アウディのコンパクトクーペ! 「TT」と「TTS」の違いや歴代モデルを徹底解説

2022.12.05 20:00
この記事をまとめると
■コンパクトクーペモデルのアウディTTとTTSの違いを解説
■TTは英・マン島で開かれていた「ツーリスト・トロフィー」に由来
■TTSはとくに走りを重視するユーザーから注目を集めたモデル
現行限りで消滅するアウディの2ドアコンパクトクーペモデル
アウディTTSとTTの違いとは?デザインや性能を比較
  現行型でシリーズ廃止がアナウンスされたアウディTT。初代から高い人気を誇っており、モデル廃止を惜しむ声も多く聞こえてきます。
  そんなTTは現在、TTクーペ2グレードとTTSクーペをラインアップ。今回はTTシリーズのハイパフォーマンスモデル、TTSを詳しく解説していきましょう。
アウディTTシリーズとは?
  現行モデルが3代目となるアウディTTとはアウディA3(フォルクスワーゲン・ゴルフ)のプラットフォームを使用したFF、もしくは4WDを備えるコンパクトスポーツカー。1998年に初代がデビューし、大きな人気を集めてきました。
  2代目からフルモデルチェンジされて登場した現行モデルは2015年に国内販売を開始。
  デビュー時はTTクーペ、TTロードスター、TTSクーペの3タイプがラインアップされました。
  ルーフからなだらかにつながるキャビンとCピラーなど、歴代モデルと同様の“らしい”フォルムを採用した3代目は、新たに洗練さも備えつつ垢抜けたデザインを採用。インテリアもスポーティな雰囲気を備えつつ、タービンをモチーフにしたエアコン吹出し口など、モダンで上質なデザイン性にもこだわっています。
  現行モデルの基本メカニズムはアウディA3を流用。MQBプラットフォームを採用したことやシャシーの大部分をアルミにしたことで、先代より50kgほど軽量化されているのが特徴です。
  ボディタイプは4シーターのクーペと2シーターオープンのロードスターを用意していました。ただし、TTシリーズで人気があったロードスターは2020年に生産終了。現在はクーペのみがラインアップされています。
  4シーターとなるクーペの後席も大人が乗るには狭いため、実質2人乗りといえるでしょう。
  パワーユニットは当初、クーペのFF仕様には最高出力180馬力の1.8リッター直4を搭載していましたが2019年に廃止。現在はすべてのモデルが2リッター直4エンジンとなっています。
  ただし、2020年に国内導入されたTTSをベースにさらなる性能向上を図ったハイパフォーマンスモデルTT RSには、2.5リッター直5エンジンを搭載していました。
  最高出力400馬力を発揮する高性能ユニットを身につけたTT RSは、0-100km/h加速3.7秒とすさまじい加速を発揮。現在はすでに販売されていませんが、TTシリーズの頂点を担うモデルとして圧倒的なパフォーマンスを備えていました。
  現行モデルはデビュー後、特別仕様車や限定モデルを発売していき2019年にマイナーチェンジを実施。フロントグリルなどのデザインが変更されたほか、パワーユニットの変更などが行われています。
  2022年11月現在、TTシリーズはFFのTTクーペ40、クワトロのTTクーペ45、ハイパフォーマンス仕様のTTSクーペをラインアップ。価格はTTクーペ40が518万円、TTクーペ45が649万円、TTSクーペが872万円となります。
アウディの人気シリーズ
  高い人気を誇ってきたTTシリーズ。初代から続いてきた歴代モデルを紹介していきましょう。
初代(1998〜2006年)
 ボディサイズ:全長4041mm×全幅1764mm×全高1346mm
  キャビンやフェンダー、はたまたインテリアなど円をモチーフにしたデザインが大きな話題となった初代TTは1998年にデビュー。車名の「TT」は英・マン島で開かれていた「ツーリスト・トロフィー」に由来しています。
  アウディA3のプラットフォームをベースに開発された初代は、FFと4WDのクワトロを用意。パワーユニットは1.8リッター直4エンジンを中心に、ハイパフォーマンスモデル「Sライン」には、3.2リッターV6エンジンが搭載されました。
  ボディタイプは3ドアハッチバッククーペと、2000年に追加されたロードスターをラインアップ。ロードスターには電動ソフトトップが装備されています。
  エクステリアデザインが大きな特徴となるTTですが、インテリアデザインも野球のグローブをモチーフにしたシートやアルミを多様。上質に仕立てた内装パーツなど数々の特徴を備えていました。
2代目(2006〜2015年)
 ボディサイズ:全長4178mm×全幅1842mm×全高1352mm
  Aピラーを前進させたキャビンフォワードのフォルムはそのままに、当時アウディが進めていたシングルフレームのグリルを備えた2代目は2006年に登場。初代のエッセンスは残しつつ、新たなスタイリングを身にまとったエクステリアデザインは、ファンの間で賛否が別れました。
  ボディタイプは初代同様、3ドアハッチバッククーペと2シーターオープンのロードスターを用意。アルミとスチールのハイブリッド構造を採用したことで、初代と比べて大きな軽量化を実現しています。
  2代目の大きなトピックスは、今回のテーマとなるTTSが用意されたこと。最高出力272馬力を発揮する2リッター直4ターボエンジンを搭載し、電子制御ダンパー「マグネティックライド」を装備したTTSは、とくに走りを重視するユーザーから注目を集めました。
  また2代目にもさらなるパフォーマンスを備えたTT RSクーペもラインアップ。2.5リッター直5ターボエンジンが強烈な加速を楽しませてくれました。
TTシリーズは現行モデルで終了
  2020年の年例ミーティングで次期TTはないことを発表したアウディ。残念なことにTTは3代目が最終モデルとなります。
  初代から高い人気を集めたTTシリーズでしたが、世界的なクーペ離れの影響を受けて販売が低迷。ついにブランドが終了を迎えることになりました。
  TTシリーズに代わるモデルとしてEVスポーツカーの登場も噂されていますが、現時点で登場するかどうかは不明。TTの販売終了後はコンパクトクーペがアウディのラインアップから消えることになります。
高性能モデル「TTSクーペ」と「TT」の違いを徹底解説
アウディTTS クーペとは?
  2代目TTシリーズに追加されたTTS クーペとは、TTクーペよりエンジンに出力を高めるなど走行性能にこだわったハイパフォーマンスモデルです。
  すでに販売を終えたTT RSクーペとTTクーペの間に位置するモデルでTTSの「S」はスポーツを意味します。ちなみにTT RSの「RS」はレーシングを意味し、車名通りTTSに比べて圧倒的なパフォーマンスを備えていました。
TTとTTS を徹底比較
エンジンスペック
  アウディTTには現在、TTクーペ40、TTクーペ45クアトロ、そしてハイパフォーマンスモデルのTTS クーペがラインアップされています。
  TTとTTSはともに2リッター直4ターボエンジンを搭載しています。
  TTクーペ40に搭載されているのがDKZ型エンジンで最高出力197馬力、最大トルク32.6kgmを発揮。
  TTクーペ45クアトロには最高出力245馬力、最大トルク37.7kgmを発揮するDNP型エンジンを搭載。
  一方、TTSにはDNF型エンジンが搭載されていて最高出力320馬力、最大トルク40.8kgmとTTよりパワーやトルクが大幅にアップされています。
  またTTクーペ44とTTSクーペの駆動方式は、アウディ自慢のクアトロを採用。TTクーペ40はFFとなります。
エクステリアの違い
  ワイド&ローでダイナミックなフォルムはTT、TTSともに共有ですが外観にも細かい違いはあります。
  まずボディサイズ。全長4190mmのTT(クーペ40&45)に対して、TTSは4200mmとわずかながら長くなっています。また全高がTTは1380mmなのに対してTTSは1370mmと、こちらも10mm低くなりました。
  見た目の違いでわかりやすいのがタイヤサイズでTTは225/50R17、TTSは245/40R18。TTSには合わせて10Vスポークデザインのアルミホイールが装着されます。
  またTTクーペ40のヘッドランプはバイキセノンヘッドランプを装着していますが。TTクーペ45およびTTSのヘッドランプはLEDヘッドランプとなります。
  そのヘッドランプですが、TTSにはマトリックスLEDランプが装備されました。
  マトリックスLEDランプとは車両に搭載されたカメラなどで周囲の状況や対向車、先行車両の位置に合わせてランプの照射を自動調整する先進装備。ロービームは太陽光に近い明色を作り出すことで、走行時の安定性を高めています。
  TTクーペ40&45には標準では備わっていない装備ですが、オプションで装着可能です。
  リヤテールランプもTTSとTTクーペ45には標準でLEDリヤダイナミックターンインディケーターが装備。LEDリアライトの機能に加えて視認性の高い証明パターンを展開するターンインディケーターを搭載しているランプです。
内装の違い
  TTSに乗り込むとまず目につくのが、ヘッドレストにSのエンブレムがあしらわれたスポーツシート。TTクーペにはない装備です。
  TTクーペ、TTSのステアリングは3スポーク・レザーマルチファンクション・パドルシフト・フラットボトムを装着。ステアリングにインフォテインメントの基本機能を操作できる4つのマルチファンクションボタンと、マニュアルでギヤチェンジが可能なパドルシフトを備えています。形状に違いはありませんが、TTSにはSのエンブレムが備わることが異なるポイント。
  またTTクーペ、TTSの運転席に座ると視界に入るのがバーチャルコックピット。TTクーペが画面左にタコメータ、右にスピードメーターを配置し中央にナビのマップを表示することに対して、TTSは画面中央にタコメーターを配置。メーター横にナビのマップを映し出すなど表示方法が異なります。
走りの違い
  TTクーペとTTSで大きく異なるのが走行性能。最高出力がTTクーペ40とは100馬力以上も違うため、パフォーマンスが大きく異なります。
  専用チューニングが施されたエンジンにより、TTSの0-100km/hの加速は4.5秒。サスペンションも専用のアウディマグネティックライドサスペンションを装着。このサスペンションは走行状況に合わせてダンパーの減衰力を制御することで、快適な乗り心地と優れたドライビングを実現しています。
TTSの試乗レビュー
  TTSを走らせてまず感じるのが運転のしやすさ。「え、スポーツカーなのに運転がしやすいの?」と思われるかもしれませんが、2リッター直4ターボエンジンは低回転域からトルクがあり、一般道でもゆとりある走行を味わえます。
  ただ、高速道路でアクセルを踏み込むと性格は一変。スポーツカーらしいエンジンサウンドを発しながら、鋭い加速と圧倒的なパワーを発揮します。
  そんな強烈なパワーとトルクを発揮するTTSですが、4WDシステム「クワトロ」を備えていることで、安心してアクセルを踏むこむことができました。
  もちろんブレーキのレスポンスも抜群。旋回性にも優れているため、ワインディングでの走りも楽しめる1台です。
TTSの価格相場
  アウディTTSを中古車で手に入れたい場合、市場に出回る台数が少ないため程度の良い車両を探すことに時間がかかるかもしれません。
  現行TTSの中古相場は270〜895万円。執筆時点では全国で35台が販売されています。
  また先代TTSはさらに台数が少なく、わずか10台あまり。中古相場は140〜240万円となっていました。
まとめ
  現行モデルでシリーズが廃止されることになったアウディTT。クーペ&スポーツカー好きにとって、いまだ魅力的なモデルなだけに残念でなりません。
  なかでもTTSクーペの魅力はまた格別。新車で手に入れたいなら、いまが最後のチャンスです!

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