予約困難店の味をおうちで楽しみ、味わうプレミアムな休日。オレンジワインとともに

2022.03.31 20:30
肉イタリアンの達人の味×トスカーナのオレンジワインがセットになったミールキット
ワインや酒メディア、食雑誌のライター、講師としてさまざまなワインや酒と食のペアリングを紹介してきました。と、書いていてなんですけど、頭で考えたり、イメージを膨らませるのも良いのですが、まずはペアリングの機会を多く持つことこそ大切…それも、お勉強ではなくて、楽しむことこそが本質じゃないかなと。ぐるなびの『プレミアムミールキット』はまさにそういう気持ちに寄り添ってくれるものでしょう。概要についてはこちらの公式サイトをご覧いただくとして、その中から試したのが、『TACUBO監修 チョップドハンバーグとカチョカヴァッロチーズのソテー レンズ豆のサラダ添え&オレンジワインのミールキット』。

TACUBOは、東京・恵比寿の肉イタリアンの名店。ミシュランガイド東京では6年連続で一つ星の評価を受けており、3か月先の席がすぐに満席になってしまうという人気ぶり。その予約困難店のオーナーシェフ、田窪大祐さんが考案ししつらえた、おうちで料理できる食材セットとワインが同梱されたのが今回のキット。料理と言っても、ふだん、酒のつまみぐらいしか作らないので不安はありありなのですが、結論から言えば、とても美味しい料理と楽しいペアリング、そして良き時間が過ごせました(ということもあり今回はいつものコラムではなく、肩の力を抜いて書かせていただきますね)。
▲人気店にもかかわらず丁寧なお手紙。いや、こうだからこそ人気店なのか。
▲おそらくこの時点でもうおいしくしつらえてあるパティ。計400gとボリュームたっぷり。焼き色もいい感じでついてきた。実はもう同梱のオレンジワインを飲みながらやっています。

料理…なんとかなりました(笑)。手探りだけれど、動画を見ながらそれらしくできた…ような。ふだんから料理に手慣れている方なら段取り含めて楽々できそうかなと思います。僕にとってはちょっとハードル高めかなとも感じましたが、久々に、料理を楽しむという感覚があって、たまにはこういう時間も豊かで、良い時間の過ごし方。所要40分と書かれていましたが、そこまではかかってなかったかな。
さて、実食。名店のプロがしつらえてくれたものでも、自分の料理の腕では…というのは杞憂に。うまい。ちゃんと焼けてた、とまずは安堵。というのも自分で想定していた火の強さ、時間よりも、弱めでじっくりという感じだったので、ちょっと不安もあって。でも肉質、脂の具合、食感にはこれがあってたんだなと。出来上がりの正解がわからないのでなんともいえないところですが、おそらくうまくできたはず!というか、元のしつらえがすでにちゃんとしていて、それ自体がおいしいんだから当然か。

話は少し横道にそれて。年齢か味の好みか、今は肉に求めるものは赤身の質。脂の甘味やジューシーさよりも、肉そのものの噛むごとに感じられる甘味のほうが好き。その点、黒毛和牛かつ最近質が上がってきたという経産牛(このあたりも商品詳細ページを参照ください)というのが自分の好みに合っていました。これならシンプルな塩、黒胡椒、追いオリーブオイルぐらいでよいのではないか? デミグラスソースはちょっとやりすぎかな、と思っていたのですが、これが絶妙。濃すぎずさらりと。これが肉と絡むと深い味わいに誘う。さすがに肉のプロが肉の味を引き出すためのソース。
そしてワイン。トスカーナのオレンジワイン。ボトルを見ればビアンコと記載。つまり白ワイン。そう、オレンジという言葉はワイン業界的には新しいトレンド的にピックアップしたりもしていますが、イタリアをはじめ、そもそも私たちがオレンジと最近になって呼び出したワインは日常の白ワイン。ここでまた横道へ行きますが、オレンジワインをごくごく簡単に説明すれば、白ワインを赤ワインの造り方で造ったもの。収穫した白ブドウ(赤ワインは黒ブドウ)を破砕する際に、果皮を果汁と一緒に発酵し醸すことで、果皮に含まれる青や赤色の色素(アントシアニン)が溶出し琥珀、オレンジのような色合いになります。一般的な白ワインは果皮や種子を一緒に発酵させないのでクリアな色のままになります。ちなみに一般的なロゼは、逆に赤ワインを白ワイン的に造るもの。色合いが濃くなる前に果皮を引き上げるためにロゼカラーになります。

ペアリングにおいては、自分の好み、食、時間にあわせてもう少し自由に発想をしていただきたいと常々願っていますが、そのきっかけとして肉にオレンジ(つまり白ワインの一種)というのはうれしい提案。しかもシェフ自ら、これがあうということでセレクトしたワインと一緒に楽しめるというのはとても良い機会だと思います。
この地の代表的な白ワイン品種であるトレッビアーノを1週間、前出の方法で醸したというワイン。ドライな口当たりの中で快活な果実味。小さなかわいらしいベリー感に自然なハーブ。涼やかさの奥にはオレンジワインらしい旨味や生き生きとした完熟感、まろやかさも。トスカーナと言えば美しい花々を思い浮かべたりもしますが、この地の料理といえば、肉。赤ワインの王国でもある土地柄ですから、トスカーナのオレンジワインもどこか肉との相性の良さが感じられるものも多いのですが、このペアリングも良い感じ。脂身ジューシー系ではなく、肉そのものの風味だからこその好相性でしょう。そもそもトレッビアーノは爽やかな柑橘的な酸が特徴で、重厚な風味ではなく軽やかさの方向。ヘビーな脂系の肉ではその良さが消されてしまいますが、今回のような肉ならば自らの特徴を生かしながら、肉にも好影響。ゆえにデミソースとの相性はちょっと疑問に思っていたのですが、これもうまく酸味同士で同調して、より肉がコク深く感じられました。

酸味との同調で言えば、肉だけではなく酸味を効かせたレンズマメともまろやかなタッチのマッシュポテトとも好相性。そもそも一般的にオレンジワインと旨味の強いもの、大地を思わせる素材との相性は良いので、おしゃれに見えるこのミールキットでも、なんだか素朴さであったり、自然の風合いを感じられました。

より豊かで、上質で、でも構えすぎない、何よりも休日の午後のいい時間が過ごせたかなと。プレミアムと言うのは、予約困難な名店のプロがしつらえた食材、ということだけではなく、料理をする時間を含めてのこうした時間の過ごし方を含めてのことなんだなと、勝手に解釈。ふだんの休日、この時間はスポーツ観戦にビール。それもまた幸せなのですが、この日はテレビを消して、窓を開け、AORやソフトロック系の音楽を聴きながら、肉の風味をじんわり味わい、ワインと余韻を共にしつつ。別に買っておいたバゲットとともに、1時間以上ゆっくり。まさにプレミアムな時間でした。
【ボトルワイン付】TACUBO 田窪氏監修 チョップドハンバーグとカチョカヴァッロチーズのソテー
ぐるなびプレミアムミールキット
⇒紹介されている商品の詳細をみる
ワインナビゲーター 岩瀬大二

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