となるe-POWERモデルの発売は2023年春ごろの予定となっている。現状日産ディーラーでまともに新規受注が取れる新車はどれかと聞くと、売れ筋モデルでは日産ノートシリーズぐらいとセールスマンは答えた。さらに話を聞くと、待ったとしても3カ月ほどとなっており、即納できる車種もあるとのことであった。
  ある日産ディーラーでは、「エクストレイルが新型となってからお客様より多数の受注をいただいておりますが、いまのところ生産停止となっており、新規受注も停めているため商談することができません」とセールスマンは話してくれた。複数の日産ディーラーによって情報は微妙に異なるのだが、受注停止は長引く模様で早くて2023年春ごろ、さらに2023年末や2024年冬ごろに受注再開予定との話が聞けた。
ノートオーラは買い得感が高い
  このようななか「エクストレイルの納期が読めない状況となるなか、エクストレイルを希望されるお客様にオーラを勧めると、意外なほど“これもいいね”となり、ご注文をいただけることが多いです」との話も聞けた。ノートがよく売れているのは、ほかの日産の売れ筋モデルの新規受注停止など、あまり喜ばしくない追い風も加わっているようである。
  もちろん、穴埋め的にだけ売れているわけではない。オーラは5ナンバーサイズのノートに対し、装備内容が充実しており買い得感が高いことも魅力となっている。メーカーオプションは、メインとしてふたつのセットオプション(と助手席回転シート)しか設定されておらず、シンプルなオプション設定もオーラの魅力となっている。プロパイロットを選ぶか否か、いわゆる寒冷地仕様を選ぶか否かしか用意されていない。プロパイロットを選ぶとBOSEサウンドシステムやNISSANコネクトナビなどもセットで装着されるので、Gレザーセレクションでプロパイロットを選べばオーラでのフル装備仕様になってしまう。2WDのレザーパッケージでプロパイロットを選ぶと、ウェブサイトの見積りシミュレーションでは支払総額は約324万円となった。
  単純にノートオーラで324万円となると、「うーん」と悩んでしまう金額かもしれないが、エクストレイルでもっとも売れているとされる4WDの最上級グレードで見積りをとると支払総額で約550万円となったので、そこから比較するとフル装備で支払総額約324万円は魅力的に映り、オーラを選ぶ人も多いのではないかと感じる。
  またかつての日産車だけでなく、他メーカーの大きな乗用車に乗っていた人のダウンサイズニーズというものもオーラが引き受けていると見える。ボディタイプはともかく3ナンバー車を乗り継いできた人が、セミリタイアやリタイアしたからといって5ナンバーコンパクトモデルなどにダウンサイズするのは、なかなか大英断に見える。そのようななか3ナンバーサイズながらコンパクトハッチバックのオーラが、e-POWERユニットを搭載しているということもあり、日産から日産というよりは他銘柄(日産以外のメーカー)車からの乗り換えもうまく引き込んでいるように見える。日本車からだけではなく、輸入車からの乗り換えも意外なほどあるとのことである。
  これが単純な内燃機関車ならば話は別となるだろう。“ほぼBEV”のようなe-POWERユニットを搭載しているからこそ、オーラというキャラクターが引き立っているのも間違いない。“BEV(バッテリー電気自動車未満)を疑似体験できる”といってもいいe-POWERへの世間の興味はかなり高いのは間違いない。一般的なコンパクトハッチバックとなると、5ナンバーボディというだけでなく、どうしても生活臭が強くなるのも気になる人が多いはずだ。また営業車・レンタカーというイメージも強くなりがちだ。そこもオーラはうまく特別なイメージを演出しており、新たなコンパクトカーユーザーを開拓している点ではモデルとして成功しているといっていいだろう。オーラがなくて、いまのノートの販売実績を維持しようと思えば、先代ノートレベルでレンタカーやカーシェアリングなどのフリート販売を積極化させる必要が出てくるだろうが、現状ではまだそこまでフリート販売には頼っていないように見えるのも、オーラがあるからこそといえるかもしれない。

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