【試乗】ミッドシップがもたらす圧倒的なコーナリング性能! マセラティMC20は官能性とスポーツ度を極めていた

2022.05.02 17:00
この記事をまとめると
■マセラティのミッドシップスーパースポーツ「MC20」に試乗
■最高出力630馬力、最大トルク730Nmの3リッターV6ツインターボのサウンドは官能的
■スーパースポーツでありながらGTのようなコンフォートなクルーズを楽しむこともできる
メラク以来となる通常モデルのミッドシップスポーツ
  マセラティのラインアップに新たに誕生した「MC20」は、それが限定生産車や少量生産車ではない通常のシリーズモデルであることを前提とすれば、あのメラク以来、約40年ぶりに復活したミッドシップのスーパースポーツだ。
  現在のマセラティは、周知のとおり巨大なアライアンス、ステランティスの中にある自動車メーカーだが、先日前後して登場したミドルクラスSUVのグレカーレや、こちらも近くデビューが計画されている新型GT(グラントゥーリズモ)なども含めて見るかぎり、アライアンスの中でもマセラティには独自のブランド性が与えられているように思える。
  現在のところ、このMC20は3リッターのV型6気筒ツインターボエンジンを搭載するモノグレード車だが、将来的にはBEV仕様が追加設定されることも発表済みだ。そのために最新の設備を誇る本社工場などに巨額の投資を行い、来るべきBEVの時代への対応も着々と進めているのだ。
  いかにもミッドシップのスーパースポーツといったシルエットのボディは、シンプルな表現ではあるがじつに魅力的な造形だ。左右のドアはバタフライ式だが、実際の開閉時には全幅方向にもある程度のスペースが必要になるので、余裕のある駐車場探し、あるいは戻ってみたら左右にほかのクルマが駐車していてドアを開けられないという状況に追い込まれる可能性もある。
  キャビンの乗降性自体には何の問題もなく、低いサイドシルをまたいでキャビンに身体を滑り込ませると、そこにはコンパクトだがホールド感に優れるシートが待つだけに、このドアの設計は若干惜しい。
  エアロダイナミクスも非常に優秀だ。ボディの上面には過激なエアロデバイスなどは存在せず、高速域でのダウンフォースのほとんどはボディ下面に形成されるヴェンチュリートンネルから得られるシステム。個性的なフロントマスクやドア下の大きな切れ込みは、このMC20のデザイン上の特徴ともいえる。
  例のバタフライ式ドアを開き、MC20のキャビンに身を委ねる。センターコンソールには8速DCTとドライブモードのスイッチなどがシンプルに並び、エアコンなどの車両設定はセンターパネルの10インチサイズのタッチ式液晶パネルでそれを行う仕組みだ。
  ドライブモードは「GT」、「スポーツ」、「コルセ」、「ウエット」の4タイプ。コルセではローンチ・コントロール機能を使用することも可能だが、今回はそれを試すような場面はなかった。
スーパースポーツでありながら快適な乗り心地
  高級なレザーとアルカンターラを効果的に使ったキャビンのフィニッシュは、さすがはマセラティの仕事。試乗車にはさらにオプションのフルナチュラルレザーインテリアが装備されており、その高級感はさらに高まっている。
  まずはデフォルト・モードともいえるのだろう「GT」のモードを選択してドライブをスタートさせる。ミッドに搭載される3リッターのV型6気筒ツインターボエンジンが最大の特徴とするのは、MTC(マセラティ・ツイン・コンバスチョン)と呼ばれる、点火に副燃焼室を用いるシステムを採用していること。
  これは副燃焼室内で作られた火炎流を改めて主燃焼室に噴射することで、かつてはホンダのCVCCのように燃費性の向上のために使用されていた技術だが、現在ではより効率的にパワーを求めるためにF1マシンでも使用される最新世代の技術として知られている。マセラティによれば、量産車でこの副燃焼室方式を採用したのはMC20が初の試みだというから、まずはその仕上がりは何よりの楽しみといっていいだろう。参考までにこのエンジンの名は「ネットゥーノ」。英語ではネプチューンとネーミングされている。
  最高出力で630馬力、最大トルクで730Nmを発揮するネッゥーノエンジンは、さすがに低速域から魅力的なフィールをドライバーに伝えてくる。このMC20の主構造体はカーボンモノコック。ほかにもボディのカーボンパネルなど軽量化への取り組みは積極的で、車重は1475kgしかない。このウエイトが8速DCTとの組み合わせで、どこまで魅力的な加速を演出するのかを試してみたくなるのは、まずは当然の欲求といってよいだろう。
  マセラティによるオフィシャルデータによれば、0-100km/h加速は2.88秒。その強烈な加速は最高速の326km/h以上にまで達するというが、確かにその数字が期待できる力強さを感じさせる加速だった。注目のサウンドは4000rpm付近を境に音質が明確に変わり、さらにレブリミット付近では、もう一段乾いた官能的な響きになる。
  好印象を抱いたのは、その乗り心地の素晴らしさだ。ステアリングの重さや正確性も適切だから、スーパースポーツとして生を受けたとはいえ、GTのようなコンフォートなクルージングを楽しむこともできる。サスペンションは前後とも5リンク式で、ドライブモードとは別に、このサスペンションのみをソフト(GT相当)にセッティングすれば、長距離ドライブも一切苦にはならないはずだ。
  コーナリングはさすがにコンパクトなV型6気筒エンジンをミッドシップするモデルだけのことはある。前で触れたステアリングの正確さ、そしてコルセ・モードを選択して初めて分かった、4輪にそもそも与えられていたメカニカルグリップの素晴らしさ。このMC20で限界を超えるのは簡単なことではないのだ。それだけに絶対的な安心感をもって、どのようなコーナーへもMC20のノーズを向けていくことができる。
  フロア下にバッテリーを搭載することになるBEV仕様のMC20は、さらに重心位置が低下し、コーナリングでは理想的な動きを見せるようになるだろう。
  ミドルサイズSUVのグレカーレを発表し、次なるニューモデルとしてGTを、そしてそのいずれにもBEVを設定するというマセラティ。彼らのきわめて挑戦的なプランのスタートを飾るのに、このMC20はまさに最高の存在といえそうだ。

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