【試乗】新型ステップワゴンのガソリン車を買うなら「FF」推し! 室内は1〜3列すべて極上だった

2022.07.13 07:00
この記事をまとめると
■新型ステップワゴンAIRのガソリン4WDモデルに試乗
■別機会に乗ったFFに比べて走りの質感が気になる
■ミニバンのキモである居住性は全席文句なし
1.5リッターターボもしっかり進化
  新型ステップワゴンには、主力となるハイブリッドのe:HEVモデル(初期受注で約65%を占める)とともに、1.5リッターVTECガソリンターボエンジンモデルも用意されている。価格は標準車のエアーFFで299.86万円。同e:HEVモデルの338.25万円に対して約38万円安となる。ガソリン車とe:HEVモデルの大きな違いは、パワーユニットだけでなく、4WDが選べるか否か。e:HEVモデルがFFのみなのに対して、ガソリン車はFFと4WDを用意している点だ。理由はe:HEVモデルの場合、ステップワゴンの特徴でもある3列目席床下格納と、その下に入るであろう4WD用モーターの入るスペースが両立しないからである。
  また、サスペンションはe:HEVのFFモデルはバネレートを高めにセット。ガソリン車のFFの場合、サスペンションのバネレートをやや下げたセッティングが施されているという。ただし、4WDはリヤサスまわりの構造の違いによってやや硬めのリヤサスセッティングになるという。
  さて、ここではガソリン車の4WDを試乗した。走り出せば16インチタイヤを履く乗り心地は、路面によってはゴツゴツとしたタッチを伝えてくるものの、段差の乗り越え、ゼブラゾーンの通過での不快な振動、ショック、突き上げは抑えられ、終始、フラットな乗り心地が好印象だった。
  新型ステップワゴンのライバルを凌ぐ走行面での美点が、車内の静かさ。e:HEVと違い、こちらはエンジンのみが動力源となるものの、巡行時の”パワーユニットに関して”の静かさは文句なく、さらにエンジンを高回転まで回したときでも不快なエンジンノイズの車内への侵入は最小限に抑えられている。そしてこれまたe:HEVモデルに準じた、こもり音の排除もパワーユニットの違いにかかわらない新型ステップワゴンの大きな魅力となる……はずなのだが。
  しかし、ステアリングやフロア振動、ロードノイズはかなり気になるレベル(FFと比較した場合)。同じガソリン車でもFFであればすっきりとした静かな室内空間が確保されるのものの、4WDになるとリヤサスの違いから、ザーッという路面をタイヤが叩く音が、そのほかのノイズが抑えられていることもあって、突出して気になってしまったのだ。4WDを必要とするユーザーもいるはずだが、新型ステップワゴンの驚異的に静かな走行性能を手に入れるなら、ガソリン車の場合、FFをお薦めする。その点を開発陣に投げかけると、距離を重ねていくとフリクションが低減され、解消されるとのことだが……。
  動力性能については、Mクラスボックス型ミニバンに1.5リッターダウンサイジングターボエンジンとはいえ十二分。日常域はもちろん、高速走行でもパワー不足を感じるシーンは、多人数乗車時を含め、まずないと思えるほどだ。エンジンを高回転まで使っても、スムースに静かにまわるところもそうした印象を加速させてくれるのだ。パドルシフトによるスピードコントロールも走りやすさに直結するはずだ。そして先代のガソリン車のユーザーであれば、低速域でのギクシャクした挙動がほぼ解消されている点に気づくかも知れない。ドライバビリティのよさというところも、このガソリン車は進化、改善されているということだ。
  e:HEVモデルに対してガソリン車(のFF)が優れるのは、車重で約100kg、そしてノーズの軽さによる走りの軽快感、回頭感の良さだ。ステアリングを切った際の曲がりやすさ、ノーズの入りやすさは明らかで、全長4800mmにもなったMクラスボックス型ミニバンにして、操縦性の自在感ではe:HEVモデル以上という印象を持てるかも知れない。燃費性能比較では、エアーのFF車で、ガソリン車がWLTCモードで13.9km/L(4WDは13.3km/L)、e:HEVモデルが20.0km/L(FF)だからその差は小さくないものの、上記の価格差を含め、街乗り中心に気軽に乗るのであれば、ガソリン車の選択(FF)も悪くない。
  もちろん、全幅1750mmへの拡大によってトレッドも広がり、カーブやレーンチェンジでの安定感は先代モデルを上まわる。ボックス型ミニバンはさすがに横風に弱いのが普通だが、その点でも先代モデルより影響を受けにくいと感じさせてくれそうだ。試乗中、カーブに勢いよく飛び込んだ最中、試しにアクセルオフを試みてもクルマの挙動変化はないに等しかった。クルマによっては内側に巻き込む挙動を示すこともあるのだが、新型ステップワゴンは至って安心だ。新型ステップワゴンの走りの特徴でもある、リヤサスのストロークアップを含めた4輪の接地感の高さの確保はもちろんだが、そうした場面でのアクセルオフ時に、”急激なエンジンブレーキをあえてかけない”新型ならではの制御も功を奏していると考えられられる。
シートは全席ゆとりの空間で快適性はバッチリ
  ところで、新型ステップワゴンのパッケージング、2/3列目席の居住性について説明すると、身長172cmの筆者基準で、1列目席頭上空間(シート上下調整最下端時)は、先代、新型ともに290mmと変わらず。2列目席頭上空間は、先代の290mmに対して新型は260mmと減少。が、ガッカリすることなかれ。260mmでも十分に余裕があり、しかもその理由が2列目キャプテンシートの座面の厚み増しによるものなのだ。つまり、より快適なクッション感で座れるということである。
  2列目膝まわり空間はどうか。パッケージング的に1-3列目席の間隔は先代同様だが、前後スライドのみだった先代の最大360mmに対して、新型は中寄せロングスライドによって最大600mmもの膝まわり空間が得られ、足もとの広さで圧倒。スパーダ以上ならオットマンによってかなりリラックスした姿勢が取れるようになるのも新型ならではだ。
  新型ステップワゴンがこだわったという3列目席は、乗降性からして向上。さすがにわくわくゲートはないため、新型はスライドドア側からしか乗降できないものの、アクセスするためのウォークイン幅は先代の350mmから400~460mmまで拡大。3列目席に着座すれば、頭上方向は先代の210mmから140mmに減少。しかし、これも3列目席の座面クッション厚UPが理由となり、かけ心地の向上に直結している。細かいことを言えば、3列目席に限り、スパーダ以上の合皮コンビシートよりエアーのファブリックシートのほうが、表皮のたわみ量が多いソフトなかけ心地になる。3列目席の膝まわり空間は、筆者が2列目席に座り、膝まわり空間を200mmにセットした時で、先代同様の240mm前後のゆとりがある。
  が、それ以上に新型の3列目席が優秀なのは、クッション厚を増したこともあって、フロアからシート座面までの高さ=ヒール段差が先代の315mmから340mmまで高くなったこと(メーカー値+20mm)。結果、膝を抱えるような姿勢になりにくく(身長によるが筆者はOK)、着座性、立ち上がり性ともに良くなっているのだ。ただし、2列目キャプテンシートの下に靴先が入るスペースは、依然ない。足の延ばし加減に影響するため、ちょっと惜しい点ではある。
  というわけで、6代目ステップワゴンは販売比率の高いe:HEVだけでなく、ガソリン車も大幅な進化を遂げていた。無塗装の樹脂リヤバンパーが独立して備わり、補修面で有利なのもエアーのほうなのである。なお、先代のように、AC100V/1500Wコンセントがオプションで選べるからHVモデルを選ぶ……という選択の仕方はなくなった。新型のe:HEVモデルにAC100V/1500Wコンセントの設定がないからである(泣。先代のオプション装着率が低かったため)。

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