人気のFRスポーツ「トヨタ86/GR86」! 詳細と進化の歴史を解説

2022.07.01 13:00
この記事をまとめると
■トヨタのFRスポーツカーとして人気のGR86と初代86を振り返る
■初代のイメージを継承しつつすべての面で進化を果たしているGR86
■スポーツカーらしさと実用性を備えた初代86の中古車市場での人気はいまだに健在
各性能が磨き上げられ登場したGR86
  企画・デザインはトヨタ、設計・製造がスバルという、自動車ファンの想像を超えたコラボレーションで2012年に誕生した初代86/BRZ。
  約9年半の時を経て登場した2代目となる現行モデルも同様のスキームで開発されました。
  トヨタのスポーツカーブランド「GR」の冠がついた2代目ですが、ぱっと見、どこが変わったのだろうと思うほど外観上の変化は少ないモデルチェンジとなりましたが、パワーユニットや走行性能は大きく進化しています。現行モデルは初代からどのように変化したのでしょうか。
FRらしさを追求したエクステリアデザイン
  新型となったGR86ですが、初代86と見た目の差は大きくないように思えます。
  その理由として、初代のパッケージが優れており、ホイールベースなどを踏襲する必要があったこと、また先進運転支援システム「アイサイトコアテクノロジー」を装備するにあたりフロントウインドウの形状を初代と変えることができなかった、などの条件があったことが要因です。
  それでもキャビンを小さく見せることをテーマにしたことや、リヤフェンダーを強調しグラマラスにしたことで小型FRスポーツカーらしさを引き立てています。フロントと比べるとリヤまわりは初代から大きくイメージを変えた印象を持ちます。
  若々しいイメージが強かった初代と比べ、2代目は大人が乗るにふさわしいスポーツカーへ進化したとの印象を持ちました。
シンプルでスポーツカーらしい水平基調のインパネは先代から継承
  初代86のインテリアは運転中、車両の傾きを感じやすくするために水平基調のインパネを採用。車両感覚がつかみやすいインパネの造形にこだわっていました。
  GR86も初代からのコンセプトを受け継ぎ、水平基調で上面をフラットに仕上げたインパネを採用しました。
  より低くなった着座位置など、スポーツカーとしての運転環境も初代同様に備わっていますが、利便性などは大きく向上しています。
  ドライバーズシートは、座面の構造を変更し体圧分布の均等化を図るなどホールド性がアップ。フレームは、高張力甲鋼を使用したこと、またレーザー溶接を導入したことで軽量化も実現しました。
  7型、もしくは7型ワイドを装着可能だった初代とは違い、2代目は9型のナビが装着可能に。メーターはフルデジタルの7インチTFTカラー液晶が備わり、視認性の向上が図られています。
  タイヤ4本を収納可能だった初代のラゲッジルーム同様、2代目も日常的に使える空間を用意。左右分割式ではないものの、トランクスルーも備わっています。
運動性能向上を図るパッケージングを採用
  GR86は、全長が初代比+25mmの4265mmと拡大していますが、全幅は初代同様の1775mm、全高は初代比-10mmとなる1310mmの外寸となりました。ホイールベースは初代比+5mmの2575mmですので、初代86とサイズに大きな差はありません。
  プラットフォームは初代からのキャリーオーバーとなりますが、約6割の部品が新たに設計されています。
  パワーユニットは2リッター水平対向エンジンを搭載していた初代とは違い、GR86は新開発FA24型2.4リッター水平対向エンジンを搭載。最高出力235馬力、最大トルク25.5kgmを発揮するエンジンは、パワーがアップしたのはもちろん、大きくトルクアップされていることが特徴です。
  このエンジンは、初代同様、トヨタの燃料噴射システム「D-4S」を採用し、動力性能と環境性能の両立を図りました。
  GR86で注目したいのが、動力性能の向上だけでなくエンジンサウンドにも手が加えられていること。スピーカーを使い、音を調整するアクティブ方式を採用したことで電気的にサウンドを構築。とくに高回転域でのエンジンサウンドは高揚感が伝わるようになりました。
シンプルに設定されたGR86のグレード
  GR86に用意されたグレードは3種類。
  モータースポーツなどのベースとして活用することを前提としたエントリーモデルの「RC」(279万9000円/6速MT)。特異なグレードとはいえ、左右独立温度コントロール付きフルオートエアコンやスマートエントリー&スタートシステムなどの装備が備わっているので実用性に問題はありません。
  その上にラインアップされる「SZ」(6速MT/303万6000円、6速AT/319万9000円)には17インチホイールやフロアーサイレンサー、6スピーカーなどが備わることで、利便性や実用性が高まります。
  また、AT仕様には先進運転支援システム「アイサイトコアテクノロジー」を標準装備。MT仕様より約17万円価格がアップすることになりますが、全車速追従機能付きクルーズコントロールが備わるなど、とくにロングドライブを行うユーザーには大きな魅力を感じる装備です。
  GR86の上級モデル「RZ」(6速MT/334万9000円、6速AT/351万2000円)は、シート表皮がウルトラスエード&本革となり、後側方警戒支援システムも標準装備となります。
  その他、フロントにはスポーツブレーキパッドを装備。スポーツアルミペダルやシートヒーター、8スピーカーなど走行面や機能面、それぞれに貢献する装備が充実しました。
9年にわたって改良・進化を続けた初代86
ぜひとも装着したいオプションパーツ
  スポーツカーであるGR86には、その存在感をより強調するエアロパーツを装着したくなります。エアロパーツでおすすめしたいのが「GR PARTS」。フロントスポイラーをはじめ、GR86が備えている「大人が似合うスポーツカー」の雰囲気を壊すことなく上品に外観を仕立ててくれます。
  フロント、リヤ、サイドを引き立てるパーツが用意されており、すべてが揃う「空力パッケージ」は36万1900円(未塗装)となりますが、ぜひとも装着したいオプションです。
なさそうであるBRZとの細かい違い
  同じメカニズムを備えるGR86とBRZとの違いを見ていきましょう。
  大きな違いを設けているのがドライバリティ。日常的な使い勝手を重視したスポーツカーに仕立てたBRZと、「GR」の冠が付くようにスポーツカーらしさを強調したGR86でチューニングが異なっています。
  具体的な違いはスロットルバルブの制御で、BRZはエンジンの回転数を元に使い分けていることに対し、GR86は回転数に加えアクセル開度も判断。アクセル操作に合わせ全回転域で鋭いトルクを得るよう制御されます。
  その他、外観やグレードなどの違いはどうでしょう。
  外観上での違いはフロントマスク。GR86は「GR」ブランドの共通テーマ“ファンクショナルマトリックスグリル”を採用。一方、BRZはスバルの共通テーマとなる“ヘキサゴングリル”をモチーフとしたデザインを取り入れました。
  また、ヘッドランプのデイタイムライトもGR86はL字型、BRZはコの字型としているところも両車の違いです。
  デザイン以外の違いを見ていくと、16インチスチールホイールを設定しているところやモータースポーツ用簡易装備グレード「RC」を用意したのがGR86のみ。BRZは「R」と「S」の2グレードとなっています。
  また、GR86にはブライトブルー、BRZにはWRブルーとそれぞれの専用ボディカラーを設定しているのも違いとなります。
スポーツカー好きの心を鷲掴みにした初代86とは
  スポーツカー好き、クルマ好きにとって特別な意味を持つ“ハチロク”の名を提げて2012年にデビューした初代86。トヨタとスバルがスポーツカーを共同開発したことも含め、デビュー当時、メディアは86の話題でヒートアップしました。
「低重心でヨー慣性モーメントが小さいこと」を重視したパッケージングを得るために、最高出力200馬力を発揮するスバルの水平対向エンジンを搭載。AE86同様、FRとしたことでスポーツカー好きの心を掴んでいます。
  パワーユニットは、スバル製FB20型2リッター水平対向4気筒エンジンをベースに、筒内直噴とポート噴射を併用するトヨタのD-4Sを投入したFA20型を採用。共同開発のメリットを大いに活かしていました。
  ただ、スポーツカーらしさを追求しただけでなく、使いやすさも兼ね備えていたことも初代の特徴です。低い着座位置はスポーツカーのそれですが、収納スペースを十分に備え、ラゲッジスペースも日常使いで活用できる広さを実現しています。
  そのラゲッジスペースですが、クルマの特性からサーキット走行を考慮してタイヤ4本が積むことができるスペースを確保していました。
  初代はデビュー後、さまざまな改良が加えられていったことで走行性能や操縦安定性が向上。「GRMN」などのコンプリートカーや特別仕様車などが追加されていき、2016年にはマイナーチェンジを実施。
  2020年に特別仕様車「GT”BLACK LIMITED”」の発表後、2021年10月に販売を終了しました。
初代86の中古車ならリーズナブルに購入できる?
  すでに2代目となるGR86が販売されていますが、スポーツ走行をお手軽に楽しみたい方にとって気になるのが初代の中古車相場。
  価格相場を調べてみると、初代86の中古車相場は65〜750万円。モデルチェンジされたことで入手しやすいかと思いきや、価格が安い車両は走行距離が15〜20万kmを超える過走行のものばかり。安心して走りを楽しめそうな車両で100万円以下のものは見つかりません。
  いまや貴重ともいえるスポーツカーだけに、程度が良く価格がリーズナブルな車両を探すためには、根気よく時間をかける必要があるでしょう。
GR86おすすめのグレードとは
  先ほどお伝えしたようにGR86には3つのグレードが用意されています。ただし、パワーユニットはどのグレードも同じとなり、自分が必要とする装備の有無が選択のポイントとなります。
  購入後、自分好みにカスタムするのであれば、値段のわりに装備が充実している「RC」に魅力を感じますが、トランスミッションが6速MTのみとなってしまうのがネック……。
「SZ」と「RZ」の価格差は約30万円で、シート表皮や8スピーカーなどの高級感を増す装備とともに、タイヤとホイールを18インチに拡大してグリップ性能が増すなど走行性能に寄与する違いも発生するなど、価格差なりの差別化が図られています。
  一番大きな違いが、後側方警戒支援システムの有無。「SZ」のAT仕様にはアイサイトコアテクノロジーが備わっていますが、安全面を高めたいのであれば、価格差こそあるものの「RZ」を選ぶべきでしょう。

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