スライドドアの広さだけを見ても使い勝手はわからなかった! ノアヴォク・ステップワゴン・セレナの後席乗降性をプロがズバリ判定

2022.06.24 11:40
この記事をまとめると
■Mクラスミニバンの後席環境を比較
■新型ノア&ヴォクシーと新型ステップワゴンはどちらも先代より使い勝手がいい
■オプション費用の差額が結構あり、消費者には悩みの種になると予想される
Mクラスミニバンたちの後席環境をチェックしてみた
  2022年1月に4代目ノア&ヴォクシー、5月に6代目ステップワゴンが登場し、国産Mクラスボックス型ミニバンの熾烈な争いが再燃。先代同士ではノア&ヴォクシーに圧倒的な差を付けられていたステップワゴンがどう戦いを繰り広げるかも見モノである。
  で、ここでは多人数乗用車であるミニバンの大きな特徴、使い勝手の良否にかかわる、特等席の2列目席のスライドドアからの乗降性を対決させてみたい。ただ、ステップ高、スライドドア開口部だけを見るのではなく、乗り込んでからの着座性、立ち上がり性(シート位置)、そしてアシストグリップ、補助ステップについてもチェックすることにした。
  まずは3車のスライドドアまわりの寸法から(筆者の実測値)。ノア&ヴォクシーはスライドドア開口部の地上高370mm。かつ、いわゆる段差のない掃き出しフロアのワンステップフロアを採用。スライドドアの開口部は幅780mm、高さ1250mm。
  ステップワゴンはスライドドア開口部の地上高380mm。かつ、いわゆる段差のない掃き出しフロアのワンステップフロア。スライドドアの開口部は幅770mm、高さ1260mm。
  セレナはスライドドア開口部の地上高が1段目360mm。フロアはそこから1段高い(60mm)地上420mmの高さにある二重フロアとなる。
  スライドドアの開口部は幅800mm、高さ1305mm。スライドドアの幅はともかく、高さ方向の数値が大きいのは、1段目のステップから計っているから。
  実際の乗降高(フロア基準)は、1305mm-60mmの1245mmと見ることもできる。
後席の乗降性はどちらも優秀! しかし問題点も……
  よって、まず言えることは、高齢者や足腰の弱い人にとっては、ノア&ヴォクシーとステップワゴンのワンステップフロアが乗降に有利なことは間違いないところだろう。スライドドア開口部の寸法差は微小で、そこだけを見れば、乗降性に大きな違いはないと思える。
  が、ノア&ヴォクシーにはスライドドアからの乗降に、先代以上の秘策があった。
  まずはセンターピラーにあるアシストグリップだ。ステップワゴン、セレナは横U字デザインのアシストグリップが比較的高めの位置にセットされている。
  一方、ノア&ヴォクシーは縦長かつ、下ほぼ半分が、子供の小さな手や握力の弱った高齢者でも握りやすいように、小学生用の自転車のハンドルグリップ径を参考に、細めに作られているのである。家族全員が乗るファミリーミニバンとしては、なかなかの配慮、アイディアと言える。
  パワースライドドアに連動して展開する補助ステップは、先代同様、ノア&ヴォクシーとステップワゴンに用意されている。が、先代ノア&ヴォクシー、新型ステップワゴンの純正アクセサリー価格は、電動ということもあり20万円近い。ちょっと抵抗がありすぎる価格ではないか。
  しかし、新型ノア&ヴォクシーは、カラクリを使った非パワーとし、3万3000円のオプション価格を実現。小さな子供や足腰の弱った高齢者のいるファミリーにはもってこいの配慮、装備となりうる。ちなみにセレナは1段目のステップが地上360mmと低いことから、純正補助ステップは用意していないのだろう。
  と、ここまでは比較的わかりやすいスペックを用いた各車の乗降性比較になるのだが、じつは、実際の乗降はシートに座り、立ち上がるまでの一連の動作と考えるのが正しい。乗り込みはラクでも、座るのが、そして立ち上がるのが大変……では、乗降性に優れているとは言えないからだ。
  そこで、2列目席の座りやすさ、立ち上がりやすさのポイントになるのが、2列目席のフロアからシート先端までの高さ=ヒール段差。これが高いと腰の移動量が少な目で座ることができ、一方、立ち上がる際も、ローソファより座面が高めのダイニングの椅子のほうが立ち上がりやすいのと同じで、着座性、立ち上がり性で有利になるのである。
  3車の2列目席ヒール段差は、ノア&ヴォクシーが370mmとかなり優秀。ステップワゴンとセレナは340mmとまずまずの合格点となるが、少なくとも2列目席に乗り込んでからの座りやすさ、立ち上がり性の良さを含め、後席スライドドアからの乗降性では、新型ノア&ヴォクシーがほんの少しリードしていると言っていいだろう。
  ちなみに新型ステップワゴンの7人乗りとセレナの2列目席は、キャプテンタイプながら中寄せスライド機構によってセミベンチシート化が可能(ノア&ヴォクシーの先代も)。
  しかし、新型ノア&ヴォクシーの2列目キャプテンシートはストレート超ロングスライド機構を備えた代わりに、2列目キャプテンシートの中寄せ機構は付かなくなっている。
  家族に小さな子供や、足腰の弱った高齢者がいる場合は、そうした各部のスペックを参考にして、最適なMクラスボックス型ミニバンを選んでいただきたい。なお、Sクラスミニバン&プチバンの後席乗降性選手権については、改めて紹介、報告したい。

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