ついに悲願の打倒フリードなるか? 新型シエンタがフリードよりも優位な点をとことん探ってみた

2022.09.27 17:20
この記事をまとめると
■ホンダ・フリードとトヨタ・シエンタは5ナンバーサイズのコンパクトミニバン
■2022年8月に3代目となる新型シエンタが登場した
■今後のライバル対決の行方を占う
3代目となる新型シエンタが登場!
  ホンダ・フリードとトヨタ・シエンタ。この5ナンバーサイズの「ちょうどいい」コンパクトミニバンのライバル関係は、たとえばステップワゴンとノア&ヴォクシーより熾烈だ。というのは、ステップワゴンが属するMクラスボックス型ミニバンには日産セレナ、微妙にクラスは違うものの三菱デリカD:5もあり、いわば三つ巴、四つ巴!?(スズキのOEM車のランディもあるが)の戦いになるのだが、国産コンパクトミニバンはフリードとシエンタしかなく、まさにどちらかを選ぶしかないクラスだからである。
  現時点で新しいのは、もちろん2022年8月に3代目となったシエンタだ。現行フリードはその2代目で、2016年にデビュー。すでに6年が経過したモデル末期であり、来年にもフルモデルチェンジが予想されているタイミングである。とはいえ、今、コンパクトミニバンを買うのであれば、デビューしたてのシエンタか、2022年6月に一部改良を行った熟成のフリードとの比較対決(検討)となる。ちなみにシエンタが新型になる前の2022年8月の乗用車登録台数ランキングでは、フリード6位、モデル末期のシエンタが17位(7月はフリード9位、シエンタ29位)だった。
  フリードの特筆すべき点は、1.5リッターガソリン、HVのふたつのパワートレインを持つのはシエンタ同様だが、シエンタよりクリーンなエクステリアデザイン、3列シートの2列目キャプテンシートの用意、そして3列シート6/7人乗りのフリード、および2列シート5人乗りのフリード+、さらに両モデルともにクロスターというクロスオーバーモデルを揃えていること。
  一方、シエンタの3列シートは先代、新型ともに2列目席はセミベンチシートのみ。新型のエクステリアはいきなり無塗装のプロテクトモールを随所に配したギヤ感、クロスオーバー感あるものに大変身。プレーンなエクステリアデザインを持つ仕様は存在しない。また、現時点でフリードクロスターに相当するクロスオーバーモデルもまた用意されていないし、先代の2列シートはFUNBASEと呼ばれていたが、新型ではそのネーミングを営業的理由から廃止。シエンタの2列シート仕様としている。
  ところで、フリードと先代シエンタの比較では、シエンタはスライドドア部分のステップ高330mmという低さ(フリードは390mm)、3列目席の居住性、2列目タンブル格納によるシートアレンジによる3列目席の乗降性で優位に立ち、走ればロールはそれなりに大きかったものの、前席のソファ感覚のかけ心地+ふんわりとした女性好み!? の乗り心地が特徴だった。ただし、ぎらついたインパネの質感、およびインパネと前席の着座位置の関係が不自然だったことが惜しまれた。
新型シエンタは先進運転支援機能に優れる
  走行性能で先代シエンタで褒められたのは、後期には消滅したオプションの16インチタイヤを履くモデル。最小回転半径が大きくなる(15インチの5.2mから一気に5.8m!!)のが難点だったが、それこそフランス車的な、ふんわり、ピタリな乗り味を示したくれたのだ。しかし、15インチタイヤを履く先代シエンタの乗り心地には特筆すべき特徴はなく、極めてフツー。よりしっとりしなやかで上質な乗り心地で、より静かに走ってくれたのはフリードのほうだった。また、HV同士の比較でも、エンジンが主役になる走行シーンに限れば、フリードのスムーズさとエンジンノイズの小ささが際立っていたものだ。
  フリード+と新型シエンタの2列シート仕様は、とくにアウトドア派、車中泊派にも好まれるはずだが、重い荷物の積載性にかかわる荷室の開口部地上高はフリード+が驚異の335mm。対して新型シエンタは565mm。とはいえ、565mmでもステーションワゴンの荷室開口部地上高の平均値630mmよりはずっと低いから、ここはあまり気にしなくていい部分かも知れない。大容量ワゴンと呼べる荷室の容量はどちらも十二分だが、ひとつ大きな違いがあるのは、荷室を上下に分けるボードについてだ。フリード+は標準装備、新型シエンタはラゲージアッパーボードセットとして4万1800円のオプション(アクセサリー扱い)になる。車中泊性能では、依然、車内をフルフラットしやすく、その際の天井が高く、よりアウトドア&車中泊用のアクセサリーが充実しているフリード+のほうがやや有利と言えるかも知れない。
  が、新型シエンタは走行性能、とくに先進運転支援機能でフリード軍団を一気に大きくリードすることになった(電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能はどちらも未装備)。先代シエンタであまりにもフツーの走りでしかなかったガソリン車は、新型では「これならあえてガソリン車を選びたくなる」ほど、1.5リッターエンジンはスムースかつトルキーに回り、高回転まで回しても耳障りなノイズはもはや過去のものとしているのだ。もちろん、ハイブリッドはさらにスムースで、モータートルクによってトルキーに、静かに走ってくれるのだが、新型ではガソリン、HVのどちらを選んでも納得できる商品性をついに身に付けていることになる。その意味ではフリードもガソリン、HVともに納得できる性能を持っているが、シエンタも同じように選べるようになったというわけだ。
  で、注目は新型シエンタの全グレードに標準装備される最新の予防安全パッケージ=トヨタセーフティセンスである。プリクラッシュセーフティは対車両、歩行者、自転車運転者はもちろん、新たに自動二輪車(昼)を加え検知能力を拡大。さらに歩行者の飛び出しなどのリスクを先読みしてくれるほか、ACCなしでも先行車との距離を一定に保ち、カーブ手前での減速支援などを行ってくれるプロアクティブドライビングアシストまで標準装備されているのだから太っ腹!! とくにプロアクティブドライビングアシストは日々の運転での安心・安全を飛躍的に高めてくれる絶大なる効果がある。さらに高度運転支援技術のトヨタチームメイトのアドバンスパークを設定するほか、先代にはなかった、そしてフリードにないBSMと呼ばれるブラインドスポットモニターを用意するなど、安全性能が大きく向上しているところも新型シエンタの大きな特徴、安心と言っていいのである。
  総合的に見れば、当然だが、6年分新しいシエンタが優位に決まっている。あとはデザインの好み、2列目席キャプテンシートの有無あたりになるだろうが、フリードとシエンタの本当の勝負は、フリードが新型となる来年に持ち越し……ということになるだろう。新型フリードがどうシエンタに挑むのか、いまから楽しみである。おそらく、今や軽自動車のN-BOXにも搭載される電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能は付くと予想する。そして両車のシーソーゲームが勃発することだろう。

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