重要な仕事を任せられる人に「いかに重要であるか」を説く必要はない

2021.02.26 22:30
俳優・田辺誠一さんが番組ナビゲーターを務め、ゲストの「美学」=信念、強さ、美しさの秘密を紐解き、そこから浮かびあがる「人生のヒント」を届ける、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。2月26日の放送は、2020年に現役を引退した元プロ野球選手の藤川球児さん、女子ラグビー選手の大竹風美子さん、サッカー女子日本代表の長谷川唯さんのエピソードをプレーバック。3人の輝きの秘密に迫った。
■重要な仕事を任せるとき、あえて“重要であること”は伝えない
来ると分かっていても打てない“火の玉ストレート”で三振の山を築いてきた藤川さんは、マウンドに立つことへのプレッシャーについて聞かれると、「今まで積み重ねてきたものがあるので、4万5000人の観客の前でも普通に投げられますし、球場の雰囲気に飲まれることはありません」と言い切った。
22年間の現役生活では、数多くの成功と失敗を経験。それが藤川さんの支えになっている。「20歳くらいで一軍のマウンドに立つ自分と、40歳で現役最後の日を迎えた自分とでは、やはりメンタルが違います。何も経験せずにグラウンドにポンッと放り出されたら、怖くて何もできないと思います」。
日米通算で811試合61勝39敗245セーブを記録。2007年には、セントラル・リーグのシーズン最多セーブ記録を打ち立てた。勝敗が懸かった局面を制してきたプロフェッショナルだからこそ、信頼でき、結果が見込める人に仕事を任せる時のコツも熟知している。藤川さんは「人に仕事を与えるときは、いかに大切な役割なのか、どのくらい重要な場面なのかを説くべきではないですね。任された方はとてもやりづらい。“ま、そのままやってくれたらいいから”くらいの温度感で伝えるのが気持ちよく仕事をしてもらうコツだと思います」と語った。
■仲間を元気づけるには、まず自分が笑顔になる
東京オリンピックでのメダル獲得を目指し、チームメイトを鼓舞する“ポジティブリーダー”としての役割を担う大竹さんは、「みんなを活気づける役目なので、常にポジティブでいることを意識しています。自分が笑顔じゃないと、周りを元気にはできないと思うので」と意気込んだ。
ナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、他者との違いから、かつてはコンプレックスを抱いていたこともあった。しかし、今では両親の与えてくれた身体能力に感謝している。「“この血を与えてくれてありがとう”と素直に思えますし、自分の歩んできた道は間違っていないと胸を張って言えます」。
大切にしているのは「自分らしく」という言葉。大竹さんは「自分らしく思いっきりやったことで、結果もついてきました。自信も湧きましたし、これでいいんだと思うこともできた。これからも自分らしくありたいと思います」と声を弾ませた。
■マイナスは、プラスを増やすことで気にならなくなる
今期からはイタリアの強豪チーム・ACミランに移籍する長谷川さん。目標として掲げたのは、UEFA女子チャンピオンズリーグ(女子クラブチームによる国際大会)への出場だった。「そこに到達するために、まずは日本でやってきたことがどれだけ通用するのかを確かめながら、練習も含めてチャレンジしていきたいと思います」と闘志を燃やす。
身長は157cmと、サッカー選手としては小柄。しかし、他の面を強化することで克服してきた。「背が低いとヘディングが上手くできないなどのマイナスはありますけど、それ以外のところを鍛えて、プラスを増やしていけば、やがてマイナスは気にならなくなるんです」。
気持ちの面においても、嫌なことを、楽しいことで上書きしてしまうタイプだという。長谷川さんは自身のサッカー人生を振り返り、「意識はしていなかったですけど、楽しんでやってきたからこそ、ブレずに頑張ってこられたんだと思います。今後も“楽しむ”ことを大事にしながら、突き進んでいきたいと思います」と決意を新たにしていた。
次回3月5日の放送は、元体操選手の田中理恵さんが登場する。