アルカナはただの「使えるSUV」にあらず! 輸入車唯一のフルハイブリッドなのに走りにも燃費にもルノーマジック全開

2022.07.25 18:00
素直にカッコイイと思えるスタイリングと使い勝手を両立
  ハッチバックのボディを用いてミッドシップスポーツを作ったり、ミニバンをベースとしたクーペを提案したり、ルノーはいつも独創的なクルマづくりで僕たちを驚かせ、楽しませてくれる。それが人目を引きたいという理由ではなく、既存のパッケージングでは実現できない魅力を提供するためであることは、ミニバンクーペのアヴァンタイムに20年近く乗り続けている僕も実感しているところだ。
  彼らにとって初めてのクーペSUVであり、このブランドが日本で販売する初のフルハイブリッドでもあるアルカナもまた、そんなルノーらしさを備えたクルマだと思っている。
  今回の試乗車は鮮やかなオレンジ。イメージカラーのブラックでは精悍さが際立つのに対し、こちらはクーペらしい華やかさが強調される。あえてクーペを選ぶのだから、このぐらい自己主張してもいい。
  明るい色だからこそ、独特のプロポーションもよくわかる。サイドウインドウはきれいなアーチを描いていて、流れるようなフォルムをアピールするのに対し、ルーフラインはリヤゲートの直前まで水平に近かったりする。
  これが外観からは想像できないキャビンの開放感を生み出している。2720mmという、CセグメントのSUVでは長めのホイールベースのおかげもあり、身長170cmの僕がドライビングポジションを取った真後ろでも、ゆったり過ごすことができるのだ。
  クーペなのだからと2+2レベルとする車種もある中で、カッコ良さと使いやすさを両立するルノーのポリシーを感じる。ラゲッジスペース容量も480リットルをマークしているし、リヤゲートが前方まで大きく開くので奥のものが取り出しやすい。
  一方の運転席まわりは、R.S.ラインならではのカーボン調パネルや赤いアクセントラインで精悍な装いだが、レザーとスウェード調素材のコンビとなるフロントシートは優しく体を受け止めてくれて、ここでもルノーらしさを実感する。
  細かい部分も手抜きなし。たとえばセンターコンソールボックスのリッドは、それ自体が高い位置にあるのでちゃんとアームレストとして機能するし、前後にスライドするので日本人でも恩恵にあずかれる。
  クーペはスポーツカーと違って、グランドツアラーとしての要素も重要。そのことをルノーはよく理解しているようだ。
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燃費よし! 走りよし! さらに取りまわしもよし!
  このボディを動かすのは、1.6リッター直列4気筒自然吸気エンジンにメインとサブの2モーターを加えたE-TECHハイブリッドで、エンジンにはドッグクラッチを使った4速、メインモーターには2速のトランスミッションを組み合わせ、合計12通りの変速を行うという。
  スターターやジェネレーターを兼ねるサブモーターは、変速時に瞬時にまわってドッグクラッチのショックを吸収するとともに、シーンによっては駆動アシストも担当する。
  特筆すべきは、開発にF1チームのノウハウが注入されていること。メカニズムで近い部分もあるので制御面で協力したそうだが、たしかにその走りは乗り慣れた国産ハイブリッド車とは明らかに違う。
  モーターが担当する発進が静かで滑らかなのは当然として、その後エンジンが始動してもいきなりグワーンとまわることなく、車速に合わせて回転を上げ次のギアにバトンタッチする。ハイブリッドらしからぬ切れ味の良さなのである。
  さまざまなクルマを乗り継いできた経験豊富なドライバーほど、この加速感に惹きつけられるのではないだろうか。
  サブモーターのおかげでショックはないものの、制御は予想以上にきめ細かい。エコモードでは電動走行が多くなる一方、スポーツモードでは減速時にもエンジンを止めず次の加速に備えるなど、ドライブモードにもメリハリがある。
  上陸直後に乗った先行生産車との違いも確認できた。パワートレインが日本の道を学習しつつあるのか、エンジンの回転を上げたまましばらく走ったりすることがなくなるなど、より自然になっていたのだ。
  燃費はカタログ値でも22.8㎞/Lと優秀だが、東京都心と千葉県木更津市郊外の往復で、車載燃費計はそれに近い約20㎞/Lをマークした。とくに国産ハイブリッドが不得手とする高速でも数字が落ちないのが驚きだった。
  直近で乗ったルノーが、同じE-TECHハイブリッドを積むルーテシアだったので、それとの違いにも触れておくと、たしかにダイレクト感はBセグメントのルーテシアが上まわるものの、エンジン音やロードノイズの遮断はアルカナが上で、車格の違いを実感した。
  それでいてアルカナは大きすぎない。4570mmの全長のわりに、全幅が1820mmとスリムなことがありがたいし、1580mmの全高がもたらす目線の高さが実寸以上に小柄に感じさせるので、取りまわしには苦労しなかった。
  乗り心地はルノーそのもの。つまりしっとりしていて、速度を上げるほどフラットになっていく。実はここも先行生産車よりこなれていた部分で、固さは薄れ、より快適になっていた。
  先進運転支援システムは、アライアンスを組む日産のそれに匹敵する完成度の高さであり、ルノーらしい盤石の直進安定性と相まって、どこまでも距離を重ねていこうという気になる。
  一方のハンドリングはR.S.ラインの名に恥じないもので、ロングホイールベースとワイドトレッド、SUVとしては低めの全高のおかげもあり、よりコンパクトなハッチバック、具体的にはルーテシアに近い感覚で曲がっていける。
  街中では適度なサイズとメリハリのあるパワートレインによる機動性を享受し、高速道路ではE-TECHならではの効率の高さを教えられつつ、カントリーロードでは存分にコーナーを楽しむことができる。独創的なデザインとエンジニアリングは、万能性を高めるためであることを教えられた。
  アルカナに乗るのはこれで3回目になるが、いつも新しい発見があるし、ベテランドライバーにも響く味わいも感じられて、回を重ねるにつれいいクルマ度が増しているというのが、正直な感想である。
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