【試乗】ステップワゴンの大本命はスパーダのe:HEV! ライバルを上まわる「上質感」が凄い

WEB CARTOP
2022.08.19 17:00
この記事をまとめると
・ステップワゴン スパーダe:HEVのFFモデルに試乗
・ライバルに対して圧倒的な静粛性が感じられた
・エアーグレードには設定がない電動パワーテールゲートが便利
室内の使い勝手は文句ナシの進化っぷり
  1996年に登場した初代ステップワゴンは、日本の多人数乗車可能なファミリーカーのパイオニアの1台として、以来、Mクラスボックス型ミニバンクラスの主役として君臨してきた。先代にあたる5代目は、第5のドア、「わくわくゲート」が大きな特徴だったのだが、左右非対称デザインが一部のユーザーに受け入れられなかったのも事実だった。
  そしていよいよ、先代のリベンジを果たすべくデビューしたのが6代目となる新型ステップワゴンだ。初代に回帰したようなシンプルでボクシーかつ、水平基調のエクステリアデザインはどこか懐かしい印象も受ける。初代当時、小学生でステップワゴンに乗せてもらっていた子供も今や父親、母親の世代。今度は子供を乗せる立場となり、新型ステップワゴンに特別な想いを持つ人も少なくないはずだ。
  さて、新型ステップワゴンは、新たにエアーと名付けられた標準車、おなじみのエアロモデルのスパーダ、そして生産中止となったオデッセイの受け皿となる最上級のプレミアムラインの3グレードの展開となる。ボディサイズは拡大され、全長4800×全幅1750×全高1840~1850mm、ホイールベース2890mmとなり、全車3ナンバーとなる。もっとも、最初に言っておけば、運転視界の良さ、先代と同じ最小回転半径5.4m(16インチタイヤ装着車)の小回り性の良さによって、取り回しに気遣うことはまずないはずだ(車幅より全長の拡大が駐車性に影響しないでもないが)。
  パワーユニットはここで紹介するスパーダ(プレミアムライン)のe:HEVモデルの場合、2リッターエンジン+モーターで、それぞれ145馬力、17.8kg-m、184馬力、32.1kg-mを発揮する。WLTCモード燃費はグレードによって先代同等の19.5~20.0km/Lとなる。
  新型ステップワゴンはインテリアの進化も著しい。もはやクラス最大級の空間を備え、事実、先代比で室内幅+45mm、室内高+20mmの広さを誇る。そして、すっきりとして上質感あるインパネデザイン、サポート性に優れた1列目席のかけ心地の良さはもちろん、先代のウィークポイントだったキャプテンシートのアレンジ性が向上。先代は前後のみのスライドで、先代ノア&ヴォクシー、セレナのように左右スライドができなかったのだが、新型では標準スライド600mmに加え、先代より高めにセットされた(ヒール段差+10mm)左右キャプテンシートを中寄せすることで865mmものロングスライドを実現。同時にキャプテンシート仕様でもセミベンチシート化することが可能になったのだ(子育て世代はうれしいはず。もちろん、かけ心地もかなり上質)。
  シート操作を行うレバーがシンプルな1レバーになり、スパーダ以上のキャプテンシートにオットマンが付いたのも特徴点だ。なお、室内側のパワースライドドアスイッチは、手の届きやすいセンターピラーにも装備されるようになった。
  ミニバンは3列目席があってこそだが、先代は特徴的な床下収納をフラットに実現すべく、クッションを薄くせざるを得なかった。それがかけ心地に影響するのは当然だが、新型では3列目席の座面厚を21mm増すとともに、シートバック高を45mm高めている。さらに着座性、立ち上がり性にかかわるヒール段差(フロアから座面までの高さ)が実側で先代の315mmから340mmに高まり(メーカー値は+20mm)、より自然な着座感が得られるようになり、また、前方見通し性が格段に向上(クルマ酔い低減効果もあるらしい)したあたりも、さりげない、しかし3列目席にこだわった、多人数乗車のあるべき着実な進化と言っていいだろう。ただ、スパーダ以上の合皮コンビシートは表皮の張りがやや強め。3列目席クッション感ではエアーのファブリックシートが上まわる印象だ(体重65kgの筆者の場合)。
  そうそう、わくわくゲートの廃止によってテールゲートは一般的な1枚ものになっているのだが、先代に対して縦に約13cm短く、約14kg軽量化されているのが特徴だ(エアーにはちゃんとした無塗装バンパーもある)。
  スパーダ以上のグレードにはパワーテールゲートが標準装備となり、しかも任意の位置で止められるメモリー機能付き。車体後方にスペースのない場所に止めても、先代のわくわくゲートのサブドア同様、荷物を出し入れしやすいことになる。ただし、標準グレードのエアーにパワーテールゲートは設定されていない……。
  新型ステップワゴンは先進運転支援機能のホンダセンシングを始めとする装備も一段と充実させている。なかでも先代になかった電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能(メモリー付き)を追加したのに合わせ、ACC(アダプティブクルーズコントロール)はついに渋滞追従機能付きとなり、設定速度も0~130km/hに拡大されている。高速道路の利用機会の多いユーザーにとって、大きなメリットなることは間違いなしだ。
  新型ステップワゴンe:HEVスパーダの運転席に着座すれば、まずはサポート性に優れた先代比ウレタン厚23mm増し、ウレタン密度27%UPのボディスタビライジングシートのかけ心地の良さ、立ったAピラーによるすっきりとした前方、斜め前方視界が好印象。水平基調のショルダーラインによって、左右の車両感覚のつかみやすさも文句なしである。
走りの上質さは先代の比じゃない!
  NSXにも採用されるボタン式CVTセレクターボタンをDレンジにセットして走り出せば(電子パーキングブレーキは自動解除)、e:HEV=HVらしくモーター走行でスタート。じつにスムースで静かだ。速度を高めていけば主に発電を担うエンジンが始動するものの、そうとは気づきにくいシームレスさ、エンジンノイズ・振動の遮断のうまさによって車内の静かさが保たれる。32.1km/Lものトルクを発揮するモーターの力強さは2.5リッターエンジン並みと言って良く、電動感の強い加速感は先代の非ではないレベルに達している。
  16インチタイヤを履くスパーダの乗り心地は、新型の押し出し感のないシンプルなデザインイメージからすると、ちょっと硬めだ。しかし言い方を変えれば、ドシリとした骨太感ある、エアロ&スポーティグレードたるスパーダ系らしい乗り味ということになる。ちなみにスパーダの16インチタイヤがホンダらしいスポーティな乗り心地、操縦性に振られたキャラクターであることは間違いないが、短時間試乗したプレミアムラインの17インチタイヤは、大径ながらむしろプレミアムな乗り心地求めた「コンフォート、乗り心地重視」という説明ではあるものの、試乗した横浜みなとみらい周辺の路面では、なぜかその差は感じにくかった。
  とはいえ、スパーダ、プレミアムラインともに首都高のざらついた路面や、カーブ、接続路にあるゼブラゾーンでの振動のなさ、そしてうねり路や段差越えを含む終始フラットな快適感はもう見事と言っていい。何しろスライドドアまわりの構造用接着剤の使用、サイドシルの断面増しなどによる剛性UPが徹底されているからだ。
  市街地を走らせて、おおっ!! と思わせてくれたのが、ライバルを圧倒する車内の静かさ、そしてこもり音のなさだ。ボックス型ミニバンはスピーカーのような箱型ボディゆえ、ボディ振動・振幅などによってこもり音は避けられない。最新のノア&ヴォクシーでさえ、こもり音発生のピークとなる1/3列目席のこもり音は取り切れていない。ところが新型ステップワゴンは1/2/3列目席すべてに座って確かめたのだが、今回、試乗した横浜みなとみらい周辺の首都高速道路を含むコース、路面において、車内のこもり音は皆無に近い。その理由をすべて書いていくと長文になるので、このWEB CARTOPの別稿コラム(https://www.webcartop.jp/2022/06/904176/0/)でじっくりと説明しているが、ボディ剛性のほか、ウインドウウエイトの装着、テールゲートのストッパーマウントの増強といった徹底した対策が功を奏していると言っていい。
  結果、先代のウィークポイントでもあった1-3列目席の会話明瞭度が向上。多人数乗用車にこそ必要な車内の静かさという要件を見事に達成、進化させていることになる。これなら車内での会話が一段とはずみ、またドライブ中の聴覚からくる疲労度の低減にも役立つはずである。
  今回は山道を走る機会はなかったのだが、市街地、首都高速のカーブを走った範囲でもわかることは、操縦性のレベルアップだ。ボディ剛性の高さはもちろん、車幅拡大に伴うワイドトレッド化、リヤサスのストロークアップなどによって、常に4輪の接地荷重変化を最小限に抑えた、タイヤの接地性に優れた安定感抜群のフットワークを示してくれる。合わせて、自然かつリニアで、しかし唐突感のないステアリングの絶妙な応答性、ライバルに対して乗員の上半身が左右に振られにくいことも(クルマ酔いの原因にもなる)確認。多人数乗用車として適切な安定感、快適感の高さを、そうした操縦性から後席乗員も享受できることになる。
  ただし、さらなる改善をお願いしたい部分もある。たとえば、爽快で気持ちいい走りを楽しませてくれた新型ステップワゴンの試乗を終え、運転席から降りようとした時、前席のサイドサポート部分が立ち上がりすぎて、ライバルのようにスルリと腰をずらし、降車することができにくい。よって、地面が遠く感じてしまいがちなのである。
  そして試乗したスパーダ以上のグレードなら問題ないのだが、新型ステップワゴンのキャラクターを体現している標準車のエアーに、わくわくゲートの便利さを補填するメモリー付き(ここがポイント)パワーテールゲートがオプションでさえ選べないのは非常に残念だ(オットマンはマストではないと考える)。ぜひ、オプションでも設定していただきたいと願う(開発陣に進言済み)。
  新型ステップワゴンの1~3列目の全席で体感できる圧倒的な静かさ、こもり音のなさ、快適感は、多人数乗車であるミニバンだからこその、ライバルをしのぐ商品力の高さであることは言うまでもない。初代から26年。ステップワゴンの着実な進化に大いに納得させられたというのが正直なところだ。全グレード中のお薦めグレードはズバリ、ここで乗ったスパーダのFF、2列目キャプテンシートの7人乗りである(17インチタイヤを履くプレミアムラインは最小回転半径が16インチタイヤの5.4mから5.7mになることもあって)。
  ちなみに先代HVモデルにオプション設定されていた、ノア&ヴォクシーHVにはあるAC100V/1500Wコンセントは不採用。先代のオプション装着率が低かったのが理由だが、この時代、ミニバンがアウトドアでも便利に使え(2/3列目席フラットアレンジではベッド長2040mm)、電源車として災害時にもAC100V/1500Wコンセントが大活躍してくれることを考えると、残念過ぎる装備のドロップと思えてしまう。なお、標準車のエアー、ガソリン車(4WD)の試乗記は、コチラをご覧いただきたい。

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