カーボンニュートラルというのに動きがみえない! 重機や大型トラックの「電動化」の話が出ないワケ

2022.11.21 10:00
この記事をまとめると
■大型車両にBEVが普及しない理由を解説
■大型車両や重機を動かすには莫大な電力を消費するのでバッテリーだと都合が悪いことが多い
■バッテリー交換式やトロリー式で電動化を目指している企業が複数あるので今後に期待だ
大型車の分野でなかなかBEV化が進まないワケ
  現代の自動車に与えられた大きな課題は、走ることによって大気中に放出される排気ガスに含まれる有害成分、とくに二酸化炭素の排出をゼロに抑えることで、そのために動力の電動化が急ピッチで進められているわけだが、ふと街中の交通に目をやると、トラックやダンプカー、バスといった大型車の排出ガスは規制しなくてよいのか、という疑問が湧き起こってしまう。
  さて、実際のところは、当然ながら乗用車だけでなく、大型車や重機のEV化も研究・開発が進められているわけだが、実用化にあたって乗用車より困難な問題を抱えているのも事実である。最大のネックは、エネルギー源となる電池の問題である。
  大型車両や重機は、自身が移動するだけでなく、人や物を運搬したり、掘削、押土、整地、吊り上げ(移動式)などの作業を目的に作られたものがほとんどで、電動化した場合、仕事量(消費電力)は少負荷での移動を目的とした乗用車の比ではない。より多くの仕事をこなすためには、それに見合った電力量が必要になる。
  この電源を受け持つのがバッテリー(充電池)だが、現状、大型車の仕事量をまかなえるだけの容量を持ったバッテリーの搭載がきわめて困難な状況にある。簡単に言ってしまえば、バッテリーが大型重量級になることで車両の利便性、実用性(車重の増加による積載量の低下、大容量であるため充電時間が長くなることで車両稼働率が低下するなど)が損なわれてしまうのだ。
  言い換えれば、軽量コンパクトにして大容量のバッテリーが実用化されれば解決する問題でもあるのだが、バッテリーの大容量化、高効率化はEVの誕生と同時に大きくのしかかった問題で、いまもEVの発展を左右する決定的な要素となっている。
バッテリー交換式が普及すれば可能性はある
  では、実際に大型車のEV化はどんな状況にあるのだろうか。世界の現状に目を向けてみた。
  やはり、大型車は電力の消費が大きいため、バッテリーをどうするかが大きな問題となっている。これの1つの解決作として「電池交換式」の方式が試されている。中国で行われている方法だが、車両と着脱式バッテリーを別販売とし、使用して容量が低下したバッテリーをフル充電のものと換装することで充電の問題に対処する方式だ。ホンダからも小型な物が実用化されている。
  もちろん、現在主流となっているディーゼルエンジンによる大型トラックと較べ、長距離走行性は劣るが、バッテリーステーションを設け、そこでバッテリーの換装を行うことで機動性を確保することが図られている。バッテリーはリース方式、ステーションをインフラとして公共性を持たせるなど、普及に向けてさまざまな方法が実施されている。
  一方、採掘場など活動範囲がある程度限られる大型ダンプトラック(積載量は200トン級!)では「トロリー充電式」が実用化に向けて開発が進められている。日本の日立建機とスイスのABB社が共同開発する車両で、車両の走行電源は敷設された架線から供給、架線のない区間は架線から充電したバッテリーで走行するという、フル電動方式のダンプトラックである。なお、日立建機は現在、架線から電気を供給し架線のない区間はエンジンで発電した電力によってモーターを駆動するハイブリッド方式のダンプカーを製品化し、作業現場で実用化されている。
  大型EVは、基本的には乗用(小型)EVと同種の問題を内包するが、消費電力が大きくなることでそれに見合った電源(バッテリー)が必要となり、結果的に乗用車より実現に向けてのハードルがかなり高くなっているのが現状だ。

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