家族の幸せは「後席の快適性」にあり! Mクラスミニバンの3強「ステップワゴン vs ノアヴォク vs セレナ」を徹底比較した

2022.06.10 17:20
この記事をまとめると
■新型ステップワゴンが発売となり、Mクラスボックス型ミニバンの3強が出揃った
■ミニバンは多人数で乗るユーザーも多いため、後席の快適さが重要
■そこでさまざまな視点から3台の後席を比較した
キャプテンシートの違いは?
  いよいよ新型ステップワゴンが発売され、Mクラスボックス型ミニバンの3強が揃い踏みしたところだ。そこで、新型ホンダ・ステップワゴン、トヨタ・ノア&ヴォクシー、そして来年にはフルモデルチェンジされるはずの日産セレナの3車の後席居住性を徹底比較したい。あえて後席にフォーカスしたのは、ミニバンの特等席が2列目席であり、また多人数乗車可能なクルマして、3列目席の居住性も大切だからである。
  まずは3車の後席乗降性から。ステップワゴンは開口部幅770mm、開口部高1230mm。ステップ地上高390mm。ノア&ヴォクシーは開口部幅780mm、開口部高1250mm。ステップ地上高380mm。いずれもワンステップフロアとなる。セレナは開口部幅800mm、開口部高1305mm。ステップ地上高は1段目が390mm、フロアは70mm高い460mmの位置にある。そう、セレナのみ2段重ねのフロアになる。開口部幅、開口部高ともに広々としているものの、階段を2段上がるような乗降性になってしまうのだ。健常者ならどうということはないが、足腰の弱った高齢者だと、ステップワゴンやノア&ヴォクシーのほうが乗り降りしやすそうだ。
  Mクラスボックス型ミニバン2列目席で人気なのがキャプテンタイプのシート。リッチな居心地、かけ心地が得られ、このクラスでもファーストクラス感ある居住感覚を味わえるからである。また、キャプテンシートをロングスライドさせたときの足もとの想像を超えた広々さも魅力となる。で、ステップワゴンの先代キャプテンシートは前後スライドのみ。新型でやっと先代ノア&ヴォクシーや現行セレナ同様の左右スライド機構を完備している。キャプテンシート仕様でも、左右のキャプテンシートを中寄せすることでセミベンチシート化できるのがポイントで、子育て世代にはうれしいアレンジ性と言える。
  ところがだ、新型ノア&ヴォクシーの2列目キャプテンシートは、先代と違い、中寄せスライドせずともストレート超ロングスライドできる機構を採用した代わりに、中寄せスライドを廃止。キャプテンシート仕様で買ってしまったら、永遠に!? キャプテンシートのままでしか使えないのである。もちろん、セレナはセパレート、セミベンチシートのアレンジが可能だが、シート自体のキャプテンシート感は薄く、新型ノア&ヴォクシー及びステップワゴンのスパーダ以上のグレードに用意されたオットマンの設定は、ない。
  ここまででは、2列目キャプテンシートの居心地、1レバーで行えるようになったシート調整&アレンジ性といった点では、先代から一転、新型ステップワゴンが優位と考えていいかも知れない(キャプテン&セミベンチシートの両立という意味でも)。シート自体のかけ心地は座面の厚みを増したステップワゴン、ノア&ヴォクシーが優れている。
  では、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後の居住空間はどうか。ステップワゴンは頭上に260mm膝まわりに最大600mm。ノア&ヴォクシーは頭上に230~260mm(2列目席スライド位置による)、膝周りに最大600mm。セレナは頭上に280mm、膝まわりに最大520mmだ。空間の余裕では、ステップワゴンとノア&ヴォクシーがリードしている。セレナもフラットフロアだがそこに多数あるレールがうっとうしくも感じてしまいがちだ。なお、新型ステップワゴンはパワースライドドアのスイッチが、ドアにはもちろん、新たにセンターピラーにも用意されている。セレナは3列目席にスイッチがある。
ステップワゴンの3列目はファブリックシートがダントツにいい!
  Sクラスミニバンでは緊急席的としか言いようがない3列目席だが、さすがにMクラスボックス型ミニバンともなれば、大人でも短距離なら不満なく座っていられるシートが用意されている(はず)。シートサイズはステップワゴンが座面長430mm、幅1190mm、シートバック高500mmと、先代に対して大幅にサイズアップされている。ノア&ヴォクシーは座面長430mm、幅1190mm、シートバック高515mm。セレナは座面長480mm、幅1255mm、シートバック高480mm。座面長と幅でセレナ、シートバック高でノア&ヴォクシーが優位思えるはずだ。が、実際のかけ心地の順番は異なる。その決め手になるのがシート座面の厚み&クッション感、そして何と言ってもフロアからシート座面までの高さ=ヒール段差だ。
  ステップワゴンは先代に対してシート座面のクッション厚を20mm増しとし、シートバックを45mm高め、なおかつ着座性、立ち上がり性にかかわるヒール段差を先代、ライバルを上まわる2列目席同等の340mmとしているのだ(ノア&ヴォクシー330mm、セレナ325mm)。実際、もっとも膝を抱えるような着座姿勢になりにくいのが、ステップワゴンということになる。ただし、ステップワゴンの3列目席の場合、かけ心地ではスパーダ以上に備わる合皮コンビシートより、表皮のたわみの違いによって、エアーグレードのファブリックシートがダントツにいい(体重65kgの筆者の参考例)。極論すれば、3車のなかでもっとも3列目席のかけ心地に優れるのは、新型ステップワゴンのエアーということになるかも知れない。
  続いて、3列目席に筆者が座った時の頭上、膝まわり空間を報告しよう。ステップワゴンは頭上に140mm(先代のほうが余裕があるのは、新型がシートの厚みを増したから)、膝まわりに最小200mm~、ノア&ヴォクシーは頭上に200mm、膝まわりは最小100mm~。セレナは頭上に120mm、膝まわりに最小45mm~。まわり空間に関しては、2列目席を前方スライドさせれば当然、拡大する。筆者が2列目席に座り、シートスライドによってゆったり座れる前寄りの位置にセットすれば、200mm以上の膝まわり空間が得られることになる。頭上、膝まわり空間のバランスでは、ステップワゴンが頑張っているという感じだ。ただし、実際に3列目席に座ってみると、足(靴)の置き場に悩むことがある。で、理想的なのは、2列目席の下につま先が入ることだが、それが可能なのはノア&ヴォクシーだけ。ステップワゴンとセレナはつま先が入る空間がほぼなし。感覚的にちょっと窮屈に感じるかも知れない……。
  最後に、2列目キャプテンシートだからこそ得られる、2-3列目席スルー空間について。これがあると、2列目席ウォークイン操作なしで、大抵のひとはスライドドアから2列目席に乗り込み、スルー空間から3列目席に移動できることになる。3車ともに可能だが、その幅も重要で、筆者の実測だとステップワゴン140mm、ノア&ヴォクシー140mm(メーカー値は185mm!?)、セレナ180mmとなる。ノア&ヴォクシーのメーカー値が幅広いのは当然で、ストレート超ロングスライド機構の採用によってキャプテンシートの座面幅が先代よりやや狭くなり、それが2-3列目席スルー空間の拡大につながっていると推測できる。
  筆者が2-3列目席の居住感覚のみに着目して選ぶとしたら、車内の静かさやこもり音のなさでも優位に立つ新型ステップワゴンのエアーだ。ファブリックシートのソファ感覚のかけ心地の良さ、そしてインテリアが明るく、新型ならではの解放感が一層強く感じられ、3列目席の居心地もなかなかだからである。

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