新型ジープ・グランドチェロキー・リミテッド試乗 5人乗りショート版は「L」と対照的?

2022.12.07 00:00
公開 : 2022.10.24
ロングボディから遅れること約半年。日本デビューしたグランドチェロキー5人乗り標準ボディに試乗しました。
ショート版が出た スペックは対照的?
昨年フルモデルチェンジがアナウンスされ、今年2月から日本市場における発売が開始されたグランドチェロキー。

導入当初の仕様は3列シートを持ったロングボディと3.6Lの自然吸気V6エンジンの組み合わせが基本となっていた。
グランドチェロキーLから遅れること約半年。5人乗り標準ボディが登場した。 撮影:神村聖
画像 共通項は「高級感」、でも心臓は対照的?【グランドチェロキー/標準ボディとロングボディを比較】全161枚
それから約半年が経った今、グランドチェロキーのラインナップが拡充されることになった。

今回の仕様は前回とは対照的ともいえるもの。スタンダードホイールベース、2列シートのボディに、272psを発揮する2L直列4気筒ターボ・エンジンが搭載されているのだ。

また今回の試乗会では実車を見ることが出来なかったのだが、同じ直4ターボのパワーユニットにプラグインハイブリッドを組み合わせた4xe仕様も用意されている。

ガソリンの2Lモデルに関しては塗装やサンルーフといった装備の違いこそあれ、基本的にはリミテッドの1グレードのみ。

一方PHEVの4xeはリミテッドと
最上級のサミット・リザ-ブから選べるようになっている。

これまでのグランドチェロキーL(ロング)と今回デビューしたスタンダードのホイールベース長は125mm差となる。全長はLの5200mmに対しスタンダードは4900mmと300mmの違いがある。

つまり両車はホイールベースだけでなくリアオーバーハングの寸法も異なっているのである。

パッと見、コンパクトな感じは皆無だが、エンジンをはじめ全体のバランスは気になるところ。さっそく実車に触れてみよう。
高級感は健在 違いは心臓にあり
今回われわれが試乗したグランドチェロキー・リミテッドは内外装とも黒(外装はダイアモンドブラック)という渋め仕様だった。

ベースモデルという位置づけなので価格は892万円だが、ジープのラグジュアリー分野のフラッグシップであることに変わりはない。
ジープ・グランドチェロキー・リミテッド 撮影:神村聖
運転席からの眺めも車格どおりの立派な設えだ。

シートレイアウトを除けば、室内の見た目は既存のLリミテッドと同様。

ダッシュ中央の10.25インチのタッチスクリーンから光沢のあるブラックパネルを使用したセンターコンソールへのつながりにも高級感があるし、全体が黒くまとめられた今回の個体でもマットなメッキの縁取りがほどよく高級感を演出している。

リアシートの足元スペースもマイナス125mmというホイールベース長を感じさせない余裕たっぷりの作りになっている。

遮音が優れたボディのおかげでアイドリングをさせているだけでは4気筒ターボであることを見抜くのは難しい。

だが走りはじめればその特徴的なパワー特性によってすぐにそれとわかる。ターボラグによる一瞬の躊躇のあと、ビュンッと加速する。

じわりとトルクが溢れ出す3.6L自然吸気V6対活発な2L直4ターボという図式はラングラー・アンリミテッドでもみられる組み合わせ。

ラングラーの場合でもオンロードメインでロングドライブに興じるような場合は4気筒ターボの方が断然気持ちがいい。

その図式は4気筒のラングラーより100kg弱車重が重いグランドチェロキーでも健在だった。
PHEVも選べる 気になるのは4xe?
高速道路など一旦スピードに乗ってしまえば至極快適な4気筒のグラチェロ。だが街中ではパワー特性が気になった。

クルマ好きはターボラグすら楽しめるはず。だがストップ&ゴーが連続する街中で普段使いする場合には少しアクセルワークに慎重におこなう必要があると感じた。
ジープ・グランドチェロキー・リミテッドの全長は4900mm 撮影:神村聖
何しろこの4気筒ターボは、アルファロメオ・ジュリアを「それらしく」走らせることに長けた逸品なのだから。

4気筒ターボのパワー特性はラングラーでも同じはずなのだが、以前ジープの原種を試乗した時にはあまりそれが気にならなかった。

ラングラーは遊び心溢れる特殊なモデル、という思い込み(?)があるからだろうか。

奥さんが街中で普段使いするシーンが多いのであれば、そして取りまわし的に問題がなければ(最小回転半径はLが6.3m、スタンダードは6.0m)、自然吸気V6搭載のLリミテッドを考慮してみる必要があるだろう。価格はLの方が15万高いだけなので。

一方3列シートは不要だし、何より小まわりが重要という人にとって注目すべきは4xeだろう。

車体の前後にモーターを備え、最大で40-50kmほどEV走行できるという4xeならばターボラグをモーターが埋めてくれる可能性も高いはずだからである。

クルマ自体の完成度がとても高まった新型グランドチェロキーだけに、ラインナップの拡充はカスタマーに非常に大きな利益をもたらすのではないだろうか。
ジープ・グランドチェロキー・リミテッドのスペック
価格:892万円
全長:4900mm
全幅:1980mm
全高:1810mm
ホイールベース:2965mm
車両重量:2070kg
パワートレイン:直列4気筒1995ccターボ
最高出力:272ps/5250rpm
最大トルク:40.8kg‐m/3000rpm
WLTCモード燃費:-
ギアボックス:8速オートマティック
ジープ・グランドチェロキー・リミテッド 撮影:神村聖
記事に関わった人々
執筆:吉田拓生
1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

撮影:神村聖
1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
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