ディーゼルはガス欠厳禁だった! 給油してもエンジンが掛からない理由とは

2022.06.05 17:30
この記事をまとめると
■ガス欠をディーゼルエンジン車でやってしまうと問題が発生する
■ディーゼルエンジンでガス欠すると給油してもエンジンを再始動できない
■マツダのスカイアクティブDならガス欠しても燃料の補給で再始動が可能な場合もある
燃料を補充するだけでは済まないディーゼル車のガス欠
  ついうっかりだが、「やってしまった」と後悔するのがガス欠だ。燃料警告灯の点滅を横目で見ながら、ガソリンスタンドはまだか、と探しているうちにエンジンがストップ。救援を頼んだり、携行缶を下げてスタンドを往復するなど、苦い思いを味わったことのある人も少なからずいるのではないだろうか?
  それでも、ガソリンを補充すれば即座に再始動できるガソリンエンジンはまだよいが、軽油を燃料とするディーゼルエンジンではそうもいかない。ディーゼルは、ガス欠でストップするまで走ってしまうと燃料ラインに空気が入り、この空気が燃料の圧送を妨げ、燃料を補給してもエンジンまで送れず、再始動ができなくなってしまうのだ。
  もちろん、ガソリン車でガス欠しても、やはり燃料ラインに空気は入ってしまうのだが、ガソリン車の場合は燃圧が低く、燃料ラインに空気が入ってもガソリンを圧送することができ、なんら問題なくエンジンを始動させることができるのだ。
  では、どのくらい燃圧が異なるかといえば、ガソリン車の場合、通常のポート噴射(間接噴射)の場合はせいぜい3バール(約3kg/㎠)、シリンダー内への直接噴射の場合で100〜300バール(約100〜300kg/㎠)だが、ディーゼルの場合は従来型のメカニカル噴射で1000バール(約1000kg/㎠)、最近の潮流であるコモンレール式だと1200〜2000バール(約1200〜2000kg/㎠)と非常な高圧となる。
マツダ・スカイアクティブDには安全装置がある
  では、なぜ高燃圧に設定するかといえば、インジェクターからの噴霧状態、霧化状態がよくなり、燃焼状態が良化向上するためである。もちろん、高出力化が果たせると同時に燃焼効率が改善されるので、排出ガスに含まれる有害成分の減少にも効果があるためだ。
  さて、実際にディーゼルエンジンでガス欠を起こしてしまった場合、どうやって燃料ライン内の空気を除去するかという話だが、ディーゼルエンジンにはこうした場合を想定して、手動で空気を追い出すための装置が設けられている。多くは燃料フィルターの付近に設けられたプライミングポンプと呼ばれるもので、手動でこのポンプを操作し、燃料ライン内に入った空気を追い出すのだ。クルマによってポンプの装着位置は異なるが、なかなか大変な作業になることだけは間違いない。
  なお、マツダのスカイアクティブD技術では、ガス欠しても燃料を補給するだけで再始動が可能な場合もあると謳われている。これはガス欠によって燃料ラインに空気が混入することを想定し、空気が入らないよう、あるいは入っても燃料を送れるシステムとしているからだ。
  まずひとつは、燃料フィルターにつながる燃料ラインの圧力を高めることで、噴射ポンプに燃料を送れる方式としている点だ。また、タンクが空になりガス欠寸前であることをコンピューターが認識し、燃料ラインに燃料が残っているうちにエンジンを止めてしまうシステムとしているからだ。この状態は、事実上のガス欠状態とほぼ同じなのだが、燃料ラインに燃料を残した(空気が入る前の)状態なので、燃料をタンクに補充すれば、システムがガス欠の心配なしと判断して、エンジンは通常の運転モードに復帰することになる。言ってみれば、一種の安全装置と言ってよいものだ。
  燃費がよく、日本では1リッターあたりの燃料代がガソリンに比べて安い軽油を使うディーゼルエンジンは、乗用車レベルでもっと普及してもよさそうだったが、静粛性、滑らかさ、動力性能とガソリンエンジンに対する信奉度が高く、ディーゼル乗用車が一般的にならなかったことは残念だった。

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