見た目はそんなに変わらずも「改名」は伊達じゃない! 「XV」改め「クロストレック」の地味にスゴイ中身を徹底解説

2022.09.15 17:00
この記事をまとめると
■スバルXVがフルモデルチェンジして車名も「クロストレック」に改名した
■サイズや全体のイメージなどは先代モデルを踏襲したキープコンセプトなモデルチェンジ
■細部まで徹底的に見直して煮詰めることで快適性や使い勝手が大幅に向上している
モデルチェンジでもスバルは愚直に細部を熟成
  スバルが新型SUVを公開した。その名はクロストレック。これはXVの海外ネームであり、クロスオーバーとトレッキングの造語だ。国内ネームでいうと、スバルXVとしては3代目、インプレッサXV時代から数えると、4代目のクロスオーバー車となる。
  一見するとマイナーチェンジなのかと思ってしまうほど、キープコンセプトのフルモデルチェンジを実施した。ボディサイズは先代モデルとほぼ変わらず。全長が5mm伸びただけで、ホイールベースの数値も同じ2670mm。プラットフォームはSGP(スバルグローバルプラットフォーム)をインナーフレーム構造化したもので、構造用接着剤の塗布量を劇的に増やすなどして強化。ボディ剛性、というより動的な質感と衝突安全性は、国内外の安全テストでトップクラスの成績をマークしたフラッグシップ車の現行型アウトバックに匹敵するレベルまで高められたという。
  エクステリアは、頼もしさや躍動感を強調する方向でデザイン。スバルお馴染みのヘキサゴングリルは踏襲され、フロントグリルは直線基調から凸凹感を強めたものとなり、厚みを増した顔つきになった。ボンネット部分の物理的な厚みも増しており、よりSUVらしくなったともいえる。キャビンを絞り込むような感じで前後のフェンダーを張り出すなど、ボディサイズは変えずに先代モデルよりワイドに見える工夫を凝らした。
  また、横からみたときの前傾姿勢が強調され、静止状態でも走っているかのように見える雰囲気を醸成。これは現行型レヴォーグなどでも見られる手法で、最近のスバルがよく採用するテイストだ。ボディ後端部はやや下がり気味としており、全体的な塊感を強めている。最低地上高は先代と変わらず200mmを確保。詳細は未公開ながら、AWDシステムの制御も改められ、滑りやすい路面での走行安定性はさらに盤石なものになるという。
  装着されるタイヤは、先代まで採用したヨコハマのブルーアースから、泥濘路にもある程度対応できる銘柄に変わったことからも、これまで以上に悪路走破性能を重視したSUVであることがうかがえる。SUV戦国時代を生き残るため、スバルは比較的小型のSUVクロストレック でも持ち前の得意分野を磨いてほかとの差別化を強める。その一方、かねてより待望されるライトなユーザー向けのFFの設定がどうなるかについても気になるところだ。
  前後バンパーやフェンダーに装備する樹脂製のガードは、オフロード走行時にボディを傷から守るためのシボ模様が施されており、フロントフェンダーには空力向上のためのスリットを追加。このスリット内部には空力テクスチャーと呼ばれる空力性能向上のためのシボ模様が巡らされている。リヤバンパーにも通気用のダクトが設けられているなど、細部にエアロダイナミクス性能向上のための工夫を施した。オフロードのみならず、高速巡航時の操縦安定性の向上ぶりが想像できる。
  さらに、ルーフパネルとブレースの間に振動の吸収性が高く、制振生性に優れるとされる高減衰マスチックの採用により、車内音の収束性を向上させる新しい試みも見られる。クロストレックはスバルのSUVとしてはエントリーモデルにあたるが、コンフォート性の向上にもかなり力を入れて開発されたようだ。
広角単眼カメラで高い安全性能を実現する新世代アイサイト
  今回公開されたのは2グレード。名称は未公開ながら上級とスタンダードの2種類が用意されるが、最近のスバル車の例に習い、見た目の違いは最小限にとどまる。上級グレードはフロントグリルやドアミラーなど、細部の配色が異なり、アルミホイールは切削加工デザインの18インチとなる(スタンダードグレードは17インチ)。
※写真は標準グレード
  ボディカラーは、明るめのブルーである「オアシスブルー」と、グレーに近いブルーである「オフショアブルー・メタリック」の2色を新たに追加。
※写真はオフショアブルー・メタリック
  インテリアでは、マルチマテリアルの多層構造とすることで、シンプルに配置された素材の風合いを活かしたという。インパネ中央に配置された11.6インチの液晶パネルが特徴的だ。ハードウエアは現行型レヴォーグなどで使われるものと同じだが、ソフト面は変更。たとえばブレーキのオートホールド機能のスイッチがすぐにタッチできるようになったなど、レヴォーグで指摘された操作性の問題点も改善されている。
  それ以外の部分については、基本的には先代モデルを踏襲したように見えるも、やはり細部はかなり異なる。よりカジュアルな雰囲気を高めた。細部には使い勝手を良くするための細かな工夫が見られる。センターコンソールは位置を高くしてシフトノブの操作性を向上。ふたつのカップホルダーを斜めに配置することで、使いやすさとスペースの効率化をはかった。USBポートの位置も視認しやすい位置に配置され、夜間は電飾される。
  特筆すべきはフロントシートで、シート単体の構造を一新。乗員の骨盤、とりわけ仙骨と呼ばれる部位のホールド感を高め、頭の揺れを抑制。さらに、シートレールのマウント部分の構造もあらため、シートの保持剛性を大幅にアップ。長距離、長時間度ドライブ時の疲労低減効果が期待できるという。上級グレードはファブリック表皮、スタンダードグレードはトリコットとなる。
  ステアリングは現行型レヴォーグなどで定評のある2ピニオン式の電動パワステを採用。ボディ剛性向上もあいまって、甘美と呼べるほど秀逸なステアリングフィールが得られるはずだ。
  運転支援システムアイサイトのカメラ部分は刷新され、アイサイトXのようにガラス面に直接マウント。ウインドウ内側の掃除中など、カメラのレンズ部分に人の手が触れたり、結露で曇ったりすることがなくなった。画角は従来(アイサイトer.3)の約2倍に拡大され、さらに外からみると中央部に広角の単眼カメラが増設されているのがわかる。アイサイトの進化についての詳細は明らかにされていないが、前方の視認精度をさらに高めて安全性を向上させたという。二輪車や歩行者の認識精度が特に高まったようだ。
  さらに、上級グレードでは、フルLED化されたヘッドライトに加え、LEDのコーナリングランプを追加。ほぼ真横に向けて照射することで、夜間の右左折時などに進行方向が明るくなる機能が追加されている。これはスバル車として初採用だ。車両の周辺360度を映し出す3Dビューモニターも用意される。
  パワートレインについても詳細は明かされていないが、排気量2リッターのe-BOXERを搭載ということで、エンジンルームの景観からも従来型のキャリーオーバーであると推察。ミッションはCVTのリニアトロニックで、前述したようにAWDシステムの制御は進化する。
  開発をまとめた毛塚PGMは、「とにかく地味に細部まで徹底的に煮詰め直したので、乗り味の良さには大いに期待してほしい」と走りの良さへの自身のほどを示した。
  一見すると地味なモデルチェンジに見えるが、スバルらしく愚直に細部を熟成させたことがうかがえるし、乗ればビックリの走行性能や動的な質感の高さが得られるというので、過度な期待を抱いて試乗の印象をチェックしたいものだ。

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