レジェンドたちの美学“人生に効く”力強い言葉

2020.05.29 22:30
俳優・田辺誠一さんが番組ナビゲーターを務め、ゲストの「美学」=信念、強さ、美しさの秘密を紐解き、そこから浮かびあがる「人生のヒント」を届ける、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。5月29日の放送は「レジェンドたちの美学」と題して、元プロテニスプレイヤーの伊達公子さん、元マラソン選手の有森裕子さん、元スピードスケート選手の岡崎朋美さんのエピソードをプレーバック。3人の輝きの秘密に迫った。
■人は本来「挑戦」を求める
世界を舞台に戦い続けた伊達さんは、常に“勝負師”の顔でコートに立ってきた。テニスウェアを着て、靴の紐をしめて、ラケットを握る。何度も繰り返されてきたそのルーティンは、強い自分に“変身”するための儀式でもある。もともとメンタルが強くなかったという伊達さんは「世界で戦っていく中で、弱い心のままでは勝てないという事実に直面したんですね。コートの中では“強い伊達公子”であり続けようとしましたし、その姿は本来の自分ではなかったかもしれません」と振り返る。
勝負の世界から離れた今、笑顔でいることも多くなった。それでも、現役時代に培ったチャレンジ精神は忘れていない。「どんな小さなことでもいいから、目標を作ることが大切だと感じています。年齢と共に、一歩踏み出すのは難しくなるんですけど、それでも、目標に向かってチャレンジすることは、多くのものをもたらしてくれます。ポジティブになれるし、生き生きとしてくる。チャレンジって、人が本来求めているものでもある気がするんです」。
そして、チャレンジすると決めたら、やり遂げる。「私の中で、やってみたいかどうか、やり遂げられるかどうかというのはとても大切なポイントで、日常の中でも物事を判断する基準になっています。そこを貫いた先に見えてくるものがきっとあるから」。一度はコートを去ったものの、37歳で現役に復帰。その後も、実に9年にわたって第一線で活躍した。伊達さんの言葉には、納得するまで“テニス”に挑戦し続け、やり遂げたという実感が込められている。
■人は生きてさえいれば、自分次第で「変化」を起こすことができる
オリンピックで2度、メダルを獲得した有森さんは「マラソンって、状況を受け入れてからスタートする競技なんです。天気が良くないとか、コースがフラットじゃないとか、ポジションが悪いとか、そんなこと言ってられない。とりあえず全部OKと思って走らないと、ゴールまでたどり着かない。スタートしたら、全てを自分の力に変えて、走らなきゃいけないんです」と語る。
42.195kmをわずか2時間ほどで走り切るマラソンという競技。どんな苦境に立たされても、力の限り戦ってきた。レース中に落ち込んでいる暇はない。「ネガティブにならないためには、プラスに変えていく努力をしなければいけません。最悪な状況であれば、まずはそれを受け入れて、その中でどうやってベストを出すか、考える必要があるんです」。
それは、様々な人生にも通じる有森さん流の考え方。有森さんは「綺麗事かもしれないですけど」と前置きし、「生きていれば人は変化を起こせる。変えていこうと思えば、自分次第でいくらでも変えていけるんです」と強調した。喜びも悲しみも、そしてときには困難すらも力に変えて、有森さんはこれからも走り続ける。
■人は、自然体でいるからこそ「笑顔」でいられる
1998年の長野オリンピックで銅メダルに輝いた岡崎さんには、独特の“ピンチからの抜け出し方”がある。「レース中、負けそうになると、ウルっときて泣きそうになってしまうんですけど、そこをぐっとこらえて、違うことを一瞬だけ考えるんです。“家帰ったら何しようかな”とか、頭をフリーにさせることで、リラックスできて、力を出せるんです」。
また、常に笑顔を意識するのも岡崎さんならではのスタイル。岡崎さんは「どんよりした表情をしていると“大丈夫?”と周りを不安にさせてしまいますが、笑顔でいることによって、“かわいいね”と言ってもらえる。笑顔は周りも私も幸せにしてくれるんです」と語る。
普段から自然体であり続け、我慢もしない。できるだけ人には本心を伝えるようにしている。岡崎さんは「思ってもいないことを、無理をして言わないようにしています。自分が思った通りに動きたいし、自然体でいたいんです。我慢していたら、それが顔に出てしまうし、笑顔にもなれません」と主張する。笑顔であり続けるために、自然体でいる。それが岡崎さんの大切なポリシーでもある。
6月5日の放送は、「トップアスリートたちの 美学」と題して、元サッカー日本代表の中澤佑二さんとなでしこジャパン主将の熊谷紗希さんがクロストークする。