この記事をまとめると
■誕生から50年以上経つ国産車を紹介
■長いモデルでは70年以上同一名称のクルマもある
■モデルライフが長く、50年以上経過していても4モデルしか出ていないクルマも存在する
50年以上名前を変えてない老舗ブランドを紹介
2022年、今年はホンダシビック誕生50周年。企業の平均寿命が30年といわれている中、メーカー本体が50年以上生き残り、なおかつその製品ブランドが50年続くというのは大したものだ。
今回は、国産車の中から半世紀=50年以上の歴史を誇るクルマたちにスポットを当ててみよう。
日産 フェアレディZ
まずは新型が登場したばかりの日産フェアレディZ。
フェアレディは日本でもっとも長い歴史を誇るスポーツカー。1960年にダットサン・フェアレディとして登場し、1969年に初代フェアレディZ=S30が発売。
「フェアレディ」の車名はミュージカル「マイ・フェア・レディ」に由来している。国産車を代表するFRの大排気量クーペとして国内外で多くのファンを獲得し、4代目 Z32の生産中止(2000年)からZ33のデビュー(2002年)まで、少々空白期間があったが、その後、2008年5代目のZ34にバトンタッチし、今年2022年に7代目(?)、RZ34へと血脈をつないだ。今も昔も変わらぬ、日産のフラッグシップモデルである。
日産 スカイライン
ブランド力の強さでは圧倒的ともいえるスカイライン。
初代は1957年の登場で、今年でデビュー65周年。もともとはプリンス自動車工業が開発・製造・販売していた高性能セダンで、車名はスカイラインの父、桜井眞一郎が群馬県の草津町にある山小屋で、青い空と白い山並みを走る稜線の美しさに感動し、スカイラインと命名したとされる。初代はアメリカンスタイルのセダンだったが、2代目は日本GPでポルシェと激闘。「スカG」伝説の礎を築く。
1966年にプリンスと日産が合併し、1967年に登場した3代目の日産スカイラインがいわゆる「ハコスカ」。DOHCのS20エンジンを積んだGT-Rはレースで49連勝を含む通算52勝を達成。走りのスカイラインの座を不動のものにする。現行車は13代目のV37。
トヨタ・クラウン
16代目のS23がガラリとイメージチェンジをして話題を集めているトヨタ クラウン。
7代目のキャッチコピー、「いつかはクラウン」で知られるように、日本でもっともステータス性のあるクルマとして知られている。初代は1955年の1月1日発売。純国産の高級車で、観音開きドアを採用。乗用車では国産最古の歴史を誇り、トラディショナルでありながら、先端も走り続けている特異な存在だ。
トヨタ・ランドクルーザー
現行車が納期まで5年以上となり、現在受注を停止しているランクルことランドクルーザー。
じつはこのランクルこそ、同一名称をもっとも長く使っている国産車なのだ。初代はクラウンよりも4年早い、1951年に誕生。当初、ジープBJトラックとして開発された警察予備隊向けのクロカン4WDとしてスタート(警察予備隊への納入は、三菱ジープ=ウィリス・ジープのノックダウン生産車に破れた……)。
ランクルの名前は、「砂漠のロールスロイス」と呼ばれた、英国ローバー社の「ランドローバー」を駆逐するという意味で、巡洋艦=クルーザーと命名された(ROVERは海賊、海賊船の意味)。
現行の300系は10代目。中東諸国を筆頭に世界中で人気があり、盗難被害に遭うクルマとしても残念ながら常にトップ周辺に名を連ねている。
マツダ・キャロル
軽自動車で車名が長いのはマツダのキャロル。
初代は1962年に登場したRRの4人乗り。スバル360をライバルにしていたが、販売面では届かなかった。 2代目からはスズキアルトとエンジン・プラットフォームを共有し、4代目からはスズキアルトのOEMという存在に。現行車は8代目で、アルトのOEMという点は変わらない。
スズキ・ジムニー
生産が追いつかないほど人気が高く、相変わらず納期が1年半以上といわれているスズキ・ジムニー。
初代は1970年でその走破性の高さは群を抜く存在として知られている。長い歴史の割に現行車が4代目なのは、先代の3代目ジムニーの生産が20年も続いたから。
ダイハツ・ハイゼット
軽商用車でいえばダイハツ・ハイゼットの歴史も半端ではない。
初代はキャロルやジムニーより古く、1960年に誕生。1968年には電気自動車のハイゼットも販売されていた。
トヨタのピクシストラック・ピクシスバン、スバルのサンバー(2012年以降)もハイゼットのOEM。
現行車は2021にモデルチェンジした11代目だ。
ホンダ・シビック
そして最後にホンダシビック。
初代は1972年に登場。CIVIC=「市民の(住民の)」(英語)の車名どおり、ホンダを代表する大衆車として設計された。FF駆動2BOXのパイオニアで、世界で最初にマスキー法(当時の技術では達成できないと言われたほど厳しかった米国の排出ガス規制法)をクリアしたCVCCエンジンを搭載し、世界中で大ヒット。単なるエコなクルマというだけではなく、初代からスポーツグレードの「RS」も設定された。
以後、2代目のスーパーシビック、3代目ワンダーシビック、4代目グランドシビック、5代目スポーツシビック、6代目ミラクルシビックと走り屋にも愛されるシビックが続くが、7代目スマートシビックあたりから、国内より欧米マーケット重視にシフト。8代目のFD型からかなり車体も大きくなり、2010年に日本仕様は販売終了……。
しかし10代目になり、日本市場での販売も再開され、現行車は11代目のFL型。
派生モデルのタイプRは、2001年のEP3がイギリス製、2007年のFN2が同じくイギリス製。ニュルでのFF車両世界最速をめざして開発され、2015年、750台限定で発売されたFK2(イギリス製)などは、日本のシビック本流とはまた違う流れで展開された。2017年に発表されたFK8は限定販売ではなかったが2021年に生産終了。次期タイプR、FL5は2022年9月の発売予定となっている。