真っ暗なトンネルの中を一歩ずつ進めば、必ず出口の光が見えてくる

2020.09.25 22:30
俳優・田辺誠一さんが番組ナビゲーターを務め、ゲストの「美学」=信念、強さ、美しさの秘密を紐解き、そこから浮かびあがる「人生のヒント」を届ける、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。9月25日の放送は、バスケットボール男子日本代表の富樫勇樹さん、元バスケットボール女子日本代表の中川聴乃さん、バレーボール女子日本代表の荒木絵里香さんのエピソードをプレーバック。3人の輝きの秘密に迫った。
■人生は一回だけだから、自分が楽しいと思えることをやりたい
高校時代にバスケットボールの本場・アメリカへ留学した富樫さんは「1年目は試合に出るのが怖かったですね。危険だとか、痛そうだとか、そういう怖さじゃなくて、自分は試合に出ても何もできなんじゃないか、という怖さでした」と振り返る。
富樫さんの身長は167cm。バスケットボールにおいて、身長の低さは大きなデメリットになる。「同じポジションの選手に負けてしまうこともあるので、正直、“接戦のときに自分なんかをコートに出されても”という気持ちでしたね。せっかくアメリカにいるのに、最初は試合に出たくないと思っていたんです」。
しかし、持ち前のプラス思考で恐怖心を克服。「ハンデがあるのは当たり前」と考えるようになってからは、開き直って試合に臨めるようになったという。富樫さんは「あえて身長を“言い訳”にすることで、失敗を失敗だと感じなくなったのは大きいと思います。ハンデがあることを前提にして、すべてを吹っ切ってプレーしていました」と述懐する。
試合でもプライベートでも、自分の気持ちを一番に尊重し、やりたいことをやってきた。富樫さんは、「人生は一回きりだと思うので、自分が楽しいと思えることをやっていたい。子供の頃、死ぬことが怖かったんですね。それは今も同じ。だから、死ぬことに比べたら、他のことはもう何も怖くない。そう考えれば、もう何でもできる気がします」と語った。
■真っ暗なトンネルにも、必ず出口はある
“夢先生”となったアスリートが小学校や中学校に出向き、子供たちに夢や努力の大切さを教える「JFA 夢の教室」。2015年に現役を引退した中川さんも、様々な学校に足を運び、子供たちを前に自身の経験を語ってきた。特に子供たちに伝えたいのは「チャレンジしよう」「目の前のことに一生懸命取り組もう」「自分自信を信じよう」という3つのメッセージ。中川さんは「これまで私が経験してきた中で、とても大事だったことを子供たちに伝えたかったんです。人生、良いことだけじゃないと思うので、辛いときや苦しいときに、この言葉を思い出してもらえれば嬉しいですね」と笑顔を浮かべる。
中川さんのバスケットボール人生は、まさに波乱万丈。怪我に苦しみながらも、日本代表の中心選手として活躍してきた。「達成感も挫折感も味わいました。子供たちには、そんな私のストーリーも話して聞かせたりしています。自分が経験したことって、きっと他の誰かの役に立つと思うから」。
好きな言葉は「前進」。少しずつでも、前に進んで来たからこそ今がある。中川さんは、「真っ暗なトンネルの中にいても、一歩ずつでも歩いていくと、必ず出口の光が見えてくる。明るい未来が待っていることがわかっているなら、歩みは止めないほうがいいんです」と力を込めた。
■結果は大事だけれど、挑戦の過程も楽しみたい
バレーボール女子日本代表として、日の丸を背負って17年。現在、キャプテンとしてチームをまとめる荒木さんは「最初はとにかく自分のプレーを思い切ってやるだけで良かった。でも、今は自分のことだけではなく、チームのことを含め、全体を見て行動しないといけない。求められるものが多くなっているということは、すごく実感しています」と心境を明かす。
全員が一丸となって目指す、2021年の東京オリンピック。「今はそこしか見えていません。キャリアも性格も異なる選手が集まって、お互いが個性を活かし合う良いチームになってきていると思います。それぞれ、自分が何をすべきかを理解している。言葉にすると簡単だけど、すごく難しいことなんです」。
大いなる挑戦の真っ只中にいる荒木さんは「もちろん結果は大事です」と前置きした上で、「ただ、過程があっての結果なので、挑戦の道中も楽しみたいと思っています。そして、最後はメダルを獲って、チームのみんなと泣き笑いしながら終わりたいですね」と決意を語った。
次回10月2日の放送は、陸上選手の寺田明日香さんが登場する。