この記事をまとめると
■スバルの軽自動車、プレオについて紹介
■登場時は自社開発だったが、その後ダイハツのOEMとなった
■2018年に消滅したものの、ファンの記憶に残るクルマだ
スバルが生んだ名車! プレオについて解説
いまは軽自動車の自社開発から手を引いたスバルですがスバル360を皮切りに多数のモデルを発表。軽自動車業界を引っ張ったメーカーのひとつでした。
スバルが開発した軽自動車は名車揃いだったとファンのみならず評価する声が多かったのですが、今回紹介するプレオもそんな1台。
プレオがどんなクルマだったのか、また中古車で買うならどれくらいの相場なのかを紹介していきましょう。
スバル・プレオってどんなクルマ?
プレオは1998年に登場した初代、そして2010年にOEMとしてダイハツから供給された2代目が存在しました。
初代:スバル版“ワゴンR”はミニレガシィだった(1998〜2010年)
スズキ・ワゴンRの登場をきっかけに軽自動車のスタンダードとなったトールワゴン。その波に乗り遅れまいとスバルが投入したのが初代プレオでした。
側面衝突に対応するため全幅を1480mmに拡大する軽自動車規格改正が行われた1998年に登場した初代プレオは、ヴィヴィオの後継モデルとして開発されました。
ワゴンRと対抗するため全高を1575〜1625mmと高く、トールミニバン的スタイルを採用していましたがスバル曰く、同車はあくまで「5ドアワゴン」だと主張。リヤピラーまわりにイメージが反映されていたことからも、当時、好評を博していたレガシィツーリングワゴンの人気にあやかりたいとの戦略がうかがえます。
初代に搭載されたパワーユニットは直3エンジンが主流となったいまの軽自動車には用意されない660cc直4エンジン。NA、マイルドチャージ、スーパーチャージャー(これらはSOHCエンジン)、さらにDOHCスーパーチャージと4種類の直4エンジンをラインナップしていました。
このなかで気になるのはマイルドチャージ。これってなんだろうと疑問を抱く方も多いかと思いますが、その名の通りスーパーチャージャーの回転速度を落とし、中低速域のトルクを強化したエンジン。パワーと低燃費を両立するために開発されました。
またDOHCスーパーチャージエンジンはスポーツグレード「RS」に搭載。最高出力64馬力を発揮するエンジンに7段シーケンシャルシフト付きCVT「スポーツシフトi-CVT」が組み合わされた「RS」は、スーパーチャージャーが備える大きなトルクにより高速道路走行時は軽自動車のレベルを軽く凌駕。普通車並みのゆとりある走行を楽しむことができました。
また、初代プレオは全車4輪ストラット/コイルの独立式サスペンションを装着。「RS」のみならず、すべてのグレードで上質な走りを実現していたところも特徴です。
初代プレオはデビュー後、軽自動車のレベルを越えた質感を備えていたことなどで評価が高く販売的にもまずますの売れ行きとなりました。乗用モデルだけでなく商用モデルやフロントマスクを変更しレトロ調に仕立てた「ネスタ」、ファニーなスタイルを採用した「ニコット」などを追加するなどバリエーションを拡大していきます。
その後、スタイリッシュなフォルムで話題を集めた「R2」が2003年に登場すると、スーパーチャージャー付きエンジンなどが廃止されグレードが大幅に整理されています。R2が後継モデルとなりプレオは販売終了に向けた準備に入ったかと思われたのですが…。
そのR2が予想外の販売不振に陥ったことでプレオが主力軽自動車の座に復活。マイルドチャージエンジンが復活するなど、R2の穴埋めに奔走することになりました。
最終的に商用モデルは2010年まで販売されるなど初代は10年以上販売が継続。スバルの軽自動車史において大きな役割を果たしたモデルとなりました。
2代目:ダイハツからのOEM供給モデル(2010〜2018年)
2代目プレオが登場したのは2010年。すでに軽自動車の開発から手を引いたスバルが販売したのはダイハツ・ミラをベースにしたOEMモデルでした。
OEMモデルとなった2代目はミラとの違いがほぼなく、トールスタイルだった初代と比べ全高が1530mmとなったことで初代や後継モデルとなったステラのユーザーからの代替えは当然ですが進みませんでした。
2代目は乗用モデルの「プレオ」と「プレオカスタム」、商用モデルの「プレオバン」をラインナップ。2012年には低燃費性能に特化したミライースのスバル版「プレオ+」が追加されています。
2代目はOEM供給元となるミラが生産中止となったことで2018年に販売終了。プレオのブランドも消滅しました。
プレオの中古車価格
初代、2代目プレオの中古車相場はどうなっているのでしょうか。
まず初代ですがデビューが1998年と古いモデルのため販売数は全国で約150台と少ない状況です。
相場価格は5〜105万円。販売の主流はモデル後期に発売されていたNAエンジンを搭載する車両が大半でスポーツグレードの「RS」は希少。わずかながら販売されている「RS」には60〜105万円と高めの価格が設定されています。
一方、2代目の相場はというと5〜60万円。わりと最近まで販売されていたモデルですが、そもそもの販売台数が少なかったからでしょうか、全国で100台ほどしか出回っていません。初代より販売数が少ないのは驚きました。
編集部のおすすめは2代目「Fスペシャル」
はたして初代、2代目プレオの中古車をいま選ぶべきか?──ということはさておき、プレオの中古車を買うならどのグレードが買いなのでしょうか。
本来であれば、スバルが開発した初代を選びたくなりますがデビューからすでに約25年経つネオ旧車。しかし4輪独立サスや直4エンジンを搭載したスバルオリジナルの軽自動車というだけでも魅力を感じてしまいます。
初代を選ぶならタマ数は少ないですがやはり「RS」を選ぶべきでしょう。スーパーチャージャー付き直4エンジンはいまの軽自動車には存在しない希少なパワーユニット。走行性能も十分すぎるほどのポテンシャルを有しています。
ただ安心して乗れることなど、現実的な中古車選びとなると2代目となってしまいます。しかし、先程述べたようにそもそものタマ数が少なく、正直、OEMモデルの2代目をわざわざ選ぶ理由が薄いのも確か。ブランドこそスバルではなくなりますが、2代目を選ぶならばOEM元のミラでいいのではとも思ってしまいます……。
それでも「スバルの軽自動車」にこだわりたい人は少なからずいると思いますので、そんな方には一番タマ数が多く比較的探しやすい「Fスペシャル」がいいのではないでしょうか。
正直、その他のグレード自体があまり出回ってないこともあるのですが、ミラの同じグレード「L」よりややリーズナブルなうえ状態が良い中古車が少ないですが見受けられます。
2代目スズキ・ワゴンR
初代プレオ最大のライバルといえば2代目ワゴンR。大ヒットした初代からフルモデルチェンジで1998年に登場した2代目は初代のイメージを踏襲しつつ各種性能が引き上げられました。
現在の中古車相場は1〜100万円。古いモデルなだけに初代プレオ同様、販売されている車両が少なく状態が良い中古車を探すには苦労しそうです。
7代目ダイハツ・ミラ
2代目プレオのOEM元となるのがこのクルマ。中古車市場で販売されている車両は2代目プレオの10倍となる1000台以上が出回っています。
中古車相場は1〜100万円。スバルブランド関係なく2代目プレオの中古車を買うなら7代目ミラを選ぶのが吉です。
7代目スズキ・アルト
2代目プレオのライバル車となるのが7代目アルト。2代目プレオや先に上げたミラと同じく省燃費仕様もラインナップされていました。
中古車市場でもミラ同様、販売されている車両は1000台を超え相場は1〜115万円。状態が良い中古車を探すことに苦労はしなさそうです。
まとめ
スバルの軽自動車は性能にこだわりコスト面で他社に太刀打ちできなかったことが自社生産を止めた理由──など、いまではそんな言われ方もするのですが初代プレオを詳しく見ていくとなるほどそうかも、と思ってしまいます。
いまではありえない直4エンジンや四輪独立サスペンションなどスバルならではのこだわりを与えられていた初代プレオ。スバルファン、いわゆる“スバリスト”にとってはいまでも特別な軽自動車だと認識しているのではないでしょうか。