ナッツ料理研究家としても活躍する音仲紗良さんが手がけた、グルテンフリーバインミーのお店が原宿に登場!ベトナム料理を「和食に再構築」した背景や、新店オープン直後にぶつかった壁とは

2022.09.21 15:00
2022年5月14日、グルテンフリーのバインミーとお菓子のお店「My Banh Mi(マイバインミー)byグルテンフリートーキョー」(株式会社ぽかぽかてーぶる)が、原宿にオープンしました。


当店は、料理研究家・音仲紗良が2021年12月1日に暖簾分けとして立ち上げた新ブランドです。


グルテンフリーというだけでなく、和食材や発酵食品などを使ったバインミーは、アレルギーを持つ方や健康志向が高い人々からも注目されています。


今回は、ベトナム料理のバインミーを「和食に再構築した」背景や、原宿でオープンしてから3ヶ月でぶつかった「壁」、そしてそれをどのように乗り越えていったのか、音仲さんに伺っていきます。
音仲紗良さんのご経歴
教科書・書籍の編集やフリーペーパーの取材・執筆を経て、女性向け情報誌の編集部にて、美容をはじめ食やライフスタイル、ファッションなど幅広いジャンルの企画・編集に携わる。


独立後、フードコーディネーター&プロデューサー/ライターとしてメディアを中心に活動。


2016年に「ナッツトーキョー」を広尾にオープンし、その後はナッツ料理研究家としても活躍。
初めての飲食店の経験で、ブランド開発のチャンスが巡ってきた29歳。市場調査でニーズを確信した「ナッツ」から、現在の「食事と健康」という軸に繋がっていく。
――グルテンフリーバインミーに至ったルーツは、ご自身が初めて手掛けたブランド「ナッツトーキョー」にあるのでしょうか。「ナッツトーキョー」立ち上げの背景から教えてください。


私が29歳の時、PRの勉強も兼ねてお手伝いしていた広尾のイタリアンレストランが、シェフの退職により存続の危機になり、オーナーさんから「ここで新しいことをやってみないか?」と提案があったことがきっかけです。ブランド開発をする中で、たまたまナッツに注目し、「ナッツトーキョー」を立ち上げました。


これまでナッツは「お父さんのお酒のあて」というイメージが強く、乾きものコーナーにしか並んでいなかった中、当時海外や一部国内でも美容食品として流行の兆しが見え始めていました。


また、広尾ではフレッシュジュースやオーガニック製品を扱うお店の人気が高く、さらに近隣に大使館が複数あることから、外国の方も多いエリア。


オーガニック大国アメリカも含め、海外では日本よりもナッツを身近に取り入れているケースがあります。このことから、広尾エリアにおけるナッツの潜在的なニーズを確信しました。


しかし、世間に出ているナッツは「精製された砂糖」など、体に良いとは言えないものが含まれている製品が多く、美容食品としての矛盾を感じていました。


一方で、「ヘルシー」という観点で作られているナッツのお菓子は「まずい!もう一杯」のように”体によいから味に妥協している”食べ物が多いことにも気づきました。


それでは心にとっては負担ですし、毎日続けられないと健康にとっても意味がない。そこで、美味しさと健康を両立できるような商品開発に挑戦し、結果的に30種類以上のフレーバーを作り出しました。


この「食事と健康」こそが私のルーツであり、現在のグルテンフリーバインミーにも繋がっています。
ベトナムの食文化プロジェクトに、コンサルティングとして関わり、「バインミートーキョー」を立ち上げ。ファストフードの良さを残しつつ、健康的で和テイストなバインミーが完成。
――どのようにして、現在のグルテンフリーバインミーを開発したのでしょうか。


2019年に、「ベトナムの食を日本で盛り上げたい」というプロジェクトに参画し、ここでも足を運ぶ市場調査として、ベトナムや日本でさまざまなバインミーを食べ歩きました。


すると彩りの良さ、野菜・タンパク質・主食をバランス良く取れそうな見た目に対して、マーガリンやラードがたっぷりで、毎日食べるには体に負担があるという矛盾に気が付きました。まさにナッツの時と同じ状況です。実際、バインミーの食べ歩きによって私も体の不調を感じました。
しかし片手で手軽に食べられるからこそ、現地ベトナムに留まらず、ニューヨークなど世界中で人気となったバインミー。


このファストフードとしての良さを残しつつ、「ナッツトーキョー」で培った経験や知識を活かした、健康的に食べられるバインミーの開発を目指しました。


そこで試みたのが、「和食への再構築」。


例えば、通常使われるヌクマムという魚醤の代わりに、秋田のしょっつるを用いたり、具材の味付けは丸大豆100%の豆たまりを使用。また、レバーパテでは牛乳を米麹甘酒に置き換え、ラードはカシューナッツの油分で補いました。


さらにメインのパンも小麦ではなく、ベトナム・日本ともに主食であるお米を取り入れることで、バインミーの良さを残した「和食への再構築」を実現。


こうして日本の発酵食品等を使うことにより、健康的で、私たちにとってもなじみ深い、しかしまったく新しいバインミーが完成しました。


2020年3月、外苑前にてこのバインミーを提供し始めてから、地域の皆さんをはじめ、健康志向の方やグルテンアレルギーで悩まれている方を中心にご愛顧頂いております。
2022年5月、原宿にて再出発!暖簾分けした新店舗「My Banh Mi(マイバインミー)byグルテンフリートーキョー」がオープン。最初の3ヶ月でぶつかった「壁」
――外苑前でも人気を博していたブランドの暖簾分けと聞くと順風満帆な印象を持ってしまいますが、原宿でのオープンに際して、苦労した点はありますか。
私はこれまで、その地域の特性や世間のトレンドを念入りに調査した上で、商品・ブランド開発をしてきました。一方、出来上がったブランドを新天地で展開させるというのは、私にとって今回が初めての挑戦。


オープンから3ヶ月で、大きな「壁」にぶつかりました。


例えば原宿という土地柄、若い世代が多く、外苑前で提供していた価格のままだと、少し手が届きにくいという声がありました。確かに近隣店舗の価格帯を調査しても、1000円以下の食事が多く、原宿の相場に寄せていくべきか判断が必要でした。また、原宿では食べ歩き文化が根強い為、それに適した商品の開発も急ピッチで進めるべきか悩んでいました。


しかし、ぶつかった「壁」とはこれらのことを指しているわけではありません。
本当の「壁」は、そういった状況に直面したときの私自身の葛藤。柔軟に変化し、適用していくことに対して、経営者としての躊躇がありました。


自分の守りたい信念や、これまで育ててきたブランド、培った実績に、自信を持って進んできたからこそ、オープン直後に変化させること対して腰が重くなってしまいました。さらに、今までのブランドコンセプトに共感して付いてきてくれているスタッフたちにも示しがつかない気持ちも大きく、現実と理想のはざまで躊躇してしまい、身動きできなくなっていました。
そんな中で、俯瞰的に自分のお店、そして昨今の飲食業界をみて、あることを思い出しました。


それは、コロナ渦で外食産業が打撃を受ける中、ミシュランの星付きレストランが異例のテイクアウトを始めたり、老舗の飲食店がフードデリバリーに挑戦していた姿です。


これまでの当たり前に囚われずに、時代の変化に柔軟に対応してきたお店が、コロナ渦でも淘汰されずに生き残っていると再認識しました。


悩み続けて1か月ほどで、マインドを切り替え、食べ歩き需要と原宿の客層にあわせた映えドリンクの開発を強化、SNSの発信や店頭POPデザインもドリンク推しに切り替えました。


その後は、これまで取りこぼしていた原宿のお客様からの反応も好感触。外苑前で支えてくださった常連の方々も含め、今は若い世代のお客様にもご来店頂いています。
「壁」を乗り越えた今、お店として、そして音仲さん自身にとっての展望に変化
――その「壁」を乗り越え、My Banh Mi(マイバインミー)byグルテンフリートーキョーとして、そして音仲さん自身の今後の展望に変化はありましたか。


「壁」にぶつかってから、いい意味で固執しすぎないことが今後のテーマになりました。


「原宿でグルテンフリーバインミーを大成功させる!」ことにこだわらず、もしかしたらこのバインミーのニーズに合った場所で、新しく始めることもあるかもしれません。同様に、原宿ならではのニーズを形にしたブランドを、ここで立ち上げる可能性もあります。


どちらにしても、自分が大切にしている「食事と健康」という軸をぶらさず、しかし変にこだわりすぎずに、柔軟であり続けたいと思うようになりました。何より、「目の前のお客様に笑顔になってほしい」という飲食店としての本質を、今後も大事にしていきたいと思っています。


また、私個人としては、これまでたくさん広げてきたアンテナを、どう集約していくのかについて考えるようになりました。飲食業界に飛び込んでから約10年間、今までは興味のあるいただいたお仕事の話はなるべく全て受け、がむしゃらに打ち込んできました。その結果、飲食事業はナッツ専門店のプロデュースに始まりマッシュルームやイタリアンレストランのPR、寿司屋の立ち上げやスーパーのリブランディングなど……幅広いジャンルの飲食事業にかかわることができました。


最近では山口県萩の「八千代酒造」さんの山田錦100%純米大吟醸をプロデュースし「saon~紗音~」という日本酒を扱うようになりました。また、全国の最高品質のフルーツを「マイバインミーbyグルテンフリートーキョー」で取り扱い、フレッシュなシェイクやフルーツの加工品にも着手していきます。今後は、こうした全国の価値ある食材を、正しく世に広げる、本質的な「広報」の仕事に着手してきたいと思っています。
NEXTミートを使ったバインミーが遂にグランドメニュー化!
――最後に、限定発売していた商品のグランドメニュー化が決まったということで、どんなこだわりがあるのか教えてください。


商品概要
NEXTハラミ肉の五香粉SOYソースバインミー / レモングラスSOYソースバインミー
このバインミーは、大阪の「六覺燈」というミシュラン1つ星獲得の串カツ屋さんで作られている米粉パンを使用しています。串カツ屋がパン粉を極めた結果、最高の食パンが完成したというユニークな商品は、東京ではここでしか食べることができません。


もちろん卵・乳製品は不使用!
いい意味で米粉を感じすぎない、まるで小麦の食パンのような味わいです。
今回は、このパンを軽くトーストし、バインミーでもおなじみのナマスやたっぷりの野菜をサンド。さらにメインにはお肉…の代わりにNEXTミートが入っています!


味付けは、スパイス豊かな五香粉SOYソースと、残暑にぴったりなさわやかなレモングラスSOYソースの2種類。
どちらもしっかりした味付けの為、ヘルシーでも満足感があります。
ビーガンの方だけでなく、健康志向の方にもおすすめです。
これまで数量限定販売していましたが、皆様からのお声を受けてこの度グランドメニューとなりました。ぜひお店にお越し頂き、ここでしか味わえないバインミーをお試しください。

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