ホンダ・フィットハイブリッドの歴代モデルやグレードごとの違いを紹介! e:HEVの情報も

2022.08.05 13:00
この記事をまとめると
■ホンダのコンパクトカー「フィットハイブリッド」の魅力を解説
■現行モデルで3代目となるハイブリッドは5モデル設定されている
■初代と2代目を中古で手に入れるのもオススメだ
日本が世界に誇るコンパクトカー「フィット」をチェック
フィットとは
「クラスを越えた快適性と、ユーティリティをスモールクラスのボディに凝縮」とホンダが唱える収納性が高い新世代のコンパクトカーとして2001年にデビューした初代フィット。
  限られたボディサイズにおいて、できる限り広くて大きな室内空間を確保するかに力を入れ、運転席下に燃料タンクを配置する革新的なセンタータンクレイアウトを採用。底床化を実現したことで同クラスのコンパクトカーには類を見ないユーティリティ性能を実現しました。
  その当時、国内市場ではトヨタ・ヴィッツや日産・マーチがスモールカー市場の人気を二分していましたが、新たなコンセプトを備えたフィットは、1クラス上にセグメントされるとはいえ、コンパクトカークラスで人気の2車に戦いを挑むべく新たな価値を得て登場したクルマだといえます。
  初代フィットは使い勝手や走行性能、使いやすいボディサイズなどバランスに優れたコンパクトカーだと評価され、2002年には年間販売台数が1位となるほど大成功を収めました。
  初代登場から6年半後の2007年には2代目にバトンタッチ。2013年には3代目が登場しホンダを支える屋台骨となるまでブランドが成長しています。
  現行モデルとなる4代目は2020年にデビューしましたが、歴代モデルと比べると人気はイマイチ……。それでもコンパクトカー市場において、人気車種であることは間違いありません。
フィットハイブリッドとは
  2代目登場から約3年後の2010年に追加されたのがフィットハイブリッド。
  フィット自慢の居住性を犠牲にせず、ハイブリッドユニットを搭載し10・15モード燃費は30km/Lを誇りました。2013年にデビューした3代目にもフィットハイブリッドはラインナップされ、高い燃費性能とユーティリティ性能で話題を集めています。
フィットハイブリッドの歴代モデル紹介
 初代:GP1~4型(2010年~2013年)
  初代同様、コンパクトカーにおいてベストセラーとなった2代目フィット。デビューから3年後に行われたマイナーチェンジに合わせデビューしたのが初代フィットハイブリッドです。
  ハイブリッドユニットは2代目インサイトに搭載されたIMAを採用。1.3リッターエンジンと10kwの薄型モーターで構成されるハイブリッドユニットはモーターとエンジンを直結。トヨタ・プリウスとは違い、発進時は常時、モーターとエンジンを併用しています。
  エンジンに全気筒休止VCMを採用したことなどによりHV走行時の引きずり損失を減らす工夫がなされるなど燃費性能を高める設計が随所でなされていました。
  初代フィットハイブリッドで特筆したいのが、「ハイブリッドユニット」を搭載したことによる室内空間への影響がまったくなかったことです。
  ご存知の通り、ガソリンモデルと違いハイブリッドは駆動用バッテリーやコントロールユニットを搭載する必要があり、バッテリーの配置位置によっては室内空間を犠牲にする必要がありました。
  しかし、初代フィットハイブリッドは駆動用ニッケル水素バッテリーとパワーコントロールユニットをラゲッジ下のスペアタイヤ収納スペース(ガソリンモデルも国内仕様はパンク修理キットのみを装備)に配置したことで居住空間やラゲッジの床上スペースはまったく犠牲になっていないのです。
  ハイブリッドユニットを搭載した初代フィットハイブリッドは10・15モード燃費が30.0km/Lとなり、1.3リッターエンジン搭載車の24.5km/L、1.5リッター搭載車の20.0km/Lを大きく向上。しかも、日常使い時や休日のレジャーでの実用性がガソリンモデルと比べまったく失われないことが大きなメリットとなり、フィットの人気をさらに高めることになりました。
  パワーユニット以外、初代フィットハイブリッドとガソリンモデルの違いはスケルトン超グリルやホイールキャップが専用となるなど見た目の変化は大きくありません。
  ただブルーに彩られた専用メーターやインパネがシャンパンメタリックになるなど、インテリアには目に見える他のグレードとの差別化が図られました。
  またフィットハイブリッドには、通信機能を無料で使用可能となるなど当時としてはホンダの最上級ナビシステムが採用されていたことも特徴といえるでしょう。
  初代フィットハイブリッドのデビュー後、筆者も試乗しましたがクルマの出来自体が非常に優れていた記憶があります。室内は広いし、走行性能も十分。いい意味(?)で趣味性を考慮しなければ、クルマはフィットハイブリッドでなんの問題もないよね、と同乗していた自動車評論家と盛り上がったことを思い出しました。
 2代目:GP5〜6型(2013年~2020年)
  2代目フィットハイブリッドは3代目フィットのデビューと同時に登場。初代が搭載していたIMAから新たなハイブリッドシステムとなるi-DCTを採用し、各種性能を大きく高めて登場しました。
  2代目フィットハイブリッドが新たなユニットを選択したのは、先代に積まれていたIMAのネガを解消するためでした。シンプルかつ安価に搭載できるシステムだったIMAですが、エンジンとモーター、トランスミッションが連結しているためEV走行できるのはエンジンが気筒休止している状態のみとなること。また発進時にはエンジンがかならずかかってしまうことや、モーター出力とバッテリー容量が大きくないため燃費性能がプリウスに比べ劣ることなどのデメリットを抱えていたのです。
  しかし、新たに搭載したi-DCTは1.5リッターエンジンに、電気モーターを内蔵したハイブリッド専用のトランスミッションDCTを備え、走行シーンに合わせクラッチによりエンジンとモーターの接続・切断が可能となりました。
  また、モーターの出力も大きく高められ駆動用バッテリーもリチウムイオン化したことで電力容量が1.5倍にアップしています。
  このシステムを採用したことで燃費性能も向上しJC08モード燃費は33.6km/L。またトランスミッションがDCTとなったことで、ダイレクト感があるスポーティーなフィーリングをもたらせました。
  反面、このDCTはトラブルが多発しフィットの評判を落とすことにも繋がってしまいました。デビュー後すぐにリコールが届けられましたが、その後も短い期間でリコールを連発。度重なるリコールにより、ホンダ社内の組織改革に踏み切ることになったほどです。
  ただ、3代目フィット自体の出来はけして悪くありませんでした。シャーシ性能が向上し乗り心地や操作性もアップ。荒れた路面での走行性も安心感が高いためシーンを問わずに走りを楽しむことができました。
  初代、2代目からクルマ自体の出来が大きく進化した3代目フィットですがエクステリアデザインも攻めたデザインを採用しています。
  パッケージありきでデザインしたという3代目フィットのエクステリアは歴代モデルらしからぬスポーティーなフロントマスクや、ボディのサイド部に配されたキャラクターラインは新世代フィットをイメージさせる造形でした。
  しかし、このデザインが全面的に受け入れられなかったのか、初代&2代目と比べフィット自体の人気は3代目となり下降。デザインのみならず、先ほどお伝えしたようにフィットハイブリッドのリコールや、あからさまなコスト削減部があることがネットなどで話題を集めたことも人気低迷の理由といえるでしょう。
  2代目フィットハイブリッドはポテンシャルこそ高かったものの、信頼性が伴わなかったことで残念な結果に終わってしまいました。
4代目となる現行型は1車種5モデルを展開
フィットハイブリッドはフィットe:HEVへ
  4代目フィットには当然のようにハイブリッド仕様が用意されています。ただ、現行モデルはリコールを繰り返した7速DCT方式のi-DCTから、ハイブリッドシステムをe:HEVに変更し車名も「フィットe:HEV」となりました。
  e:HEVは2モーター駆動式のハイブリッドシステムでバッテリーのみで走行するEVモード、エンジン発電によるHVモード、クラッチ直結によるエンジン駆動モードを有します。
  基本的に1.5リッターエンジンで発電し、その電力でモーターが駆動するシリーズ式ハイブリッドなのですが、蓄電量が十分な場合はエンジンを停止しバッテリーからの電力のみで走行。高速巡航時などはエンジン出力で直接タイヤを駆動することで電力の変換ロスを抑える工夫もなされています。
  このシステムは先にデビューした3代目インサイトにも搭載されていましたが、フィットのボディサイズに合わせモーターやジェネレーターを薄くすることなどでコンパクト化を実現。排気系のレイアウトも見直し、システムトータルで20%以上小型化しました。
  またハイブリッドシステムの肝ともいえるIPUも容積を25%縮小。搭載されているラゲッジルームの使い勝手を向上させています。
  e:HEVに搭載する1.5リッターエンジンはハイブリッド用ともいえる熱効率が高いユニット。遅閉じアトキンソンサイクルを使用することなどで最大熱効率は40.5%を達成しました。
  4代目フィットも歴代モデル同様、センタータンクレイアウトを採用。全長は先代比40mm長くしたことでフィット自慢の広い室内空間を備えています。ただ、4代目の開発テーマは他車との数値競争から脱却し、数値だけにとらわれない快適空間を実現すること。
  ドライビングポジションの最適化、リラックスできるリヤシート、日常使いに配慮した荷室などユーザーにとって心地よい空間とはどういうものかにこだわりテーマ通り快適空間に仕立てています。
  そんなパッケージからデザインを構築していった4代目のスタイリングテーマは「柴犬」。フィット伝統のワンモーションフォルムを踏襲しつつ、柴犬のような心地よい存在になるべく生み出されたエクステリアデザインは親しみやすさを感じ、人によっては癒やしを感じさせるものとなりました。
  また4代目に標準装備される先進運転支援システム「ホンダ・センシング」はシステムを全面刷新しています。
  画角が約100度にまで広がった単眼カメラのみを使用して前方の状況を把握し、近距離の障害物検知は超音波センサーを使用。従来使用していたミリ波レーダーでは対応できなかったガラスや壁にも対応が可能となりました。
フィットハイブリッドのグレードの違いを解説
  4代目フィットは「ベーシック」「ホーム」「ネス」「クロスター」「リュクス」の5グレードが用意されていますが、e:HEVはすべてのグレードで選択が可能です。
  名称通りベーシックモデルとなる「ベーシック」ですがe:HEVは先進運転支援システム「ホンダ・センシング」やフルオートエアコン、フルLEDヘッドライトが標準装備(ガソリンモデルはオプション)となるなど実用性十分。車両価格は199万7600円から219万5600円。
  売れ筋モデル「ホーム」は電子制御パーキングブレーキを備えるなど日常使いで利便性が高い装備をまんべんなく揃えるグレードです。車両価格は211万7500円から231万5500円。現在、「ホーム」をベースにした特別仕様車「e:HEV ホーム 20周年 特別仕様車 Casa」(226万7100円〜246万5100円)、「e:HEV ホーム 20周年 特別仕様車 Maison」(226万7100円〜246万5100円)が販売されています。
「ネス」はLEDフォグランプや2トーンカラーを選択できるスポーティ仕様。グレード名もフィットネスからつけられており、豊かなライフスタイルを求めるユーザーに最適なグレードとなります。車両価格は222万7500円から242万5500円。
  標準仕様と比べ最低地上高を25mm高めるなどSUVテイストを取り入れた「クロスター」。他のグレードとは異なりフロントグリルを配置するなどシリーズ中、もっとも個性的な外観を備えました。車両価格は228万8000円から248万6000円。
  シリーズ内で最も豪華な仕様が「リュクス」。ブラウン、ブラックの2色から選択可能な本革シートを備え、プラチナメッキの加飾を用いるなど内外装を高級感あるシックなテイストで仕立てられています。車両価格は242万6600円から259万1600円。
ホンダフィットのガソリンモデルとe:HEVとの違いとは
  現行モデルとなる4代目フィットを購入するにあたり迷うのがe:HEVかガソリンモデルを選ぶかということ。そこで、ガソリンモデルとe:HEVの違いを見ていきましょう。
  まずe:HEVが備えているのは圧倒的な静粛性。パワーユニットはもちろんのこと、ロードノイズの低さもe:HEVのほうが勝っているのが興味深いポイントです。
  逆にガソリンモデルに備わっているのが軽快感。走る楽しさを求めるユーザーにはガソリンモデルをおすすめします。
  またガソリンモデルのラゲッジルームはe:HEVと比べ床面は30mm低く使用勝手が勝っていることも違いといえるでしょう。ただ、床面が低いことで後席収納時に段差ができることが気になるユーザーも少なくないかもしれません。
  両車でとくに大きく違うのが燃費性能。e:HEVのWLTCモードが23.2〜29.4km/L、ガソリンモデルが17.0〜20.4km/L。
  ガソリン高が続く中、この差は大きいですが価格差も小さくありません。e:HEVの「ベーシック」が199万7600円(FF)なのに対して、ガソリンモデルの「ベーシック」は155万7600円(FF)。いくらガソリン高が続いているとはいえ、価格差が大きいため購入するならガソリンモデルかe:HEVかどちらにすべきか、難しい判断材料になりそうです。
まとめ
  フィットハイブリッドやフィットe:HEVは、ユーティリティ性能を重視したフィットの実用性を損なわずに開発されたハイブリッド車であることが大きな特徴です。
  燃費性能はもちろん、高い実用性や広い居住空間を備えたコンパクトカーを求める場合は選択肢の第一候補になることは間違いありません。

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