面白いコトないかなぁ…に「クラウドファンディング」が効く!ある地域に起こった変化とは?
CAMPFIRE
2021.03.31 20:20
「クラウドファンディングって、ここ数年よく耳にするけど、実はよくわからないんだよね…」という人も多いのでは? かくいう私もその一人。
そこで今回は、最近初めてクラウドファンディングを行なったという、福岡県・柳川の方々に取材を敢行。そこには「お金と仲間が集まって、夢が叶い、さらに想定外の変化も起こった」という、まるでドラマみたいなストーリーがありました。
今更聞けない?「クラウドファンディングって一体…何」
クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人から資金を調達すること。「こんなモノやサービスを作りたい」という起案者がプロジェクトを発信し、「応援したい」という支援者を募ります。
プロジェクトには様々なパターンがありますが、一番シンプルなのは「購入型」といわれるもので、お金を支援したら「リターン」としてモノやサービスが得られるという仕組みです。
…ん?それって普通に「買う」のとどう違うの?
そう、クラウドファンディングならではの「いいところ」があるんです。
例えばアイデアを実現したい人にとっては、資金が調達できる・情報が拡散されやすく話題化しやすい・モノやサービスを世に出す前にユーザーの反応を知ることができるなど、様々なメリットが。
一方で、支援する人にとっては、支援したプロジェクトの進捗状況や、商品・サービスが出来上がる過程をリアルタイムで見られることが単純に「面白い」という点や、作り手からのメールや報告によってコミュニケーションをとるうちにどんどん当事者意識が生まれてきて…という「臨場感」もクラウドファンディングならではの醍醐味。

つまりは「人と人とが共通の想いでつながれる」ということです。
【インタビュー】初挑戦で目標金額200万円達成。「地域の代名詞になるような面白いイベントを創りたい」
プロジェクトで実現するイベントのイメージビジュアル
では、クラウドファンディングを使ってどんなことができるのか、実際の「起案者」に話を聞いてきました。

今回、取材させてもらったのは国内最大といわれるクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で、40日間で194人から200万円以上の資金を集めた『水の都「柳川」」で、誰も見たことのない美しい景色、柳川水辺の夜市を開催したい!』プロジェクトの起案者さん。

柳川といえば、掘割と呼ばれる水路を小舟でめぐる川下りで知られる福岡県屈指の観光地。そんな柳川で「柳川に住んでいる人も含めて、誰も見たことがない景色を生み出したい!」というチャレンジをした、柳川市観光協会の事業戦略委員長を務める料亭旅館「柳川藩主立花邸 御花(おはな)」の立花千月香さん・金原梨奈さん、ならびにプロジェクトをサポートした丸岡直樹さん、CAMPFIREの星山さんにお話を伺いました。
柳川の料亭旅館「柳川藩主立花邸 御花」
地元・柳川への愛が、「柳川に住む人も見たことがない柳川の景色」という着想を生んだ
―――クラウドファンディングに挑戦したきっかけは?

観光庁の「令和2年度 夜間・早朝の活用による新たな時間市場の創出事業」に応募・選定されたところから始まりました。柳川地域は、短時間で帰ってしまう観光客が多いという課題を抱えていました。そんな折「早朝・夜間に新たな魅力を創出し、地域を活性化させよう」というこのプロジェクトを知り、柳川にはうってつけではないかと思ったんです。
クラウドファンディングは初めての試みでしたが、観光庁からのコーチ丸岡さんやCAMPFIREさんのバックアップやサポートも受けられるので、「よし挑戦してみよう!」と。
柳川名物の川下り
当初はインバウンド向けに、滞在型の観光地にしたいという想いでスタートしましたが、プロジェクトの立ち上げ時はコロナ禍。観光客が激減し、柳川名物の川下りの船頭さんの存続自体が危ぶまれるようになってしまいました。
そこで、船頭さんという職業を持続可能で、若い人もやりたくなる仕事にしたいと考えるに至り、新しい観光の風物詩を作って柳川を盛り上げたい想いが強くなったのです。

―――新たな観光の風物詩、その内容は?

地元の人もあっと驚くイベントにしたいと考えました。紆余曲折あってたどり着いた企画は、幻想的な夜の水辺の魅力に光を当てた「やながわ水辺の夜市」という10日間のイベント。プロジェクションマッピングやライトを駆使した「光の川下り」や「水上夜市」、「水辺の映画祭」、「夜のサーカス」といったコンテンツを企画しました。
「柳川水辺の夜市」イメージ映像
「クラウドファンディングって“地方DX”!」福岡・柳川で実際に起きた変化とは?
CAMPFIREの掲載記事の作成やSNSの発信など、実務を担当したのは、「御花」のマーケターである金原さん。目標金額達成までの道のりとは?
CAMPFIREのプロジェクトページより
―――クラウドファンディングの流れや大変だったことは?

クラウドファンディング自体の流れとしては、プロジェクトの記事作成・公開→SNS等で発信して、支援者募る→支援金を受け取り、リターンを送るという工程になります。
ですが、本当に大切で、大変だったのは「コロナ禍の今、なぜ柳川でこのイベントをやるのか」という想いを突き詰めて考えることでした。プロジェクトに関わる人がブレることのない熱量を持っていれば、共感してくれる支援者はきっといるんです。
コロナ禍で中止になってしまった、柳川の「白秋祭」
―――194人という多くの支援者が集まりましたが、何か工夫した点は?

SNSを活用するのはもちろん、地域の方々のところに足を運び、柳川への愛とプロジェクトへの想いを直接伝えました。そうして少しずつ応援してくれる人が増え、自らSNSで拡散してくれ、いつの間にかプロジェクトを支える「仲間」が増え…地域全体に「夜市やるらしいよ!」という噂が広がっていきました。
とはいえ、目標金額に達成するかは最後までドキドキで(笑)。支援者の方々も一緒になって、「あといくら!」とカウントダウンして、達成の瞬間を待っていましたね。
御花の金原さん(画面左)、立花さん(右)。嬉しそうに柳川の未来を語る姿が印象的でした
いつの間にか、柳川に複数のプロジェクトが!地域が少しずつ変わっていくのを実感
―――クラウドファンディングをやってみて何か変化はあった?

プロジェクトのスタート時は、運営側も初心者なら、支援をお願いする方も「クラウドファンディングって何?」という人がほとんどでした。
それが今や、柳川で複数のプロジェクトが立ち上がっているんです。2カ月前まで単語すら知らなかった人たちが、「クラウドファンディングがね~」と自然に会話しています。もうこれは地方DX(デジタルトランスフォーメーション)だなと(笑)。

―――いまだコロナ禍ですが、イベントの開催は?

2回の延期を経て、2021年9月17日(土)〜20日(火)の4日間で開催予定です。支援者の皆さん、そして地元のみんながイベントを楽しみにしています。柳川の新しい風物詩として継続して開催することを目標に、いずれはアジアの夜市のひとつとして、世界の旅行者の目的地になったら嬉しいですね。
<未来の「アジア○大夜市」のひとつ!柳川夜市のイメージ>
第三者目線でジャッジ。柳川のプロジェクトが成功した秘訣は?
「日本・福岡発、世界の旅行者が集う水上夜市」―想像するだけでもワクワクしちゃいますよね。
こんな素敵な企画が、日本中あちこちから生まれてくるのを願って、最後に「クラウドファンディングでプロジェクトを成功させるコツ」を聞いてみました。
クラウドファンディングのコーチングを行った観光庁の丸岡さん(画面左)と、プロジェクトの担当者CAMPFIREの星山さん(右)
―――柳川のプロジェクトが成功したポイントは?

星山さん:「御花のお二人が、SNSで常に発信し、主体的に支援を呼びかけたのはとても大きいですね。拡散力の強いアカウントに依頼して、クラウドファンディングやイベントの告知を行ったこともありました。
それに加えて、実際に地域の皆さんのもとに足を運んで、想いを直接訴えかけたこと。クラウドファンディングサイトに掲載すればいつの間にかお金が集まる、と思いがちですが、人の力もすごく重要なんです」

―――人の力という言葉が出ました。色々なプロジェクトを見てきた丸岡さんから見ると、いかがでしょう?

丸岡さん:「御花の方々がプロジェクトの中心メンバーという時点で、成功は見えていたのかもしれません。普段から地元のために“ギブ”をし続けている方々ですから、このプロジェクトも、お金ではなく地域のため、という熱い想いが伝わりやすかったのだと思います。また、お宿の運営という通常業務と平行して、SNSの発信や地域内の調整ができたこと、特産品のリターンが好評なら追加発注するなど、進捗具合に合わせて柔軟に対応したのも成功の要因だったと思います」
クラウドファンディングって何?と素朴な疑問をぶつけたら、想像以上に熱い思いと地域愛に出会えた
クラウドファンディングって何?という素朴な疑問から、初めてクラウドファンディングを行なったという方々を取材してみたら…思いもよらない熱いストーリーとワクワクする未来に出会えました。
夢の実現のための手法はデジタルでも、その裏側はとってもアナログだったり、どんどん仲間が増えていったり、その果てには「地方DX」まで起こったり…。クラウドファンディングって、面白い!

とにもかくにも、必要なのは「熱い想い」。これが何より重要で、それさえあれば何とかなる!とは取材に応えてくださったみなさんの言葉。

「antenna* 見てたら、面白いこと思いついちゃった…!」という人は、クラウドファンディングを活用してみては? 想像もできないような、熱いドラマが待っているかもしれませんよ!
<やながわ水辺の夜市 イベント概要>
柳川水辺の夜市は、柳川の夜にひかりを灯し、「水辺を楽しむ、幻想的な夜」をお届けするライトアップイベントです。レーザーとプロジェクションマッピングを活用した「光の川下り」や、福岡県内外からこだわりのある飲食店や雑貨店が集結する「夜市&水上夜市」が行われます。ピエロック一座による操り人形、楽器演奏、大道芸を組み合わせた特別なショー「ピエロック一座の小さなサーカスショー」や「ワークショップ」も行われます。

【開催予定日時】
2021年9月17日(土)〜20日(火)15:00~
【開催場所】
「水都やながわ」から沖端水天宮までの水路及び周辺通路
【イベント内容】
光の川下り、水辺の映画祭、夜のサーカス、水上夜市
<インタビュー参加者PROFILE>
柳川市観光協会事業戦略委員会・委員長/料亭旅館「柳川藩主立花邸 御花」代表取締役社長 立花千月香
福岡県柳川市出身。旧柳川藩を治めていた立花宗茂の末裔(第18代)。大学卒業後、東京の商社に3年間務める。その後アメリカへ留学しホテル経営を学び、株式会社御花へ入社。2015年に代表取締役社長に就任し、約300年の大名文化を受け継ぐ国指定名勝「柳川藩主立花邸 御花」にて料亭旅館を運営している。受け継いできた文化財のさらなる魅力を引き出すため、「文化財を遊び倒す」をテーマに様々な活用を企画・実施している。また、まちづくりにも貢献するため新しいイベント「やながわ水辺の夜市(2021年秋頃開催)」を観光協会の事業戦略院長として企画するなど、活動は多岐にわたる。
料亭旅館「柳川藩主立花邸 御花」マーケター 金原梨奈
学生時代は京都の町家文化を伝えるライトアップイベントに尽力。2016年、京都府立大学を卒業後、文化財のビジネス活用における課題解決がしたいとCRMを事業ドメインとするシナジーマーケティング株式会社に新卒で入社。4年間営業担当として様々な業種業態の会社のマーケティングサポートを経験したのち、2020年5月に文化財のマーケティング担当として御花に入社。現在は御花での新プラン「お舟で朝食」等の企画やSNS運用、本イベントやながわ水辺の夜市の運用等幅広い業務を行う。
観光庁コーチ バリューマネージメント株式会社 丸岡直樹
地域内に点在する歴史的資源をつなげる「まちの事業化」で歴史的資源を保存・活用し、観光需要を取り込むことで地域の価値創造サイクルを構築。篠山城下町全体をホテルに見立て活性化を生む官民連携の観光まちづくり、旧酒蔵や旧銀行の有形文化財をホテル・レストランとして改修し、文化財を守る等の事業を行う。
CAMPFIRE キュレーター 星山 幸美
「柔道がしたくても出来ない子供達に柔道を教えたい」学生の頃思い描いた夢を叶えるために、短大卒業後、青年海外協力隊員としてモンゴルへ2年間柔道の指導へ行く。帰国後、特定非営利活動法人NPOみやざきが宮崎市から指定管理を受けている宮崎市民活動センターで勤務。「想いはあるのに資金がない」と資金不足に悩む市民活動団体の方の悩みに直面し、さらに近くでサポートしたいと2019年4月株式会社CAMPFIREへジョイン。クラウドファンディングを通して地域の「らしさ」を誰もが楽しめる社会へ、サポートをしている。
取材・文/伊藤あゆ、antenna*