手帳評論家・舘神龍彦さんに聞く、「脱デジタル」な時間有効活用術

2020.03.04 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で、様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

2月3日~2月6日の放送では、デジアナリストで手帳評論家の舘神龍彦さんに「時間の有効活用のための道具」としての「手帳」についてお話いただきました。

1日目、『手帳と日本人』『最新トレンドから導く手帳テクニック100』などの著書がある舘神さんに、まず手帳の良いところをうかがったところ…
「ツールとして優れている。開いてすぐに参照&記入ができるし、自分でレイアウトして書けるという自由度の高さがある。さらに、電源や電波も関係なし。比較的安価で誰でも使うことができる。これが大きなメリット。使わない手はない!」という答えが返ってきました。
さらに、「手帳はこれからもなくならない。新しい手帳がどんどん出てくるし、種類が増えている。なんといっても、スマートフォンの液晶画面と比較すると単位面積あたりにたくさん記入できるのが良い」とのこと。

著書『手帳と日本人』の中で舘神さんは日本人の「時間感」について、書いています。それによると、いま日本人は几帳面といわれますが、そうなったのは実は明治時代に鉄道が通るようになってからで、せいぜい150年ほどのことだそうです。
そんな中で、現在われわれが使っている手帳の意味とは何か・・・?舘神さんによればそれは「<グーグルカレンダー>からの解放」です。スマホやPCはグーグルカレンダーに同期している。手帳は、グレゴリオ暦に準拠してはいますが、時計が内蔵されているわけではありません。なので、自由に時間を計画して、主体的に「自分はこうだ」ということが書ける。縛られがちな感覚から一瞬自由になることができるのが手帳の最大の良さではないか?と語っていただきました。
2日目は、まず、「手帳を使う上で気を付けるべきこと」をうかがいました。
舘神さんによれば、スケジュール管理ツールとしての手帳の使い方で気を付けることは基本的にはひとつ。「使える時間の見える化ツールとして使う」ことです。予定やその前後の時間は、決まった時点ですぐに記入する。そうすると「残りの時間」が見えてきます。つまり、「使える時間で何をするか?」を決めるために手帳を使うこと!作業を始めるのに必要な時間、移動時間などを想定しておくことも必要です。手帳だとより細かく書けるのも良いですね。
でも、「いちいち書き込むのはちょっと面倒だな」という方もいるかもしれません。これについて舘神さんは、「事前に予定を決めて手帳に記入することによって、余裕が生まれていくんです。そうなると自分が楽。“楽”のためにメモしているわけですね」と語ります。
また、よく「頭の中で」という人がいますが、頭の中は見えません。「頭の外」に書くことで、それがどういう意味を持つか?がわかる。さらに、持ち物なども書き出すことで、漏れや抜けがなくなってくるわけです。
3日目は、手帳の有効な使い方を、より具体的に教えていただきました。
まず大事なのは、決まった予定はわかった時点ですべて記入すること。そのとき、仕事の所要時間は長めに見積もって書いておく、時間が決まってない予定は早めに2~3の候補を相手に投げて決めておくことも必要です。
また、「記録」に使うことも有効で、この日にこの作業をやった・・・とわかるし、次にやるときの参考にもなります。
手帳は基本的に、予定記入欄&メモ欄があるものですが、予定以外のことを書いても良いのです。 <グーグルカレンダー>にいたずら書きはできませんが、手帳なら似顔絵を描いたり、ネタやアイディアのヒントも書ける。なんでも書いていいという自由度が手帳ならではです。

そして舘神さんは、「自分なりに決めている仕事に対してのミッションや目標を手帳の頭のほうに書いておくことに意味がある」と強調します。
何のために仕事をしているのか?を、手帳を開いてたまに確認したほうが良い。それがないと単なる作業になりがち・・・とのこと。まず頭の外に書きだす・・・それをたまに見直す。違ってきたら書き直す。それをやることによって、自分のやっている仕事がどういうことか、より奥行きをもってくるのです。頭の中のことは必ず忘れるものですから、手帳を開いて、「こういう目標を持ってたよな」とか、「この仕事はこのためにやる」というのを、覚えておくのではなく、書き出してみる!誰かに言われて・・・というのではなく、自分で決めることが肝心でしょう。
新刊『凄いiPhone手帳術』を出したばかりの舘神さんに、最終日は、アナログとデジタルの使い分けについてうかがいました。
「デジタルツールは最終的な成果物を作るためのもの。誰かと共有したり連絡したりと、情報共有が楽です。が、そういう必要がないものならばアナログが良いでしょう」。アイディア段階で、これからやっていくもの・・・をアナログの手帳やノートに書き連ねていくと完成形が見えてきます。その時点で初めてデジタルにすることによって、余計なものが削ぎ落されるので、無駄な情報をデジタル化する必要がありません。舘神さんよれば、「アナログは情報の関所」。アナログを一段階経ることで、情報の精度が上がることになります。

さてそれでは、アナログの最大の特徴とは何でしょうか?「現時点での最大の違いは、使っているときに通知が来ないこと!」
そして舘神さんは、手帳を、スマホ、パソコンにつづく「第3のスクリーン」と位置付けています。「情報機器として簡単に使うことができ、集中して没入することができる手帳は、現代においては非常に貴重なツール。カフェに行くと、スマホ、パソコンも使っていますが、手帳やノートを使う人が多いですよね。それは、自分だけの情報をまとめることが簡単にできるからではないでしょうか」と熱く語っていただきました。

今週のお話から導き出す「WORK SHIFTのヒント」は・・・
『アナログの長所を生かして時間を有効活用!』
デジタルとアナログ、それぞれの良いところを生かしながら使い分けていきたいですね。