準備をしている時も、負けている時も、見られていることを意識して胸を張る

2020.08.14 22:30
俳優・田辺誠一さんが番組ナビゲーターを務め、ゲストの「美学」=信念、強さ、美しさの秘密を紐解き、そこから浮かびあがる「人生のヒント」を届ける、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。8月14日の放送は、プロゴルファーの成田美寿々さんが登場。ゴルフ界の後輩・先輩への思い、趣味の宝塚歌劇鑑賞から学んだこと、オリンピックへの思いなどについて語った。
■全てを見てもらい、期待に応えたい「試合はオンステージ」
2012年にツアー初優勝を果たした成田さんは、その後も勝利を積み重ね、2019年には生涯獲得賞金が5億円を突破。第一線で活躍するトッププレイヤーとしてゴルフ界を盛り上げている。27歳の成田さんは、近年台頭してきた渋野日向子さんを中心とした黄金世代と呼ばれる若手選手たちついて「大いに刺激されますし、勇気をもらっています。一緒に頑張っていこう! と思いますし、負けないようにしたいです」と、心境を明かした。
人気の若手ゴルファーを下しての優勝が多いことから、付いたあだ名は「カワイ子ちゃんハンター」。成田さんは「ヒーローにはなれないですもん」と笑いながら、「私たち中堅世代がヒールとして黄金世代を迎え撃つという形にできたら、もっと女子ゴルフは面白くなると思うんです」と続けた。
すべてはゴルフ界のため。最近YouTubeで私生活を配信するようになったのも、ゴルフファンを増やしたいという思いからだった。「渋野日向子ちゃんらが出てきて、グッとゴルフ界全体が盛り上がっているときに、選手の日常を見てもらえたら、コアなファンは喜んでくださるだろうし、もっと新規のファンも増えると考えました」。
全てを見てもらい、そして期待に応えたい。そう思えるようになったのは、宝塚歌劇団にハマってからだった。昨年は約20回も観劇するほどの“宝塚愛”を発揮。プロとしての姿勢を宝塚から学ぶことも多いそうで、成田さんは「全てが輝いているんですよね。でも、そのためにみなさん、本当に大変な努力をして、踊りや姿勢、所作を身につけ、舞台人になっている。醸し出すオーラも圧倒的です」と、その魅力について力説する。
宝塚にたとえるならば、ゴルフの試合もまさに“オンステージ”。ショットの瞬間以外にも、常に観客の視線を意識しているという。「タカラジェンヌの方々は出番を待っている姿もかっこいいんですね。私も、いつでも映っている、見られているという意識でいようと思っていますし、たとえ負けているときでも、胸を張って歩くようにしています。コロナの影響で何か月もギャラリーの前でプレーしていないですけど、やっぱりプロゴルファーは見られてなんぼですし、見てもらえないのは寂しいですね」。
■尊敬される存在になるために
成田さんには、プロゴルファーとしてお手本にしたい先輩がいるという。その人こそ、数々の記録を残し、2017年に現役を引退した宮里藍さんだ。成田さんは「人間性が素晴らしいんです。藍さんは自分にまっすぐで、誰に対しても優しくできるし、厳しくもできる。初めてお会いしたとき、まだ私のことなんか全然知らないはずなのに、笑顔で“おはよう”と声をかけてくれたのを、すごく覚えています」と振り返る。
憧れの存在に近づくために、どうしてもやり遂げたいことがある。それは、2021年東京オリンピックへの出場だ。「開催が延期になったことで、逆に生かされたという思いはあります。諦めなければ、まだチャンスがある。ジュニアの頃にナショナルチームに入れず、ジャパンのユニフォームを着られなかったので、今度こそ日の丸を背負いたいし、そこまで突き抜けてやるぞと、強く思っています」。
かつての悔しさをバネにして、ゴルフに打ち込む日々。そして、その先に見据える、未来の自分。成田さんは「今はただ突っ走るだけですけど、その後は、みんなから“まだまだこの人にはツアーにいてほしい”と思われるような、尊敬される選手になりたいですね」と語った。
次回、8月21日の放送は、ドリブルデザイナーの岡部将和さんが登場する。