たかが「顔」の違いが天国と地獄に! ヴェルファイアがアルファードのたった「4%」しか売れないワケ

2022.09.09 06:20
この記事をまとめると
■トヨタのアルファードとヴェルファイアは姉妹車
■しかしヴェルファイアの販売台数はアルファードを大きく下まわる
■ヴェルファイアの影が年々薄くなっている理由について解説する
ヴェルファイアからアルファードへ乗り換えるユーザーも
  2022年上半期(1〜6月)の販売ランキングを見ると、国内でもっとも多く登録されたミニバンはフリードで、1カ平均の登録台数は約7300台であった。ミニバンの2位はアルファードで、1カ月平均は約5800台だ。
  フリードは全長が4300mm以下のコンパクトミニバンで売れ筋価格帯は220〜290万円だが、アルファードは全長が4900mmを超えるLサイズで、売れ筋価格帯は400〜550万円に達する。アルファードは、高価格車としては絶好調の売れ行きだ。
  しかしアルファードの姉妹車となるヴェルファイアは、2020年上半期の1カ月平均登録台数が約240台に留まる。アルファードのわずか4%だ。
  過去を振り返ると、アルファードの初代モデルは、トヨタで最初の前輪駆動を採用するLサイズミニバンとして2002年に発売された。2008年に2代目にフルモデルチェンジされ、この時に姉妹車のヴェルファイアを設定した。販売店はアルファードがトヨペット店で、ヴェルファイアはネッツ店と区分された。
  ヴェルファイアはフロントマスクが精悍なデザインで、販売店の拠点数もネッツ店が多い。そのために売れ行きもヴェルファイアが多かった。
  2015年にフルモデルチェンジを受けて現行型に刷新されたあとも、ヴェルファイアが好調だったが、2018年1月のマイナーチェンジで両車の販売順位が入れ替わった。アルファードが仮面のようなフロントマスクをさらに存在感の強いデザインに改めて注目されたからだ。2018年の1カ月平均登録台数は、アルファードが約4900台、ヴェルファイアは約3100台であった。
  2020年5月になると、トヨタは国内の販売体制を見直して、すべての店舗でトヨタの全車を買えるようになった。そうすると以前はアルファードとヴェルファイアを扱っていなかったトヨタ店やカローラ店でも、アルファードが売れ行きを伸ばし始めた。さらにネッツ店では、かつての専売車種だったヴェルファイアのユーザーが、アルファードへ乗り替えるようになった。
  その結果、2020年の1カ月平均登録台数は、アルファードが約7600台、ヴェルファイアは約1500台と大差が付いている。
フロントマスクの僅かな違いが明暗を分けた
  さらに2021年4月の一部改良では、ヴェルファイアのバリエーションを大幅に減らして、特別仕様車のみの設定とした。この影響で2021年の1カ月平均登録台数は、アルファードが約7900台、ヴェルファイアは560台と大差が開いた。2022年上半期は、先に述べたとおりアルファードが約5800台、ヴェルファイアは約240台という販売格差に至っている。
  この経緯を見ると、自動車ビジネスの恐ろしさを実感できる。クルマは最先端技術が集約されたメカニズムの集合体で、価格も高いのに、フロントマスクのわずかな違いによって売れ行きが明暗を分けてしまう。現行型の外観が少し違っていたら、ヴェルファイアが生き残り、アルファードは廃止されていたかも知れない。
  クルマには嗜好品的な性格もあり、定番的な人気車も、次期型ではどうなるかわからない。語弊のある表現だが、クルマはメーカーや販売会社にとって、賭博性の強い商品といえるのだ。
  もうひとつ、全店が全車を扱う販売体制も、アルファードとヴェルファイアの残酷な販売格差を助長した。アルファードのような人気車は、全店で好調に売られ、不人気は逆に一層落ち込んでしまう。
  そのために、2010年までに全店が全車を扱う販売体制に移行した日産やホンダでは、実用的で価格の割安な車種だけが生き残った。趣味性の強い高価格車は、かなり駆逐されている。
  自動車業界の先輩達が築いた販売系列は、当初は大量な販売を目的にしていたが、実際には万人向けではない個性的な車種を大切に育てる役割も果たしていた。今の市場規模を考えると、全店が全車を扱う体制に移行したのも納得できるが、車種を守る意味ではマイナスに作用している。
  そして車種の削減も、全店で全車を扱う目的のひとつだ。アルファードとヴェルファイアのように、自然に廃止すべき車種が浮き彫りにされ、リストラをスムースに進められる。

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