パラ水泳金メダリスト、木村敬一選手がハーフマラソン初挑戦を決めた理由 ~「TOKYO LEGACY HALF MARATHON 2022」に挑むパラ選手の想いに迫る~

2022.11.07 17:00
2021年に開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック」。多くの感動を生んだ大会の熱をレガシーとして後世に伝えるべく、2022年10月16日(日)に「TOKYO LEGACY HALF MARATHON 2022」が開催された。東京2020大会のゴールドパートナーを務めた株式会社アシックスは、大会以降もパラスポーツを通じた共生社会の実現を目指している。「TOKYO LEGACY HALF MARATHON 2022」においても、東京ガス株式会社所属の木村敬一選手、日本体育大学の湯口英理菜選手、笹原拓歩選手らパラスポーツ選手のハーフマラソン挑戦をサポートしました。本番を控えた10月上旬に木村選手、湯口選手、笹原選手のハーフマラソン挑戦に向けた思いについてお話しを伺いました。
パラ水泳金メダリスト・木村敬一選手の挑戦「"挑戦する"ことの高ぶりを感じてほしい」
(木村敬一選手)


東京2020パラリンピック水泳男子100mバタフライS11の種目において、悲願の金メダルを獲得した木村敬一選手。"全盲の最強スイマー"の呼び名にふさわしい栄冠を手にした木村選手がハーフマラソンに挑戦するという報は、パラスポーツ界を飛び出し各所へ衝撃を与えた。「東京2020オリンピック・パラリンピックが終わって1年。あの盛り上がりを継続していくためには、選手である我々もいろいろがんばらないといけないと考えていました。いろいろな企業の皆さんが大会を支援してくれたのも、きっと同じ気持ち。選手として体が動く内はスポーツをするのが一番だと思い、ビビりながらではありますが参加させていただきました」と、東京2020大会の熱狂をつなぐために挑戦を決めたといいます。


実際のトレーニングでは、想像以上の苦労に見舞われたという木村選手。「汗はかきますし、天気も気にしないといけない。何より足が痛いんですね。水泳は地に足がついてないスポーツですから、足から受ける衝撃に中々慣れません」と、水中とは勝手が違う陸上からの刺激に戸惑ったといいます。その一方で「伴走の方やコーチと一緒に話しながら走れるのはいいですね。水泳はおしゃべりできないので。周囲の環境や景色の変化、フォームの問題点などその場で伝えてもらえて、すぐに実践できる素晴らしいスポーツだと思いました」と、マラソンならではの魅力も感じている様子。すでに15kmのテストランにも成功し「あとは1kmあたりのペースを体に覚え込ませていくだけですね」と、残すは最終調整のみだといいます。


木村選手は改めて、今回の挑戦がもつふたつの意義を語りました。ひとつは共生社会の実現。「視覚に障害があってもいろいろなスポーツに挑戦すること。それを自分が実際にやってみることで、障害者と社会の繋がり、ひいては日本全体が目指す共生社会へ繋がっていくと思っています」と、木村選手が目指す社会の実現への第一歩であると位置づけました。もうひとつが東京2020大会の熱狂の再現。「自分でも無茶なことをやっていると思いますが、ぜひ多くの人に”挑戦する”ということの気持ちの高ぶりを感じてもらいたいですね。去年オリパラで僕たちを応援してくださった皆さんに、もう一度スポーツの楽しさを思い出していただけたらと思います」と、木村選手は微笑みました。共生社会の実現と熱狂の再現。ふたつの意義を胸に、木村選手は未知の領域に挑みます。
湯口英理菜選手「精一杯頑張る」笹原拓歩選手「スポーツの魅力を届けたい」
(左から湯口英理菜選手、木村敬一選手、笹原拓歩選手)


陸上競技部にパラアスリート部門がある日本体育大学から、湯口英理菜選手と笹原拓歩選手の両名も「TOKYO LEGACY HALF MARATHON 2022」へ挑みます。
湯口選手は両足義足のスプリンター。T61(両脚大腿義足)のクラスにおいて、2021年には自らがもつ女子200mの世界記録を更新。日本有数のワールドクラススプリンターとして名を馳せています。そんな湯口選手は本大会において、初のハーフマラソンに挑戦。しかも普段の生活では使わない車いす、さらにはレーサータイプでの出場を決めました。


湯口選手はこのチャレンジについて「普段は車いすと無縁の生活をしており、パラ陸上でも義足で走っています。初めてのチャレンジで不安もありますが、何でもやってみたいという気持ちからレーサーへ挑戦したいと思いました」と、持ち前のチャレンジ精神の結果であると語りました。普段の競技とは違う世界への挑戦に「わくわくの気持ちと不安な気持ちが両方あります」と笑う湯口選手。「普段のトレーニングにはない動きが多く、短時間で習得する方法を考えるのが難しいですね。大変なこともありますが、レーサーでないと感じられない風の感触やスピード感が新鮮です」と、苦労はしながらも喜びを感じているといいます。


掲げた目標は「精一杯頑張る」と極めてシンプル。「障害を持った人でも、目標に対する気持ちがあれば挑戦できる、という姿勢が伝わったらうれしいです」と、挑戦の大切さを世界に届けるとまっすぐな意気込みを見せています。


笹原選手は、大分国際車いすマラソンや福岡マラソンなど、多くの車いすマラソン大会で実績を残す車いすランナー。小学校の卒業文集に描いた「車いすマラソンの選手になりたい」という夢を実現すべく、フルマラソンへの挑戦を目指しています。試金石となる本大会では、自己ベストである59分台の更新が目標。「自分の強みは登り。スピードを殺さずに登りきりたいですね。反対に苦手な下り坂でいかにスピードに乗れるか、体力を温存できるかがポイント」と、自己ベスト更新に向けた戦略には抜かりはありません。


笹原選手は、今回の挑戦は自分のためだけでなく、次世代の子ども達のためでもあるといいます。「障害者スポーツを知らない人はまだ大勢います。そういった方々に私たちの挑戦を通じてスポーツの魅力を届けたいですね。そして私たちの挑戦を見て、子ども達が自分にもできることを見つけてもらいたいと願っています」と力強く語った笹原選手は、子どもの頃からの夢の実現に向け、10月16日に新たな挑戦の舞台へ臨みます。
レガシーを次の時代へ。挑戦の素晴らしさを知る大会を実現する
(木村敬一選手と伴走と務めたアシックス社員・福成忠)


東京2020大会のゴールドパートナーを務めたアシックスは、「TOKYO LEGACY HALF MARATHON 2022」のオフィシャルパートナーとしてさまざまな大会サポートを行いました。本大会では「挑戦」をテーマに、パラアスリート3名を強力にバックアップ。東京2020パラリンピックの金メダリストである木村選手の初ハーフマラソンへの挑戦。義足スプリンターである湯口選手の初レーサーへの挑戦。フルマラソンを目指す車いすランナーである笹原選手の自己ベストへの挑戦。三者三様の挑戦は、きっと多くの方に挑戦の素晴らしさを届けてくれるでしょう。

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