成功者の土台は、地味な基礎訓練で作られるもの

2021.01.15 22:30
俳優・田辺誠一さんが番組ナビゲーターを務め、ゲストの「美学」=信念、強さ、美しさの秘密を紐解き、そこから浮かびあがる「人生のヒント」を届ける、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。1月15日の放送は、元バドミントン選手の小椋久美子さんが登場。“オグシオ”ブームへの思い、趣味のひとり旅、今後の目標などについて語った。
■もっと丁寧に生きなければいけない
潮田玲子さんとのペアで2008年の北京オリンピックに出場した小椋さんは、バドンミントンの枠を超えた当時の“オグシオ”ブームについて「試合に集中できない期間もけっこうあったので、苦しかったですね。メディアで競技について発信することの大切さは分かっていたのですが、その間にライバルたちはもっと厳しい練習をしているんじゃないかという焦りみたいなものもありました」と振り返る。
もともと器用に立ち回れる性格ではなく、一つのことに集中するタイプ。だからこそ、バドミントンだけに向き合いたいという思いが強かった。「結果を出すために続けていましたし、北京のときもまだまだ実力が足りないと思っていたので、とにかく練習がしたかった。ただ、自分を追い込みすぎていた部分もあって、プライベートと競技のバランスが取れていれば、もう少し良い成績が残せていたかもしれません」。
北京オリンピックでは5位入賞を果たし、2年後の2010年に現役を引退。現在は解説者やキャスターとして活躍しながら、仕事の合間に趣味のひとり旅を満喫しているという。行き先は主に海外。ひとり旅にハマったきっかけについて、小椋さんは「仕事がうまくいかなかったときに、今の私には“度胸”が足りないと思ったんです。海外でバスや電車に乗ったり、現地の人と話したりすることで度胸がつきました。海外では言葉が通じませんから、怒られることもあるんですよ。でも、分からないものは分からないのだから、仕方ないよね、と開き直れるようになりました(笑)」と話す。
ひとり旅に出たことで世界も広がった。「海外で歴史のある建造物を見ていると、いろいろなことを考えます。当時これを作っていた人たちは、どういう思いで作っていたんだろうとか、どんな状況だったんだろうとか。考えているうちに、当時の人たちの人生や生きる意味みたいなものも見えてきて、自分ももっと丁寧に生きなければいけないと思わされます」。
■活躍している選手に共通する「土台」
今後の目標は、バドミントンのさらなる普及。コーチとして次世代の選手の育成にも力を注いでいる小椋さんは、「50代になってもバドミントンは続けていきたいですし、もっと下の子供たちにもバドミントンを教えたいですね」と展望を明かした。
指導の際、小椋さんが重要視するのは基礎練習。バドミントンのトップ選手の強さは、基礎練習に裏打ちされた土台にあるというのが持論だ。「始めたばかりの頃は、憧れている選手のかっこいいところばかり目につく。だから、華やかなプレーに走りがちなんですけど、実際は苦しくて地味な基礎練習に耐えないと、自分の中に土台ができないし、試合にも勝てません。今、活躍している選手たちも、ちゃんと基礎練習をしているから強いんです」。
“オグシオ”をきっかけに裾野を広げた日本のバドミントン界は、桃田賢斗選手や、福島由紀選手と廣田彩花選手による“フクヒロ”ペアなどの台頭によって、世界のトップを走っている。引退から11年、小椋さんは現在の日本人選手の躍進を称賛。「世界から追われる中で活躍しているというのは、本当にすごいことですし、こんな時代が来るとは思っていませんでした。本当にみんなよく頑張っていると思います」。
東京オリンピックでは日本代表選手の活躍に期待が高まる。小椋さんは「コロナ禍でなかなか練習ができない中、それでもオリンピックという目標に向かって、みんな必死に努力しています。きっとその思いは届くはずだし、私も選手たちの感動をしっかりと伝えていきたいと思います」と言葉に力を込めた。
次回1月22日の放送は、陸上選手の末續慎吾さんが登場する。