【試乗】電気自動車の斬新さがガンガンに伝わってくる! 日産アリアは新世代BEVとしての素質に溢れていた

2022.06.18 17:00
この記事をまとめると
■アリアはバッテリー容量で2種類、駆動方式にFF/4WDがあり4種類から選択可能
■ティアナを彷彿とさせるような上質なインテリアもある
■タイヤが数回転するだけで静かで滑らかな走りをもつクルマだとわかる
未来的で先進的なスタイリングに加えて使い勝手が良い
  日産自動車がリーフに続くBEV(電気自動車)の第2段としてアリアを登場させた。2021年11月に発表されすでに多くの予約受注受けているという。そのアリアに試乗する機会が得られた。アリアにはバッテリーの容量に応じて「B6」や「B9」といった2種類のバリエーションがあり、また、それぞれにFFの前輪駆動車と、リヤにもモーターを装着した4WDモデルEフォース(e-4ORCE)も設定されていて4つのモデルから構成されている。
  今回試乗に用意されたのは「B6のFFモデル」だ。バッテリーの容量は66kWhで航続距離470kmをWLTCのモードで達成している。これは日常的な使用においては一般ユーザーの95%の使用条件を満たせる航続距離になっているという。
  車体の外観は非常に未来的で先進的なスタイリングであり、また造形美があってひと目でかっこいいことがわかる。空気抵抗の非常に小さそうな滑らかなボディラインでクロスオーバー系SUVとしてやや高い車高とホイールアーチモールなどの華飾も施されている。ホイールベースは2775mmと長く全長4595mmに対してタイヤが四隅に配置されているようなデザインで非常に安定感のあるフォルムと言える。前後のオーバーハングが短く見た目のバランスをよくしている。
  クルマに乗り込むと極めて質感の高いインテリアが迎えてくれる。以前、日産にはインテリアの上質さを謳う「ティアナ」というクルマがあったが、それを彷彿とさせるような木目調のダッシュボードに高品質なナッパレザーのシートなども用意されている。ドライバー正面には12.3インチのモニターが横2列に配置され、さまざまなインフォーテンツが表示される。とくにダッシュボードセンター上モニターに大きく表示されるナビゲーション画面は指で右にスワイプさせることでメーター内液晶画面に表示させることが可能で、新しい使い方を提案している。全般的にメーター表示が大きく見やすい。センターコンソールは前後に15cmほど電動で移動させることができ、ドライバーの身長やドライビングポジション、着座位置に合わせて使い勝手をよくしている。
  このセンターコンソールには非接触型のスマートフォン充電器やカップホルダー、シフトセレクターそしてドライブモードセレクターやワンペダルセレクトスイッチ、パーキングアシストスイッチが配置されるが、それらは物理的なスイッチではなく、触感を混ぜた感覚でタッチ操作できる新しいタイプのものだ。同様にエアコンの操作スイッチ関係もダッシュボードの木目調パネルのなかにタッチ操作スイッチとして仕込まれ、これはイグニッションがオフでは透過照明が消えてほぼ視認できなくなり、インテリアの雰囲気を崩さずに過ごせるように配慮されている。助手席やダッシュボードセンター部分の下側には物入れが備わり、また、ドライブスルーも可能と言えるようなフラットなフロア配置で実用性が高そうだ。
  2775mmのホイールベースで後席の足もとは極めて広くゆとりがある。身長170cmの筆者が座ってもひざ前に25cm以上のゆとりがある。ただ、低くなったとはいえ床下にバッテリーがあることによりヒップポジションとフロアの高低差はあまり大きくはなく若干長時間では腰に負担のかかりそうなポジションとなる。後席にもシートヒーターが備わり、リクライニング機能もあるのは大いに歓迎される部分である。試乗車はオプションのガラスサンルーフを装備していたことで後席のヘッドクリアランスはいささかスペースが足りないように感じる。
タイヤは19インチと20インチを用意
  さてシステムを起動するとメーターが表示され、スタート準備が完了する。その機動性はよく、シフトセレクターでDレンジを選択すればすぐに走り出すことが可能だ。基本的にドライブモードはエコ、スタンダード、スポーツの3種類があり、デフォルトはスタンダードに設定されているがメモリー機能が備わっていてエコで走行終了すると次の始動時にはエコからスタートできるなどワンペダルと同様の便利機能が備わっているようだ。
  スタンダードモードで走り始めるとアクセルのスロットルレスポンスに対してモーターの反応がマイルドで使いやすい。走り始めて数百mでクルマの良さがわかるという説明があったが、タイヤが2〜3回転するくらいでもこのクルマが十分に静かで滑らかな走りであることが感じ取れた。逆に速度を高めて路面の段差や継ぎ目、舗装の表面のざらつき度が変わったりすると、タイヤのロードノイズが変化することがわかり、遮音性についてはもう少し改良の余地がありそうだ。遮音ガラスの採用や厚手のフロアマットなど遮音や防振に対するアイテムはリーフ以上に備え、静かで高級なインテリアを目指しているというが、タイヤのロードノイズやパターンノイズなどもう少し改善の余地がありそうだ。
  今回採用されているタイヤはブリヂストンとダンロップそれぞれが19インチと20インチで用意されていて、試乗車はダンロップタイヤ製の「SPスポーツマックス050」を履いていた。ブリヂストンとダンロップどちらを選んでもタイヤ内にスポンジ吸音材を仕込んでロードノイズを抑える静音タイヤとしているのが特徴だ。また、タイヤの厚み(キャップベース、トレッドペース)が厚みを薄くし軽量化を図っていることも特徴と言える。ただそのタイヤ自体の乗り心地は固めで、路面のハーシュや段差の突き上げなども細かく拾うところがあり、ショックアブソーバーの硬さと共にやや気になる。
  バッテリー重量だけで約450kgの重さがある。空冷式だったリーフのラミネート式リチウムイオンバッテリーユニットに対して今回は液冷式ラミネートユニットとしているためリーフよりも10kgほど重量が重くなっているという。また液冷化により重放電時のバッテリーの温度を緻密に管理でき、摂氏30度前後の理想的な温度に維持できるようになった。これにより急速充電器を頻繁に使用しても、きちっとした充電量が確保でき安定した航続距離が発揮されるという。
現状のメイン顧客ターゲットは年収1000万円クラスとされていた
  高速道路に乗り入れて60〜80km/hで走行していると日産のプロパイロットを使用することができる。条件によってハンズオフモードも活用しドライバーの疲労を軽減してくれる。高速道路で気になったのはブレーキの利き具合だ。電動マスターバック式ブレーキを採用しているが若干ブレーキペダルストロークが大きく、踏み応えも弱い印象。制動力の立ち上がりがあまり力強くなく、いささか頼りないフィーリングになっていた。むしろワンペダルで回生ブレーキを強く利かせたほうが強力な減速Gが得られるように感じる。もちろんブレーキペダルを強く踏み込めば強力に減速させることができるが、ちょうど多用するブレーキングシーンの踏み心地が曖昧な印象を受けるのは今後の改善を望むところだ。
  またステアリングの操舵フィールもとくに直進時操舵で前輪のゲインが敏感すぎて、いささか神経を使う。プロパイロットで機械任せにしたほうが安定した直進走行が可能になる。この辺はおそらく四輪駆動のハイパワーモデルと共通したセッティングをしているせいではないかと推測できる。バネの硬さもより減速Gが強く、重量配分に優れるEフォースモデルにフォーカスしたセッティングになっているのではないかと思われた。
  1時間ほどの試乗をして電費は6km/kWhだ。66kWhすべてを使えば400km近く走行できるが、350kmも走行したら充電の必要性を感じるだろう。WLTCモードの数値はエアコンオフ状態で計測されるため、実際の使用状況において常時エアコンを使用しているとその分電費は悪化するのである。
  クルマを降りて周辺をチェックしていると、電動ファンがかなり大きな音を立てて勢いよくしばらくの間作動していた。これは水冷式モーターと液冷式のバッテリーを冷やすラジエーターに装着された電動ファンが作動しているためだ。アリアではエアコンのコントロールユニット(ヒートポンプ形式)を駆動モーターユニットより前方に出すことでとくに前席の足もと空間を広く取ることに成功している。そうしたエアコンの作動音もフロントまわりから聞こえてくるのかもしれない。
  アリア用に新規開発されたプラットフォームはあらゆる衝突条件試験を高度にクリアした。また小型化された専用モーター搭載による小スパンのクロスメンバー配置を採用しているので前輪のハンドル切れ角を大きく取ることができている。そのため最小回転半径は5.1mと非常に小さく、取り回し性の良さを高めているのだ。
  現状のメイン顧客ターゲットは年収1000万円クラスとされていて、輸入車などからの乗り換えを希望するユーザーなどにも大きく訴求しているという。その斬新なデザインとスタイリッシュなインテリア空間、そして環境への負荷の少なさだけでなく、非常時の外部給電として蓄電池機能をV2Hとして機能させることでアリアは新世代BEVとして多くのユーザーのニーズを満たしていくと期待されている。

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