成功続きにみえるトヨタにも苦労はある! 売れてなくても「存続必須」なクルマ3台

2022.12.10 07:00
この記事をまとめると
■基本的に人気がなくなった車種は廃止される
■しかし伝統を守るためなどの理由で、売れていないのに残されるクルマもある
■今回はそんな“後に引けなくなったモデル”を紹介
多くの車種にHVが用意されるとプリウスの人気が低迷
  売れ行きが下がり、もはや廃止か? と思われた車種が、フルモデルチェンジで存続することもある。直近ではトヨタ・プリウスだ。
  2009年に登場した3代目プリウスは、2010年に1カ月平均で約2万6000台を登録した(2代目の継続生産型も含む)。しかし4代目の従来型は、2015年に発売されて、2016年の1カ月平均登録台数は約2万台に留まった。2019年はコロナ禍前であったが約1万台に減り、直近の2021年は約4000台だ。つまりプリウスの売れ行きは、2010年のわずか15%に留まった。
  ここまでプリウスが減った一番の理由は、トヨタの大半の車種にハイブリッドが行き渡ったからだ。3代目プリウスが発売された2009年頃は、トヨタのハイブリッドは、SAI/エスティマ/ハリアー/クラウンハイブリッド程度であった。
  ところがその後、5ナンバーサイズのハイブリッド専用車としてアクアが加わり、そのほかにもコンパクトカーのヤリス(旧ヴィッツ)、ミニバンならノア&ヴォクシーやシエンタ、SUVのヤリスクロスやカローラクロス、ワゴンのカローラツーリングなど、いろいろな売れ筋のトヨタ車にハイブリッドが設定された。
  そうなると、もはやプリウスを選ぶ必要性は薄れた。運転しやすいハイブリッドが欲しいならアクアやヤリス、快適な居住性や広い荷室を求めるならノア&ヴォクシーやカローラクロスを選べば良い。プリウスの機能はほかの車種で補える。
  しかし初代プリウスは世界初の量産ハイブリッド車として1997年に発売され、25年を経過した今では、伝統あるハイブリッドとして認知度を高めた。廃止するのは惜しい。
伝統のあるクルマを残そうとする努力が見られる
  そこで開発されたのが新型プリウスだ。実用性は先に挙げたほかの車種に任せて、新型の外観は空力特性の優れたデザインを際立たせた。従来型に比べると、フロントピラー(柱)とウインドウは大きく寝かされ、全高は40mm低い。
  ハイブリッドも進化して、排気量は従来と同じ1.8リッター、動力性能に余裕のある2リッター、2リッター+PHEV(充電可能なプラグインハイブリッド)を設定する。PHEVには今年度で55万円の補助金が交付され、相対的に2リッターのハイブリッドは割高になる。従って新型車の売れ筋グレードは、1.8リッターとPHEVだ。
  クラウンをクロスオーバーに発展させた背景にも、プリウスに似た事情がある。2022年11月26日に掲載した「失速したクラウンを復活させる壮大な計画! 4車種投入と登場順序に隠れた巧妙な狙いとは」でも述べたとおり、クラウンの2021年の登録台数は1990年の10分の1だ。マークXなどと同じく廃止する方法もあった。
  しかしクラウンは伝統ある車種だから残す判断が下され、国内で販売するセダンから、海外にも投入できるSUVに発展した。しかも1〜2車種では販売が低迷する可能性があるから、合計4車種を用意する。クラウンもあとに引けないクルマだ。
  このほかトヨタにはセンチュリーもある。車内が超絶的に静かな高級セダンだが、今はプレミアムブランドのレクサスも国内で展開され、最上級セダンのLSも選べる。ブランドイメージでは、メルセデスベンツが一番上級と考えるユーザーも多い。
  そのためにセンチュリーは販売しにくく、2022年の1カ月平均登録台数は、約14台ときわめて少ない。しかし初代モデルを1967年に発売した歴史のある最上級セダンで、皇室御用達という側面もあるから引っ込められない。そこで現行センチュリーは、先代レクサスLS600h Lのプラットフォームとハイブリッドシステムを使って開発コストを抑え、価格は2008万円まで高めたが、採算をとるのは厳しい。
  今は日本で売られる小型/普通車の半数以上をトヨタ車が占めるが、必ずしもオイシイ商売をしているわけではない。やめるにやめられない、引っ込みの付かなくなった車種もあるのだ。

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