【日産の新型軽EV「サクラ」で500キロ試乗!】欧州プレミアムブランドBEV以上の異次元感! 急速充電はたまの遠出の際がベターです

AUTO MESSE WEB
2022.11.15 20:10
売れすぎて補助金も尽きかけるほど人気の「サクラ」
 2022年7月に発売開始されるやいなや、予想を越える売れ行きにより、9月末には納期予定が1年先にまで達してしまった軽BEV(バッテリーEV)の日産「サクラ」。このため日産は受注の一時停止を発表するに至っている。
 この人気には、車両の魅力だけではなく、55万円という国(経済産業省)のCEV補助金の存在が大きく影響しているのは間違いないところだが、これもまた予算が今月(2022年11月)中旬には尽きるとの発表がなされている。この補助金は、購入車両の初年度登録がなされたうえで受けられるものなので、すでにサクラを契約済みであっても、今後の納車を待っている人の大半は、現状では補助金は受け取れないということにもなってしまう。
 あとは都道府県に加えて区や市などでも、それぞれ独自に補助金の交付を行っているところもある。ただ、額として一番大きいのは国からのCEV補助金であり、いま納車待ちの人への対応がどうなるのか、来期の予算や時期についても発表を待つしかないなかで、悩ましい人もいることだろう。
駆動用バッテリー容量20kWh、航続距離はWLTCで180km
 それにしても、サクラに初めて乗った際は、ちょっとした衝撃で、欧州プレミアムブランドが相次いで投入しているBEVの高級車やスポーツモデルなどと比べても、ICEに対しての異次元感は遥かに大きかった。
 大半の軽自動車が採用する0.66L 3気筒エンジン+CVTでは絶対に得られない発進域からのきわめてスムースな動き出し、上質感を備えた力強い加速性能、登坂時のゆとり、速度域を問わずのパワーユニットの静かさといったEVならではの特性。それに加えて、なによりも軽自動車では考えられなかった低重心とそれによる高い安定性、落ち着いた乗り心地は、軽自動車に抱く不満、不安を打ち砕くものだったからだ。
 ただし、サクラの場合、駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は20kWhに過ぎず、BEVでつねづね話題、課題、問題として上がることの多い一充電走行距離は、WLTCモードで180kmしかない。それでも、主要販売地域として考えられている地方部での軽乗用者の使われ方としては、基本として充電環境を備えた住居を使用拠点とするなら、十分に対応可能なユーザーは少なくない、というのは、サクラの売れ行きからもして外れてはいないのだろう。
 でも、クルマでちょっと出かけようとすれば、それなりの距離を移動することになったりするものだ。一家で複数台所有という環境なら、それを借りる手もあるとしても、個人の主要移動の手段として、イザという時のサクラの使い勝手はどうなのか。
 そこで、例によって長距離ドライブに出かけてみることにした。さすがに、いつものような1000km越えといった距離は、サクラのコンセプトからしても、ただの意地悪に過ぎなくなってしまうので、比較的近場に1泊で出かける、といった想定で。
都内から伊香保温泉まで1泊2日の試乗ドライブ
 宿泊地は観光ドライブを模して、群馬県の伊香保温泉とした。都内からだとルートにもよるが、片道がせいぜい150km以内の距離である。日常の移動の足としての走行の再評価も考えて、高速道路での移動は控えめとしたが、500km弱の試乗がかなうことになった。
 この試乗を通しても、走りの性能、快適性に関わる評価では、当初の印象を裏切ることがなかったばかりか、なにより、1日長時間にわたり走らせていても、疲れが少ないことに驚かされた。短距離での使用を主とした本来のコンセプトから思えば、より一層その思いを強くすることになるのだった。
 もちろん、航続距離が短いことから、満充電から走り出したとしても、何時間にもわたる連続運転ということにはならず、高速道路なら長くても1時間半、一般道での移動ならば平均車速が低い場合でも通常3時間程度で充電スポットに立ち寄る必要が生じてくる。
 充電スポットが移動ルート上で見つかるとは限らないので、充電のための、いわば寄り道となって、移動のための所要時間が増えてしまうことを考慮しておく必要もある。
 今回は幸いにも、立ち寄った充電スポットで故障中(意外と珍しくない)には遭遇せず、また先に充電車両がいて待たされることもなかったのでスムースだった。さらには、サクラはバッテリー冷却に水冷式を採用しているため、ワインディングを走行してきた直後の充電などでも、充電効率が極端に落ちるようなことなく、だいたい想定していただけの充電がなされるのも安心材料となっていた。
ラクにドライビングできることでは軽随一
 サクラに限らず、BEVのほとんどがバッテリーを床下に収めたパッケージングを採用するので、低重心になるのは当然だが、トレッドに対して元来の重心高が高い軽にとってのその効果は、予想を遥かに上回っていた。疲れが少ない要因は、この安定感と乗り心地とともに、発進からドライバーのアクセル操作に沿ったスムースな動き出しと加速を得られること、80km/h領域までは必要な際にストレスのない加速性能を備えること、その際の音や振動が極めて小さいこと、さらにプロパイロット使用時の制御が、乗員にとって違和感の少ないものになっていることなどだ。
 ドライブモードとe-Pedalの組み合わせの選択で、アクセルオフの際の減速度合いもドライバーの好みや走行環境に合わせられるが、私の場合は、e-Pedalはオフで、もっとも減速力が低く、アクセルを戻した際のブレーキランプの点灯がほぼないEcoモードが、ワインディング走行時を除いた大半での選択だった。ちなみに、Ecoでも日常での加速で不足を感じさせることはまずない。
 一方で、ワインディングなど上り坂でのレスポンスなどを求めたい時には、スポーツモードを選択しておけば、アクセルワークに対して即座にパワーを発するし、アクセルオフでの減速度もしっかりと得られる。
 ワインディングでは、そういう走りのクルマではないことを認識したうえで、少しスポーティなドライビングもしてみたが、モーターならではのトルクの力強さで、一般道の速度域において上り坂での加速が意のままであること、そしてハンドリングにおいては、ロールが穏やかでタイヤが地に着いた感覚で曲がれること、つまり、軽にはありがちな、ひっくり返りそうな恐怖感がなく、操舵に対して素直に普通に曲がってくれるなど、ラクにドライビングできることでは軽随一と思えた。
 そうした際には、ゆったりと座れる平坦な形状の座面のフロントシートは、さすがにサポート性が心もとなくなる。その代わりに優しく身体を受け止めるクッションやシートバックのおかげで、サクラに長時間座り続けていても、疲れを感じさない一因となっていた。
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